今回はHPのコンバーチブル2in1「ENVY x360」の2022年モデル(13-bf)のレビューをお送りします。
といっても、私がこの商品を購入したのは去年の9月で、今更感がありますが、ここまで使用してきた中で特筆するような不満点もなく、廻音あじおの活動において大いに活躍しているため、この機会に紹介したいと思います。後述する購入経緯もあり開封直後に写真を撮っておらず、本レビュー執筆に合わせて急きょ撮影したため、多少使用感がありますがご容赦ください(笑)。
去年の6月頃に廻音あじおの当時の活動状況に合わせる形で手持ちのガジェット類を整理・新調しようと思い、イラスト制作を中心に細々した作業を機動的に行うべく、Microsoftの2in1「Surface Pro 9」を購入しました(キーボード・ペンなどの周辺機器も同時に購入したためかなりの出費に…)。
ところがある時、スリープからの復帰に失敗したことで強制再起動したところ、Windowsが起動しなくなってしまいました(UEFIも起動しなくなったため、いわゆる文鎮化)。幸いサポート期間内であったため本体交換を手配し、同型の新しい個体に交換してもらいましたが、購入直後からたびたびスリープの復帰に失敗するなどしてよくフリーズしていたこと、そのほかにも細かい不具合が頻発していたことからこれを常用することはできないと判断し、Surface Pro 9を手放してHPの2in1を購入することにしました。
自分の活動ですぐに必要だったこととたまたまコスパの良い個体があったこともあって、通常のダイレクトモデルではなく即納モデルのほうを購入。翌日か翌々日ぐらいには手元に届いていたのですが、その後もバタバタすることが多く、結局ファーストインプレッションを撮れていませんでした。
それでは早速レビューしていきましょう!
今回購入したのはダイレクトモデルでいうところの「スタンダードモデル」で、RAMが8GBと少々心もとないですが、即納モデルとしてすぐ入手でき金銭的に購入可能なグレードがこれしかなかったのと使用用途的にも特に大きな問題はないと判断してこちらを購入しました。何よりSurface Pro 9が起動しなくなったことで私自身の活動に影響が出ており、一刻も早く新しい2in1がほしいと思っていたので、即決で購入しましたw
私は過去にSpectreシリーズを2機種、ENVYシリーズを今回購入したものを含めて2機種、PavilionシリーズのデスクトップとVictusシリーズを1機種ずつ購入したことがあり、個人向け最上位のSpectreシリーズは2機種とも化粧箱に入っていましたが、今回購入したENVY x360を含め他のモデルについては普通の段ボール箱に梱包されています。また、Victusを除いた過去の購入機種についてはHPのパソコンの使いこなし方を解説するブック「速効!HPパソコンナビ特別版」が付属していましたが、今回購入したENVY x360には付属していませんでした。まぁ過去に購入したどのモデルでもこのブックは一度も読むことはなかったので、なくても困ることは何もありませんが(笑)。
付属品はこの画像のACアダプタとACコードのほかにはウォールマウントプラグ、クイックスタートガイドと必要最小限。ACアダプタはUSB PD対応で、ケーブルはスリーブ巻となっており、過去の画像を見る限りSpectreシリーズ等に付属するものと同等のようでした。
ENVY x360はペン入力に対応しており、以前購入したことのあるSpectre x360(2019年12月モデル)にはアクティブペンが付属していましたが、ENVY x360(2022年モデル)にはアクティブペンは付属していません。アクティブペンは前述のSurface Pro 9を購入した際に一緒に購入したキーボードカバー・ペンセットのうちペンのみを流用して使うこととしましたが、このペンは無線充電式となっており、キーボードカバー内側のペン収納部にくっつけることで充電が可能で、そのままではペンだけを外部から充電する手段がありません。幸いこの新しいSurfaceペンは専用の充電パッドが別売りされており、これと組み合わせることでペン単体でも使用可能となっています。追加の出費にはなってしまいますが、せっかくのSurfaceペンを使わないのももったいなかったので、仕方なく充電パッドを購入し、ENVY x360で使用しています。
ENVY x360のレビューとは関係ありませんが、Surface Pro 9のレビュー記事を削除したため、Surfaceペンの使用感に限ってここで再レビューします。
ペン自体は平たい形状をしており、一般的なペンと同じ形状のApple Pencilや従来のSurfaceペンとは一線を画した独特のフォルムです。しかし、意外にも使いにくさは感じにくく、簡単なイラスト制作ならENVY x360とSurfaceペンでも十分こなせます。とはいえ、好き嫌いの分かれる形状であることは間違いないため、気になる方は店頭でタッチアンドトライをしてから購入されると良いと思います。
ペンには触覚フィードバックが内蔵されており、充電器から取り外した際などに短く振動します。Surface Pro 9で使用していたときは一部アプリでペンを用いた操作に応じてペンが振動するなど多くの場面で触覚フィードバックが機能していましたが、ENVY x360では同じアプリを使用しても特に振動はしません。
もちろん、従来のSurfaceペンに搭載されているペントップボタン(消しゴム兼用)も引き続き搭載しており、ENVY x360とペアリングした際もペントップボタンをノックした際の挙動を設定できます。
それでは本体の紹介にいきましょう!
天板のロゴはHPの上位モデルにあしらわれるバージョン。
裏面には吸気口とゴム足、スピーカーがあります。
左側面にはヘッドセット端子、microSDカードスロット、USB-Aポートが1つ。USBポートは下側を押し下げることで接続できるようになっており、デザインと利便性を両立しています。
右側面にはThunderbolt 4端子(USB-C)が2つとUSB-Aポートが1つ。充電はThunderbolt 4端子から行います。
ディスプレイ部は最近のノートPCのトレンドを取り入れ、縦方向のディスプレイ領域が広がっています。解像度は2560x1600で、アスペクト比は16:10です。過去に所有していたSpectre x360(2019年12月モデル)ほどではありませんが、ベゼル部分も細く作られており、スタイリッシュです。上部にはWindows Hello対応カメラが搭載されています。なお、キーボードのホットキーにはこのカメラをキャンセルするスイッチがあり、これを押すと内蔵されている電磁カバーがレンズ部分を物理的に覆う形になります。私が過去に所有していたHPのノートPCでは、カメラの回路を切断するスイッチが搭載された機種もありましたが、最近はビジュアル的なわかりやすさ・確実さからレンズ部分を電磁カバーや手動カバーで覆うことができる機種が増えてきているような気がします。
キーボード面は一般的な日本語配列となっています。かつてのHPのノートPCはEnterキーの右側にHome・End・PgUp・PgDnキーが搭載された機種が多く、好き嫌いが分かれるキー配列でしたが、最近の機種ではこれを廃し、矢印キー部分に移設する形となりました。当初私は矢印キーがそれまでのような逆T字配列でなくなったことに懸念(矢印キーを手探りで押しづらくなったり、矢印キーの左右を押したつもりがその上の小さいキーを間違って押してしまったりしないか)を抱いていましたが、実際に使ってみると意外にも逆T字配列でないことによる使いにくさは感じずこれまで通り手探りで矢印キーを押せるほか、コツをつかめば押し間違いも起きないので、これは悪くない改良点だと感じました。
ディスプレイが縦方向に拡大されたことに伴ってタッチパッドの面積も拡大されており、ジェスチャーを使用した操作もしやすくなっています。
唯一不満(?)なのがスピーカーです。従来の機種では底面+キーボード面の上端にスピーカーが搭載されており、音質も特に申し分なかったのですが、ENVY x360(2022年モデル)は底面のみにスピーカーが搭載されていることもあり、PCの置き方や置き場所によって音質が敏感に変化するほか、内部の建て付けが悪いのか小さな音量でもわずかに共振してビビリ音がします。使用用途からして内蔵スピーカーの音質は正直どうでもよく(聞こえればよい)、また常用に堪えないほどひどいわけでもないので特に気にせず使っていますが、B&Oブランドを冠している割にはクオリティが伴っていないと感じました。
それではハードウェア性能について見ていきましょう!ベンチマーク計測はいつも通りCinebench R23を使用します。このPCでゲームはプレイしないので、3D Markの計測は行いません。
最近計測したほかのPCの計測結果(CPU Multicore)としては、
自作PC(Core i5 13500):19478
CPUはCore i5 1230Uで、P-coreが2C4T、E-coreが8Cの合計10C12Tとなります。ベースパワーは9Wですが最大ターボパワーが29Wあり、省電力を実現しつつも普段づかいにおける十分な性能を発揮しています。実際に性能面で不足感を覚えることはなく、ネットサーフィンからイラスト制作までストレスなく使うことができています。発熱はやや大きめで、軽くネットサーフィンするだけでもキーボード上端の周辺が温かく感じ、イラスト制作等で負荷の高い作業を続けるとファンが高速で回転することもあります。
ディスプレイは前述の通りマルチタッチに対応しているほかペン入力にも対応しています。冒頭に述べた手持ちデバイスの整理のタイミングでiPadを含めたタブレット類をすべて手放したため、現在の手持ちのデバイスの中で唯一タブレット的に操作できるこのPCは寝PCなどで重宝しています(笑)。
カタログスペック上のバッテリー持続時間は約17時間となっていますが、体感的にはこの半分ぐらいの持続時間に感じます。特に負荷の高いイラスト制作で、かつ資料参照用にモバイルディスプレイ(電源・信号をUSB-Cポートから取る)を使用すると3時間ももちません。本当はバッテリーへの負荷が大きくなるので避けたいですが、負荷の高い作業を長時間行う際は電源に接続して使うことになりそうです。
最後に約9ヶ月使用した感想を。
一言でいうと、私の活動になくてはならないデバイスとして多方面で活躍しており、また今後も使い続けたいと思える満足度です。前述の事務作業・イラスト制作のほかには、以前何度かYouTubeに投稿した車載動画のカメラをENVY x360に接続して直接録画しています。前述の通りバッテリー持続時間に不安があるため、録画中はディスプレイ輝度を一番暗く設定するなど工夫をしながらの使用にはなりますが、性能面でも申し分なく、また自室での作業においても(大半のデータをファイルサーバで共有していることもあり)メインのデスクトップPCを使わずENVY x360だけで事足りてしまうこともあるなど、近年購入したノートPCの中では一番満足度が高いです。強いてマイナスポイントを挙げるとするなら前述のスピーカーの音質のほか、2022年モデルについてはカラーがシルバーのみのため5年前に購入したほうのENVY x360のようにブラック系のカラーも選べたら良かったなぁとは思っています。なお、最新のENVY x360 14-fcではシルバーの色味が(商品写真を見る限り)渋くなっているほか、ミッドナイトブルーが選択できるようになっていたりします…
というわけで、ENVY x360(2022年モデル)のレビューをお送りしました。このレビューの執筆を通じて、ENVY x360が性能面で私の期待に応える最適なデバイスであることを再確認することが出来ました。このところ使用時間が長くなっていることもあり、外部電源につないだまま高負荷の作業を行ったり1日数回急速充電を行ったりと、すでに結構酷使してしまっていますが(笑)、しばらくノートPCを乗り換える予定はないので、これからも廻音あじおの活動において最大限活用していきたいと思っています。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。