ここ最近、VRDJが急激に増加したなぁ、と実感しています。
かくいう私もDJキャリア自体は2020年7月にスタートしたものの、VRDJとしてのデビューは今年1月なので、「急激に増加した」うちの一人にカウントされると思います。
さて、あなたはVRChatでいくつかのDJイベントに参加し、そのプレイに魅了され、「自分もDJをやってみたい…!」と思ったとします。まずは機材の購入!ということで、勢いでDDJ-400あたりを購入することでしょう(※)。
「…で、機材買ったはいいけど、結局何をすればVRDJデビューできるんだ?」
そういえばVRDJのキャリアの始め方について解説した記事ってそんなにないよなぁ(あっても情報が古いよなぁ)、と思ったので、これまで私がVRDJをやってきた中で経験した・見聞きした情報をもとに、2022年8月現在の情報で「とりあえず何すればいい?」というところがざっくりわかる記事を書きたいと思います。
なお、私は前述の通りVRDJデビュー以前に1年半近くのDJキャリアがあったことや、「我流」でやった部分が少なくなかったこともあり、これから紹介するVRDJキャリアの歩み方をほとんどたどっていません(おい)。そのため、下記で紹介している内容は実際の初心者VRDJの多くが実際に通ってきたキャリアとは異なる箇所があるかもしれません。あくまで一つの例としてとらえていただき、フレンドの方と協力し合いながら楽しくVRDJライフを送っていただければと思います。
※個人的にはこれから長くDJキャリアをやっていきたいとお考えなら、少し値は張りますがDDJ-800を購入することをおすすめしています。DDJ-400と比較してDDJ-800の優れているポイントを解説した動画を以前投稿しましたので、ご興味ございましたらぜひご覧ください。
手順0:VRDJのフレンドを増やす
…いや手順1じゃないんかい!と思ったかもしれませんが、リアルDJにしてもVRDJにしても、まずは交友関係を広く持つことが重要だと思います。
VRDJキャリアを始めたばかりのあなたは、言ってみれば「VRDJ」という学校に転校してきた転入生です。芸能人が転校してきた!とかであれば交友関係を持たなくても人は集まるかも知れませんが、そのような極端な例でない限りは自分が何者であるか、どんなことが好きなのかを明らかにして、ほかのVRDJに自分の存在を知ってもらう必要があります。すでに出来上がっているコミュニティに後から入っていくわけですから、入った直後の疎外感、少しずつ周りになじんでいく大変さはまさに転校生のそれで、私自身VRChatに入った当初はそれを感じる場面が多くありました。
また、VRChat・VRDJをやっていく中で特に初心者は困りごとが多々出てくると思います。インターネットを検索してみてもそもそも情報が出てこなかったり、出てきたとしても英語のドキュメントであるがために翻訳しながら読む必要があるなど、以降で紹介する手順すべてに影響が出て、心が折れそうになります。そういうときに気軽に相談できるフレンドがいれば早く解決のための手がかりを得ることができたり、「あの人なら知っているかもしれない」と有識者を紹介してもらえたりするかもしれません。
まずは自分の興味のあるイベントに遊びに行ってみましょう(私も最初の4ヶ月ほどはとにかく気軽に話せるフレンドを増やすことを意識していました)。そうすると「この人、こっちのイベントでも来てたな…」みたいなところから会話が始まったり、特定の楽曲・アーティスト・ジャンルで盛り上がったり、そうこうしているうちに同じジャンル・アーティストが好きなVRDJのフレンドが増えてきます。私のようなコミュ障は肝臓と引き換えに酒ブーストかけて、乾杯ついでに軽率にフレンド申請を飛ばし合いましょうwフレンドが増え、コミュニケーションを取る機会が多くなると、ふとしたきっかけでDJのオファーをもらえたりすることがあるかもしれません。
手順1:楽曲を集める・掘る
すでに手持ちのCDや楽曲データを持っていればそれをrekordboxに取り込む(HOT CUE・MEMORY CUEを使う場合は加えて"CUE打ち"を行う)だけでDJをする準備は整いますが、これから曲を集めようとする場合、新しいジャンルを開拓しようとする場合、楽曲を「ディグる」作業が発生します。ディグり方は人それぞれですが、自分の場合、Spotifyでディグりたいジャンル・アーティストのプレイリストを検索して、通勤・通学の時間などを利用してひたすら聴き、気に入った曲を片っ端からお気に入りに登録していきます。Spotifyの曲をそのままrekordboxで流すことはできませんので、お気に入り登録した楽曲をiTunesやbeatport、bandcamp等で検索して購入し、楽曲データを入手します。
また、Remixをディグる場合はSoundCloudを活用する手もありです。
手順2:DJ音声をワールドに配信するための準備をする
この記事をご覧の方はもしかしたらフレンド経由で聞いたりインターネットで調べたりしてご存じの方もいるかと思いますが、ほとんどのVRクラブワールド・DJ練習用ワールドではワールド内への映像・音声の配信に「VRCDN」または「TopazChat」を採用しています。一見難しい設定をしないといけなかったり、高価な配信用機材を購入しないといけなかったりといったイメージがありそうですが、基本的な配信方法は「OBS」を使用したTwitch配信とほぼ同じで、「DJ音声を配信用PCに入力し、各ワールド固有のURLとStreamKeyを投入して配信開始を押す」だけで最低限の配信はできます。
DJ音声の入出力方法は環境によって設定が異なるため、ここでは詳しく解説はしませんが、手順0ですでにVRDJを始めているユーザーとフレンドであれば有益な情報を得られるかもしれません。ちなみに私の場合はリアルでもDJをすることがあるため、DJ用のノートPCがあり、これとDDJ-800を接続した上で、DDJ-800のMASTER出力を配信用PCに入力しています。
この方法ではラインケーブルやミキサーを経由するため配線が煩雑でセットアップにも少し時間を要しますが、リアルDJをせずVRDJ専業でやっていく前提であれば、DJ用PCと配信用PCを1台のPCで運用するとよりコンパクトな環境を構築できるかと思います。ただし、rekordboxもある程度CPUパワーを食いますので、PCの性能に余裕があるかどうかはよく確認しましょう。
手順3:DJ練習用ワールドでMixを披露しあう
さて、機器のセットアップが完了し、楽曲もある程度集まったものの、まだVRDJ出演の機会がなかったとします。そんなときはフレンドを誘ってDJ練習用ワールドでお互いのMixを披露しあいましょう。
リアルだと練習用にスタジオを借りるとどうしてもお金がかかってしまい、また予約手続きや機材のあるスタジオまで出向く必要があるなど、気軽に練習するにはハードルがかなり高く感じます。一方、VRだとワールドによっては事前の予約が不要で、インスタンスを立てるだけでいつでも誰でもDJ練習できます。VRクラブイベントさながらの設備・音響を備えたワールドもあり、練習とはいえさながらイベントに出演した気分を気軽に味わえます。
なお、DJ練習向けワールドについては、こちらのサイトにまとめられていますので、ぜひ参考にしてみてください(ちなみに私も「VUG Lounge」というDJ練習・雑談向けワールドをPublic公開しています。よろしければぜひご利用ください!)。
このDJ練習は、OBSを設定してワールドに配信するまでの流れを一人でじっくり確認しながらやるのも良いですが、もし都合が合うならフレンドと一緒にワールドに行き、お互いのMixを披露し合うと良いでしょう。同じジャンルであっても選曲・つなぎ方に個性が出るはずで、お互い良い刺激になると思います。
余談ですが、私は今年1月にVRDJイベントデビューするまで(なんならデビュー後もしばらくの間)、「DJ練習用ワールド」なるものの存在を知りませんでした。そのため、OBSでワールドに初めて配信を行ったのが初出演のイベント開始30分前の音出しの時という…(笑)幸い何のトラブルもなく一発でワールドに配信できたので、その後のイベント本番でも不安を感じることなくパフォーマンスできましたが、我ながらなかなかデンジャラスなことをしたなぁ、と思いますw私のような思いをする人が一人でも少なくなれば、という思いでこの記事を書いております。
手順4:公募制VRDJイベントに応募する
VRDJシーンにおいてはイベントの公式Discordサーバ上で出演者を公募している場合が多く、また応募に際しても特にMixの提出が必要ない場合が多いです(パーティメイキング上、Mixの提出を求めているイベントもあります)。また、このような出演のハードルの低さから「初心者VRDJ向け」を謳ったイベントも複数存在します。「とりあえず何かVRDJのイベントに出たい!」という方は、まず初心者DJ向けイベントから始めてみるのはいかがでしょうか。なお、ここ最近のVRDJの急激な増加により、これらの初心者DJ向けイベントは比較的早く出演枠が埋まる傾向にあるので(私がスタッフを務めている初心者DJ向けイベントでは、過去に先着順で演者の募集を行ったところ数分で当月の出演枠がすべて埋まってしまい、翌月から抽選制になりました。それぐらい非常に高い需要があります)、気になっている方はDiscordサーバの通知をオンにして公募開始の時を待ちましょう。
VRDJイベントでは1人あたりの持ち時間が決まっていたり、(ある程度の規模のあるイベントだと)不特定多数の客がDJを聴きに来るなど、DJ練習とは違う緊張感があります。私もかれこれリアル含めて2年以上DJを続けていますが、それでも大規模イベントでのDJや、個人的に「ハズせない」と思っているイベントの前は緊張するものです。しかし、特に初心者向けDJイベントだと多少のミスには寛容なので、まずは持ち時間を最後までやりきることを第一に、落ち着いてDJをすると良いと思います。
おめでとうございます!これであなたもVRDJデビューです!VRDJは(DJ練習の機会も含めて)リアルDJに比べて場数を踏みやすい環境にあるので、積極的にDJ練習を行ったりイベントに出演したりしていけば数ヶ月で慣れてくると思います。その段階に達したら、例えばフロアの反応を見ながら次の曲を選曲してみたり、セトリを組まずにDJしたり、といったことにチャレンジしてみると、さらにDJとしてステップアップしていけるのではないでしょうか。
いかがでしたか?ここまでの解説で、VRDJに対するハードルがそこまで高くないことを感じていただけたら幸いです。もし身近で「VRDJ始めようと思っているだけど何をすればいいのかよくわからなくて…」という方がいれば、ぜひこの記事をシェアしていただけると嬉しいです!
最後に、(VRに限らず)クラブカルチャーはDJ・トラックメイカー・箱(ワールド)オーナー・そしてお客さん、全員がお互いにリスペクトしあうことで成立していると思っています。常に感謝・リスペクトの心を忘れずに、DJ活動を楽しみましょう!あと、お酒の飲み過ぎにはくれぐれもご注意を!
それでは、またVRでお会いしましょう!ここまでお読みいただきありがとうございました!