今回はHPのノートPC「ENVY 13 x360(2019年モデル)を購入しましたので、ファーストインプレッションをお送りします
私は以前HPのノートPCとして「Spectre x360(2017年11月モデル。以降、単にSpectre x360と言う場合は2017年11月モデルを指す)」を使用していましたが、2019年3月にMacBook 12がセールで安くなっていたのを購入したのを理由に売却しました。しかし、Ultrabook向けCPUを搭載しているため主にCPUのスペックが低かったことから、もう少しパワフルなノートPCが欲しいと思っていました。当初は発表・発売されたばかりのMacBook Pro(13インチ・2019年モデル)を購入しようと思い、予算の確保まで済ませていましたが、購入直前にたまたまHPのノートPCの製品紹介ページを見たところENVY 13 x360を見かけ、色やデザインに一目ぼれしてしまいました。極めつけは最上位モデルでもMacBook Proより3万円安く(私がセールで購入したMacBook 12とほぼ同価格)、気が付いたらENVY 13 x360を購入してしまっていました(発売直後かつセールが行われており、しかも先代モデルから続く大人気商品だったため、注文から到着まで3週間弱待つことになりました)。
それではさっそく開封していきましょう!以前購入したSpectre x360は専用の化粧箱に入れられて、それが専用キャリングポーチとともに段ボール箱に入っているという特別仕様でしたが、ENVY 13 x360は普通の段ボール箱に梱包されています。キャリングポーチも付属していません。
今回も同時に液晶保護フィルムを注文したのですが、やはり今回も大きな段ボール箱にフィルムの薄っぺらいパッケージが1個だけ入っているというムダ梱包でした(笑)。
段ボール箱を開けると本体とクイックスタートガイドが出てきます。クッションとなるスポンジらしきものもなく、Spectreシリーズがいかに特別仕様だったのかをまざまざと思い知らされます……
付属品はACアダプタとACコード、ウォールマウントプラグ、取説類、そして「速効!HPパソコンナビ特別版」。ACアダプタは専用品です。なお、後述しますがENVY 13 x360はACアダプタでの給電のほかに、USB type-C端子からのUSB PDでの給電にも対応しています。
ACアダプタの出力は65Wで、Spectre x360に付属していたUSB PD ACアダプタよりもコンパクトに作られていますが、ウォールマウントプラグはデザイン的に違和感があります(笑)。アダプタ本体が大きく電源プラグ付近の取り回しも大変なのでACコードを使用するのが無難でしょう。
続いて本体の紹介。
本体天板。写真の写りの都合上シルバーっぽく見えますが、実際はブラック!よっ!この色をぼくは待ってたぞ!あと1年(先代モデルも考慮すれば、あと半年)ENVY 13 x360の発売が早ければ……と悔やみたくなるぐらい、文句なしのカラーリングです。とはいえ、Surface Pro 6やLet's noteのようなどこからどう見てもブラック、という感じではなく、光の当たり方によってわずかに茶色っぽく見える、HPらしい落ち着いた色合いだと感じました。天面にはHPのロゴ。ENVY・Spectre・Elitebookシリーズのみにつけられる、上位ブランドの証です。
裏面には吸気口があります。
右側面。ヒンジ側からAC端子、USB type-A・USB type-C(USB3.1 Gen.1。Thunderbolt 3ではない)・microSDカードスロット・webカメラスイッチ。USB type-C端子は接続機器への給電のほか、USB ACアダプタからの受電にも対応しており、専用ACアダプタとの2系統の充電方法が備わっています。手元の環境で試したところ、USB PD対応の30W USB ACアダプタでは問題なく給電ができました。しかし、USB PD対応で給電しながら機能拡張できるドッキングステーションを接続したところ、給電は行われませんでした。あくまで補助的な機能として、手持ちの機器が使えるか確かめたうえで利用する必要がありそうですが、それにしてもUSB type-Cからも充電できるのは、例えば外出時の電源供給に手持ちのUSB ACアダプタやモバイルバッテリを流用できるなど、いざというとき助かる機能と言えるでしょう。
webカメラスイッチは、webカメラの回路を物理的に切断することができるもので、プライバシーを特に気にするユーザにとっては、webカメラのレンズ部分に目隠しのシールをして見た目が不格好になるのを防ぐことができ、大変助かる機能だと思います(私はそういうことはあまり気にしないので、特にこのスイッチを操作することはないと思いますが)。
Spectre x360には右側面に音量ボタン(タブレットモード時に便利)がついていましたが、ENVY 13 x360にはついていません。
ヒンジ部にはENVYのロゴがあしらわれています。
左側面。ヒンジに近い側からUSB type-A、ヘッドフォン端子、電源ボタン、排気口。ENVY 13 x360はこの薄さながらフルサイズUSB端子を2個も備えており、このサイズとしては抜群の拡張性を誇ります。
Spectre x360では排気口はヒンジ側についていましたが、ENVY 13 x360は左側面から排気します(なお、同じモデルラインの15インチモデルであるENVY 15 x360は右側面にも排気口があり、両側から排気されます)。
カバーを開けてキーボード部分。キー配列はSpectre x360とほぼ同じです。やはりEnterキーの右に一列あり、慣れるまではEnterキーを押したつもりが間違えて隣のキーを押してしまうことが頻発しそうです。私はSpectre x360でこの配列に慣れていたので特に違和感なく使えていますが、この一列があることでものすごくフラストレーションがたまる場合もあるので、店頭で十分に打鍵を試してから購入することをおすすめします。なお、キーボードは適度なキーピッチ・ストローク・打鍵感がありながら打鍵音がSpectre x360よりかなり抑えられており、静かなカフェでも気兼ねなくタイピングできます。キーボードにはバックライトが搭載されています。Spectre x360と同様照度センサが搭載されていないためディスプレイの明るさは固定で、キーボードバックライトのオンオフも手動ですが、オン時でも一定時間キーボードやタッチパッドが無操作の場合は自動で消灯するようになっており、省電力に配慮した仕様となっています。
タッチパッドはHPのノートPCとしては一般的な横長のものです。MacBookシリーズのような大きなトラックパッドではないため、指を大きく使ったジェスチャは難しそうです。なお、Spectre x360は複数指タップの挙動などタッチパッドの挙動変更はSynapticsドライバの設定から変更する必要がありましたが、ENVY 13 x360ではWindowsの設定アプリから設定変更することができます。
パームレストの右わきには指紋センサが搭載されています。先代モデルは顔認証のみでしたが、本モデルからは指紋認証のみに変更されています。センサが正方形で大きいため精度はよく、パームレスト上にあるためノートPCモードだと位置も把握しやすいため(Spectre x360は側面についていたうえセンサが周囲と面一だったためセンサの場所がわかりにくかった)、ストレスなくロック解除できます。
ENVY 13 x360は、「x360」という名前の通りディスプレイ部が360度回転し、タブレットとしても使うことができます。上の画像はノートPCモード。このように通常のクラムシェルノートと同じ使用感が得られるのがSurface Proなどにはない特長です。さらに、通常のノートPCでは開口角は120度程度のものが多いですが、x360シリーズは360度回転する関係で、より大きな開口角を実現できます。例えばソファなどで膝を立てて座り、膝の上でノートPCを操作する際にディスプレイ部をより大きく開けることで見やすい角度で使用することができるほか、テーブルを囲んでミーティングなどをする際にディスプレイ部を180度まで倒すことで大勢でPCの画面を見ることができます。
こちらはゆったりと映像を楽しむのに便利なスタンドモード。
こちらは狭い場所に置きやすいテントモード。
こちらは完全に折りたたんだタブレットモード。重量が1.28kgあるためSurface Proのような身軽さではありませんが、「普段はノートPCとして使うけど、いざというときちょっとだけタブレットとしても使いたい」というような要求に応えられるものとなっています。もちろん、ディスプレイ部を反転させた時点でキーボード・タッチパッドが無効になるので、裏面に来るキーボードを気にする必要はありません。
さっそく起動!ディスプレイは13.3インチFHDです。Spectre x360では4Kディスプレイモデルもありましたが、ENVY 13 x360はFHDのみのラインナップです。IPS液晶で発色もよく、どの角度からでもきれいな映像を楽しむことができます。ベゼルは流行りの狭額縁仕様で、Spectre x360に比べて上部のベゼルがさらに削られており、より一層スタイリッシュに見えます。一方ベゼルを削ったことで上下方向のフットプリントが6mm小さくなっており、そのしわ寄せがタッチパッドサイズ縮小に来ています。
それでは、ハードウェアの性能について詳しく見ていきます。ベンチマークはいつものCINEBENCH R15を使用。なお、CINEBENCHは最新のR20が公開されていますが、過去に様々なPCで計測したスコアとの比較のため、当分の間R15を使用します。
CPUは最新の第3世代Ryzenが搭載されています。私が購入したモデルにはRyzen 7 3700Uが搭載されています。このほか、下位モデルにはRyzen 5 3500U、Ryzen 3 3300Uがラインナップされており、Ryzen 3モデルの場合セールなどを併用することで7万円台で購入することができます。
以前家族が購入したノートPCにRyzen 5 2500Uが搭載されており、そのPCでもCINEBENCHを計測したのですが、そのスコアと比較すると世代が進んだ分&Ryzen 5とRyzen 7の差分が順当にスコアに反映されていると思います。Spectre x360では、(私の環境だけだったのかもしれませんが)電力供給に関する問題で高負荷時にCPU本来の性能が発揮されず、CINEBENCHのスコアも異常に低いものとなっていましたが(当初サーマルスロットリングが早い段階で作動しているものと考えていたが、その後様々な負荷のかけ方を試したところCPUへの電力供給が追い付かずクロックやCPU使用率が落ち込んでいる可能性に至った)、ENVY 13 x360では適切に電力供給がなされており、CPU使用率・クロックともに最後までほぼ100%で走りました(ベンチマーク後半は85%程度に落ちたが、温度をモニタリングしたところ明らかにサーマルスロットリングに起因するものだったため、想定内の挙動だった)。実際の使用感としてもCPUが足を引っ張っているような様子は全くなく、ゲーム以外の用途においては私が現在使用中のデスクトップPCを置き換えうるスペックだと感じました。
ディスプレイはマルチタッチに対応しているほか、ペン入力にも対応しており、MPP対応のペンを用いることで筆圧検知を使った文字入力が可能です。Ryzen 3モデルでもRAMを8GB搭載していますので、ちょっとしたお絵かきにも十分使えるものとなっています。
TDPは15Wと最近のモバイルPC向けCPUとしては標準的な値となっています。高負荷時にはそれなりの発熱があり、特にフルブラックボディのENVY 13 x360の場合キーボード面全体がかなり熱をもつことがあります。一方で排熱はSpectre x360に比べて大幅に改善されており、高負荷時に排気口に手を近づけるとかなり強力に排気されているのを感じます。底面から吸気しているため、底面を少し浮かせることでさらにエアフローが強力になり、ボディの薄さの割に熱対策はよく行き届いているといえます。もちろん、排気ファンの音がするため、静かなカフェでは高負荷の作業を控えるなど少し配慮が必要です。
カタログスペック上のバッテリー持続時間は14時間30分と、Spectre x360の16時間45分ほどではないものの長い部類に入ります。最新のSpectre x360ではバッテリー持続時間が22時間に達するため、それよりは控えめな値ですが、1日中バッテリーだけで十分やりくりできる持続時間です。しかもENVY 13 x360はUSB type-Cからの給電にも対応しているので、いざとなればUSB PD対応のモバイルバッテリーでも充電でき、より安心です。
というわけで、ENVY 13 x360のレビューをお送りしました。実はまだこのノートPCの立ち位置が確定しておらず、その時の気分やバッテリー残量など状況によってENVY 13 x360を使ったり以前から使用しているMacBookを使用したり、あるいはデスクトップPCやiPadなどほかのデバイスを使ったり、といった状況です。スペック面でも述べた通り、ENVY 13 x360に外部ディスプレイやマウス・キーボードなどを接続してデスクトップPCとしても通用するレベルだと感じたので、今後いろいろ試行錯誤しながらうまく運用していきたいです。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
私は以前HPのノートPCとして「Spectre x360(2017年11月モデル。以降、単にSpectre x360と言う場合は2017年11月モデルを指す)」を使用していましたが、2019年3月にMacBook 12がセールで安くなっていたのを購入したのを理由に売却しました。しかし、Ultrabook向けCPUを搭載しているため主にCPUのスペックが低かったことから、もう少しパワフルなノートPCが欲しいと思っていました。当初は発表・発売されたばかりのMacBook Pro(13インチ・2019年モデル)を購入しようと思い、予算の確保まで済ませていましたが、購入直前にたまたまHPのノートPCの製品紹介ページを見たところENVY 13 x360を見かけ、色やデザインに一目ぼれしてしまいました。極めつけは最上位モデルでもMacBook Proより3万円安く(私がセールで購入したMacBook 12とほぼ同価格)、気が付いたらENVY 13 x360を購入してしまっていました(発売直後かつセールが行われており、しかも先代モデルから続く大人気商品だったため、注文から到着まで3週間弱待つことになりました)。
それではさっそく開封していきましょう!以前購入したSpectre x360は専用の化粧箱に入れられて、それが専用キャリングポーチとともに段ボール箱に入っているという特別仕様でしたが、ENVY 13 x360は普通の段ボール箱に梱包されています。キャリングポーチも付属していません。
今回も同時に液晶保護フィルムを注文したのですが、やはり今回も大きな段ボール箱にフィルムの薄っぺらいパッケージが1個だけ入っているというムダ梱包でした(笑)。
段ボール箱を開けると本体とクイックスタートガイドが出てきます。クッションとなるスポンジらしきものもなく、Spectreシリーズがいかに特別仕様だったのかをまざまざと思い知らされます……
付属品はACアダプタとACコード、ウォールマウントプラグ、取説類、そして「速効!HPパソコンナビ特別版」。ACアダプタは専用品です。なお、後述しますがENVY 13 x360はACアダプタでの給電のほかに、USB type-C端子からのUSB PDでの給電にも対応しています。
ACアダプタの出力は65Wで、Spectre x360に付属していたUSB PD ACアダプタよりもコンパクトに作られていますが、ウォールマウントプラグはデザイン的に違和感があります(笑)。アダプタ本体が大きく電源プラグ付近の取り回しも大変なのでACコードを使用するのが無難でしょう。
続いて本体の紹介。
本体天板。写真の写りの都合上シルバーっぽく見えますが、実際はブラック!よっ!この色をぼくは待ってたぞ!あと1年(先代モデルも考慮すれば、あと半年)ENVY 13 x360の発売が早ければ……と悔やみたくなるぐらい、文句なしのカラーリングです。とはいえ、Surface Pro 6やLet's noteのようなどこからどう見てもブラック、という感じではなく、光の当たり方によってわずかに茶色っぽく見える、HPらしい落ち着いた色合いだと感じました。天面にはHPのロゴ。ENVY・Spectre・Elitebookシリーズのみにつけられる、上位ブランドの証です。
裏面には吸気口があります。
右側面。ヒンジ側からAC端子、USB type-A・USB type-C(USB3.1 Gen.1。Thunderbolt 3ではない)・microSDカードスロット・webカメラスイッチ。USB type-C端子は接続機器への給電のほか、USB ACアダプタからの受電にも対応しており、専用ACアダプタとの2系統の充電方法が備わっています。手元の環境で試したところ、USB PD対応の30W USB ACアダプタでは問題なく給電ができました。しかし、USB PD対応で給電しながら機能拡張できるドッキングステーションを接続したところ、給電は行われませんでした。あくまで補助的な機能として、手持ちの機器が使えるか確かめたうえで利用する必要がありそうですが、それにしてもUSB type-Cからも充電できるのは、例えば外出時の電源供給に手持ちのUSB ACアダプタやモバイルバッテリを流用できるなど、いざというとき助かる機能と言えるでしょう。
webカメラスイッチは、webカメラの回路を物理的に切断することができるもので、プライバシーを特に気にするユーザにとっては、webカメラのレンズ部分に目隠しのシールをして見た目が不格好になるのを防ぐことができ、大変助かる機能だと思います(私はそういうことはあまり気にしないので、特にこのスイッチを操作することはないと思いますが)。
Spectre x360には右側面に音量ボタン(タブレットモード時に便利)がついていましたが、ENVY 13 x360にはついていません。
ヒンジ部にはENVYのロゴがあしらわれています。
左側面。ヒンジに近い側からUSB type-A、ヘッドフォン端子、電源ボタン、排気口。ENVY 13 x360はこの薄さながらフルサイズUSB端子を2個も備えており、このサイズとしては抜群の拡張性を誇ります。
Spectre x360では排気口はヒンジ側についていましたが、ENVY 13 x360は左側面から排気します(なお、同じモデルラインの15インチモデルであるENVY 15 x360は右側面にも排気口があり、両側から排気されます)。
カバーを開けてキーボード部分。キー配列はSpectre x360とほぼ同じです。やはりEnterキーの右に一列あり、慣れるまではEnterキーを押したつもりが間違えて隣のキーを押してしまうことが頻発しそうです。私はSpectre x360でこの配列に慣れていたので特に違和感なく使えていますが、この一列があることでものすごくフラストレーションがたまる場合もあるので、店頭で十分に打鍵を試してから購入することをおすすめします。なお、キーボードは適度なキーピッチ・ストローク・打鍵感がありながら打鍵音がSpectre x360よりかなり抑えられており、静かなカフェでも気兼ねなくタイピングできます。キーボードにはバックライトが搭載されています。Spectre x360と同様照度センサが搭載されていないためディスプレイの明るさは固定で、キーボードバックライトのオンオフも手動ですが、オン時でも一定時間キーボードやタッチパッドが無操作の場合は自動で消灯するようになっており、省電力に配慮した仕様となっています。
タッチパッドはHPのノートPCとしては一般的な横長のものです。MacBookシリーズのような大きなトラックパッドではないため、指を大きく使ったジェスチャは難しそうです。なお、Spectre x360は複数指タップの挙動などタッチパッドの挙動変更はSynapticsドライバの設定から変更する必要がありましたが、ENVY 13 x360ではWindowsの設定アプリから設定変更することができます。
パームレストの右わきには指紋センサが搭載されています。先代モデルは顔認証のみでしたが、本モデルからは指紋認証のみに変更されています。センサが正方形で大きいため精度はよく、パームレスト上にあるためノートPCモードだと位置も把握しやすいため(Spectre x360は側面についていたうえセンサが周囲と面一だったためセンサの場所がわかりにくかった)、ストレスなくロック解除できます。
ENVY 13 x360は、「x360」という名前の通りディスプレイ部が360度回転し、タブレットとしても使うことができます。上の画像はノートPCモード。このように通常のクラムシェルノートと同じ使用感が得られるのがSurface Proなどにはない特長です。さらに、通常のノートPCでは開口角は120度程度のものが多いですが、x360シリーズは360度回転する関係で、より大きな開口角を実現できます。例えばソファなどで膝を立てて座り、膝の上でノートPCを操作する際にディスプレイ部をより大きく開けることで見やすい角度で使用することができるほか、テーブルを囲んでミーティングなどをする際にディスプレイ部を180度まで倒すことで大勢でPCの画面を見ることができます。
こちらはゆったりと映像を楽しむのに便利なスタンドモード。
こちらは狭い場所に置きやすいテントモード。
こちらは完全に折りたたんだタブレットモード。重量が1.28kgあるためSurface Proのような身軽さではありませんが、「普段はノートPCとして使うけど、いざというときちょっとだけタブレットとしても使いたい」というような要求に応えられるものとなっています。もちろん、ディスプレイ部を反転させた時点でキーボード・タッチパッドが無効になるので、裏面に来るキーボードを気にする必要はありません。
さっそく起動!ディスプレイは13.3インチFHDです。Spectre x360では4Kディスプレイモデルもありましたが、ENVY 13 x360はFHDのみのラインナップです。IPS液晶で発色もよく、どの角度からでもきれいな映像を楽しむことができます。ベゼルは流行りの狭額縁仕様で、Spectre x360に比べて上部のベゼルがさらに削られており、より一層スタイリッシュに見えます。一方ベゼルを削ったことで上下方向のフットプリントが6mm小さくなっており、そのしわ寄せがタッチパッドサイズ縮小に来ています。
それでは、ハードウェアの性能について詳しく見ていきます。ベンチマークはいつものCINEBENCH R15を使用。なお、CINEBENCHは最新のR20が公開されていますが、過去に様々なPCで計測したスコアとの比較のため、当分の間R15を使用します。
CPUは最新の第3世代Ryzenが搭載されています。私が購入したモデルにはRyzen 7 3700Uが搭載されています。このほか、下位モデルにはRyzen 5 3500U、Ryzen 3 3300Uがラインナップされており、Ryzen 3モデルの場合セールなどを併用することで7万円台で購入することができます。
以前家族が購入したノートPCにRyzen 5 2500Uが搭載されており、そのPCでもCINEBENCHを計測したのですが、そのスコアと比較すると世代が進んだ分&Ryzen 5とRyzen 7の差分が順当にスコアに反映されていると思います。Spectre x360では、(私の環境だけだったのかもしれませんが)電力供給に関する問題で高負荷時にCPU本来の性能が発揮されず、CINEBENCHのスコアも異常に低いものとなっていましたが(当初サーマルスロットリングが早い段階で作動しているものと考えていたが、その後様々な負荷のかけ方を試したところCPUへの電力供給が追い付かずクロックやCPU使用率が落ち込んでいる可能性に至った)、ENVY 13 x360では適切に電力供給がなされており、CPU使用率・クロックともに最後までほぼ100%で走りました(ベンチマーク後半は85%程度に落ちたが、温度をモニタリングしたところ明らかにサーマルスロットリングに起因するものだったため、想定内の挙動だった)。実際の使用感としてもCPUが足を引っ張っているような様子は全くなく、ゲーム以外の用途においては私が現在使用中のデスクトップPCを置き換えうるスペックだと感じました。
ディスプレイはマルチタッチに対応しているほか、ペン入力にも対応しており、MPP対応のペンを用いることで筆圧検知を使った文字入力が可能です。Ryzen 3モデルでもRAMを8GB搭載していますので、ちょっとしたお絵かきにも十分使えるものとなっています。
TDPは15Wと最近のモバイルPC向けCPUとしては標準的な値となっています。高負荷時にはそれなりの発熱があり、特にフルブラックボディのENVY 13 x360の場合キーボード面全体がかなり熱をもつことがあります。一方で排熱はSpectre x360に比べて大幅に改善されており、高負荷時に排気口に手を近づけるとかなり強力に排気されているのを感じます。底面から吸気しているため、底面を少し浮かせることでさらにエアフローが強力になり、ボディの薄さの割に熱対策はよく行き届いているといえます。もちろん、排気ファンの音がするため、静かなカフェでは高負荷の作業を控えるなど少し配慮が必要です。
カタログスペック上のバッテリー持続時間は14時間30分と、Spectre x360の16時間45分ほどではないものの長い部類に入ります。最新のSpectre x360ではバッテリー持続時間が22時間に達するため、それよりは控えめな値ですが、1日中バッテリーだけで十分やりくりできる持続時間です。しかもENVY 13 x360はUSB type-Cからの給電にも対応しているので、いざとなればUSB PD対応のモバイルバッテリーでも充電でき、より安心です。
というわけで、ENVY 13 x360のレビューをお送りしました。実はまだこのノートPCの立ち位置が確定しておらず、その時の気分やバッテリー残量など状況によってENVY 13 x360を使ったり以前から使用しているMacBookを使用したり、あるいはデスクトップPCやiPadなどほかのデバイスを使ったり、といった状況です。スペック面でも述べた通り、ENVY 13 x360に外部ディスプレイやマウス・キーボードなどを接続してデスクトップPCとしても通用するレベルだと感じたので、今後いろいろ試行錯誤しながらうまく運用していきたいです。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。