Microsoftは現地時間の23日、Windows10 Technical Preview(以下、Windows10 プレビュー版)の最新版「Build 9926」を公開しました。先日行われたWindows10などに関する説明会では、プレビュー版は次週公開予定とされていましたが、前倒しでの公開となりました。僕もプレビュー版の初期バージョンである「Build 9841」をダウンロードし、仮想マシン上で実行してみるなど、Windows10には強い興味があり、今回の新バージョンでは大きな変化がみられるということもあってさっそくダウンロードしました。
当初はこれを前回と同様仮想マシン上にインストールしてレビューするつもりでしたが、なぜかセットアップが途中で止まってしまい、インストールできませんでした(Build 9841からその次のバージョンであるBuild 9860にアップデートした際も同様の症状がみられた)。そこで、先日の自作PCパーツ換装に伴って使用しなくなった旧構成をかき集めて最低限OSがインストールできる環境を構築し、これにプレビュー版をインストールしてみました。こちらは問題なくインストールできましたので、しばらく操作してみました。まだすべての機能を試したわけではありませんが、気づいたことを簡単にレビューします。前述のとおりBuild 9860がインストールできませんでしたので、従来のWindows10プレビュー版と比較する際は最初期のBuild 9841との比較になります。また、掲載の画像はクリックすると実際のサイズで表示します。
まず、今回のプレビュー版での大きな変更点といえば、日本語のプレビュー版が用意されたこと。これまでのプレビュー版は英語や中国語など主要な言語しか用意されていませんでしたが、今回は日本語を含むより多くの言語が用意されています。もちろん日本語版をインストールしました。
まずはデスクトップとスタート画面。グラフィックボードのディスプレイドライバーがインストールできたため(Windows10用はありませんので、代わりにWindows8.1用をインストールしました)、今回の検証に使用したディスプレイ(解像度1440x900)にぴったりと表示させることができました。
スタート画面はBuild 9841とほぼ同じインターフェイスですが、細かなデザインが少し変更されています。また、タスクバーには「Cortana」とよばれる新しい検索システムのバーが表示されるようになりました。これはiOSでいうところの「Siri」によく似た機能を持っており、マイクなどの音声入力デバイスがあれば音声による検索も可能とのことです。また、使い込むにつれてユーザーについて学習し、天気やニュースなどユーザーが求めている情報をより的確に提供できるようになるそうです。なお、タスクバーにアプリケーションアイコンをたくさん並べたい場合やWindows8.1と同じ見た目にしたい場合などに、この検索バーを非表示にすることもできます。タスクバーを右クリックし、プロパティから「ツールバー」のタブを選択、「タスクバー検索」のプルダウンメニューで「無効」を選択すると消すことができます。僕はタスクバーにたくさんのアプリケーションアイコンを並べていますし、Cortanaを使用するつもりもないので、製品版でも同じ形式で表示される場合は非表示を選択することになると思います。
また、通知領域のアイコンがよりシンプルなデザインとなっています。
続いてエクスプローラーを表示させ、Windows10の基本的なUIを見てみます。
まずタイトルバーに表示されるタイトルがこれまでの中央揃えからWindows7までのような左詰めに戻されました。そして、右上の最小化・最大化・閉じるボタンのデザインが大きく変更になっています。特に閉じるボタンは赤色ではなくなりました。閉じるボタンが赤色でないのはWindows2000以来になると思います。なお、マウスオンすると閉じるボタンは赤色に、最小化・最大化ボタンは青色に変化します。
次にアイコン。Build 9841でもいくつかアイコンの刷新が行われていましたが、今回はさらに大きく変更され、よりシンプルで平面的なデザインとなりました。
さらにフォントにも注目です。すでにこの画像において日本語フォントがWindows8.1で用いられていた「Meiryo UI」でないことにお気付きの方がいらっしゃるかもしれません。僕も気になって調べたところ、システムフォントには「Yu Gothic UI」が用いられているとみられることがわかりました。これはWindows8.1から搭載された「游ゴシック」をベースにひらがなとカタカナの字幅を少し狭くしたもので、「MS UI Gothic」や「Meiryo UI」と同様のスタイルです。製品版でもシステムフォントに「Yu Gothic UI」が用いられるかはわかりませんが、仮にこれが使用された場合、Windows Vista以来のシステムフォントの大きな刷新となります。なお、英数字フォントには「Segoe UI」が用いられています。Windows7・8.1では英数字フォントにもMeiryo UIが用いられていましたから、日本語版使用ユーザーからすればこちらも大きな変化と言えます。
なお、メモ帳やペイントなど、Windowsに初めから搭載されているアプリケーションの大半はWindows8.1と同一のもので、大きな変化は見られませんでした。Windows Media Playerも外のウィンドウの枠が変わっただけで再生ボタンなどのインターフェイスは変化していません。なお、電卓はストアアプリとしてプリインストールされているものがあり、さらにWindows10からストアアプリもウィンドウ表示が可能となったため、デスクトップ版は省略されています。
タスクバーの起動中のソフトウェアの表示にも大きな変化が。Windows7・8.1では起動中のソフトウェアのアイコンは四角く浮き上がったような表示となり、さらにウィンドウがアクティブになっているソフトウェアは白っぽくハイライトされるというものでしたが、Build 9926では起動中のソフトウェアはアイコンの下にアンダーバーが表示され、ウィンドウがアクティブなソフトウェアだけが四角にハイライトされる形式となりました。ただ、この画像のようにディスプレイやタスクバーの色合いによってはアンダーバーが見えにくく、どのアプリが起動しているかがわかりにくいため、個人設定で色を設定する際注意が必要です。
続いて新しいAero Snapについて。これはBuild 9841から搭載されていましたが当ブログでは文章でしか紹介していませんでしたので写真を用いて説明します。
まず、ウィンドウを左端または右端にドラッグすると、左半分または右半分いっぱいにウィンドウがリサイズされます。これはWindows7・8.1でも搭載されている機能です。
次に、ウィンドウを左上・左下・右上・右下のいずれかにドラッグすると、画面のドラッグした4分の1の領域にリサイズされます。この画像の場合左上にドラッグしていますので、このあとマウスを離すとウィンドウが左上4分の1の領域(画像で半透明に浮き上がっている領域)にリサイズされます。
さらに、ウィンドウを複数開いているときに左右半分にウィンドウをリサイズした場合、残り半分に表示するウィンドウを選択する画面が表示されます。これにより、ウィンドウのリサイズ後もう一つのウィンドウを探してまたウィンドウをつかんで……といった動作がクリック一つで可能となります。
また、リサイズ(上記に挙げた動作以外にもウィンドウを上端に持ってきたときの最大化や、最小化・最大化ボタンを押した時の動作も)のときのウィンドウの動作がよりダイナミックになったほか、ウィンドウが開く・閉じるときの動作も従来の「起き上がりながらフェードイン・倒れながらフェードアウト」ではなく、「ズームアウトしながらフェードイン・アウト」となりました。
なお、AeroプレビューについてはBuild 9841でも搭載されていないと思い込んでいましたが、タスクバー右端を右クリックし、「デスクトップのプレビュー」にチェックを入れることで、Windows7までと同様タスクバーの右端をポイントすることですべてのウィンドウを半透明にしてデスクトップ画面を見ることができます。この機能はWindows8.1にも搭載されており、よく調べずにレビューを書いてしまったことをこの場をお借りしてお詫び申し上げます。
タスクビューについてもBuild 9841のレビュー記事では文字でしか紹介していませんでしたので写真を交えて紹介します。タスクバーの「タスクビュー」ボタンをクリックするとこのような画面となり、目的のウィンドウが探しやすいです。タスクビューボタンは非表示とすることも可能で、その際でもWindows + Tabキーでタスクビューを起動させることができます。また、Alt + Tabキーで、従来のようなウィンドウ一覧を表示させることもできます。
また、「デスクトップを追加」ボタンをクリックするとデスクトップ画面を仮想的に複数作成することができます。タスクビューの下部に現在作成しているデスクトップが表示されます。
というわけで、簡単ではありますがWindows10プレビュー版のレビューをお送りしました。なお、Windows10の説明会記事などで掲載されていた画像ではタスクバー・スタートメニューが半透明でしたが、今回のプレビュー版ではタスクバー・スタートメニューとも半透明ではなく、この機能は今のところ実装されていない模様です。そのあたりは製品版に期待するとしましょう!なお、上記のレビューではタスクバー・スタートメニューの色とウィンドウのタイトルバーなどの色が異なっていますが、これは一時的なもので、個人設定(デスクトップ上で右クリック)の「色」を調整するとこれらが連動して変化するようになりました。
Build 9841はWindows8.1をベースにスタート画面やAeroスナップを重視したプレビュー版であったのに対し、今回のBuild 9926はいよいよ製品化を意識した新しいUIと数々の新機能を実装し、より製品版に近いものとなっていました。スタートメニューの復活はもとより、Windows10に搭載される新機能はどれも魅力的で、非常に好印象でした。とはいえ、もっとも大きな新機能の一つである「Coetana」は現時点では使用予定はありませんし(このレビューを書くためのスクショ撮影後、Coetanaの検索バーは非表示のままにしている)、新ブラウザ「Project Spartan」も使用しないつもり(Firefoxを引き続き使用予定)であるため、僕がWindows10の新機能を実感できるのはそれ以外に主に当記事で取り上げたような内容に限られると思います。しかし、将来Windowsタブレットを導入することがあった場合、もしかしたらこれらの機能を利用することがあるかもしれません。
また、NHKなどのニュースでも取り上げられたためご存知の方も多いこととは思いますが、Windows10はWindows7・8.1ユーザーは無料でアップグレードが可能であるとのアナウンスがありました。僕は現在自作PCとノートPCでWindows8.1を使用していますが、いずれもアップグレード予定です。また、OSのアップグレードにかかる費用がないため、あえてWindows10発売と同時に発表されるであろう各PCメーカーの最新モデルではなく、価格がこなれてきた現行モデルを購入することで、PC導入コストを抑えることができるかもしれません。
製品化まではまだ時間がありますが、これからもWindows10の話題からは目が離せません!
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。