2016年6月1日に開催された「Xperiaアンバサダーミーティング」では、参加者にXperia X Performanceが約3週間貸し出され、じっくりと使い込みながら感想をブログなどにレビューするモニター企画も同時に実施されます。今回、私もアンバサダーミーティングに参加し、Xperia X Performanceをお借りしましたので、3つのパートに分けて感じたことを書いていきたいと思います。感じたことをできるだけそのままお伝えするため、記事が長大になります。あらかじめご了承ください。
それではさっそくレビューを始めていきましょう!今回お借りしたのはXperia X Performance(docomoモデル・SO-04H)、ローズゴールドです。私は現在メイン端末としてNexus 6Pを使用していますが、外観上の比較をNexus 6Pとしてもあまり意味がないので、以前使用していたXperia ZL2、および2015年11月のアンバサダーレビュー企画でお借りしたXperia Z5との比較を中心に行っていきます。
前回のイベントレポート記事でお伝えした通り、新しいXperiaの3大特長である「生まれ変わった新しいデザイン」「先進のカメラ性能」「進化した使いやすさ」を特に重視してレビューするほか、Xperia Z2・Z3を購入されたユーザーは、そろそろキャリアの2年縛りが切れ、次の機種変の候補としてX Performanceが挙がってくると思いますので、それを意識したレビューにもしていきたいと考えています。
※一部内容はXperia Z5試用レビュー記事のパート1とパート3をご参照いただきながら閲覧いただくことを前提に執筆しています。
まずは外観の紹介。
表面。男なのにローズゴールドが当たってしまった……と思っていたのですが、実際の色合いはかなり落ち着いたピンク色で、「これはカッパー(銅色)だ」と言われるとそのようにも見えてしまうほどです(写真だとその色合いが正確に再現できないのが残念です)。
ディスプレイサイズはZ2以降の主流であった5.2インチからZ・Z1・ZL2と同じ5.0インチに変更になりました。また、スピーカー穴はZ4・Z5で採用されていたスリットタイプから、Z3と同じ前面穴タイプに変更されました。さらに、ディスプレイ周りのベゼルもボディと同色になりました。カラーデザイン上の一体感が増したのは良いことなのですが、グラファイトについてはベゼルもグラファイト(グレー)となったため、従来の真っ黒なベゼルに比べると画面への没入感の面で劣ってしまうように感じました。
従来背面にあったNFCセンサーは表面、フロントカメラの左に移動しています。本体にはセンサーの場所を示す印字などはないため、初期状態ではセンサーの場所にアイコンシールが貼り付けられていますが、デザイン的によろしくないのと液晶保護フィルムを貼る際には邪魔になるので、センサーの場所を把握したらすぐにはがしてしまいましょう(笑)(この端末はお借りしているものなので、はがさずに使います……)。
裏面。Zシリーズから続くフラットな裏面ですが、フチがわずかにラウンドしており、またアルミ背面パネルを採用しているためZ5以前のような、まるで端末が手に持たれることを拒むかのようなとげとげしさは感じません。それでいてフラットなデザインとなっているためZL2のようなダサさもありません。この辺りはさすが、「生まれ変わった新しいデザイン」「進化した使いやすさ」を特徴としているだけのことはあります。
裏面のdocomoロゴについては、相変わらずではありますが「ダサい」と言わざるを得ません。なおau版は中央のdocomoロゴがXPERIAロゴに、下部のXPERIAロゴがauロゴと型番表記になっており、Softbank版は中央にXPERIAロゴがあるのみです。裏面のデザインで言えば、グローバル版に最も近いSoftbank版に軍配が上がります。
右側面と下部。指紋センサー付き電源ボタンと音量ボタン・シャッターボタンの配置はZ5から変わっていません。
充電・データ通信用コネクタはmicroUSBの採用です(Z4・Z5に引き続きキャップレス防水対応)。Nexus 5X・6Pをはじめ、最近発売された一部のスマートフォン・タブレットではUSB type-Cコネクタを採用する例が増加してきていますが、X Performanceについては既存アクセサリーとの互換性を考慮、あるいはキャップレス防水機構の関係か、引き続きmicroUSBの採用となりました。
さらに、Z5までは下部などに備えられていたストラップ穴が今回からなくなりました。ストラップをつけずに使う人が多いことが要因と考えられますが、私は端末を取り落としてしまわないようストラップを使用しており、機種変したNexus 6Pにもやはりストラップ穴がなくわざわざストラップ穴付きのケースを購入したため、ストラップ穴が必要なユーザーはケースやカバーなどのアクセサリーを購入しなければならなくなります。
左側面と上部。ヘッドフォンジャック(キャップレス防水対応)、SIM・microSDHCカードスロットの配置に変化はありません。なお、Z5の左側面下部にあったXperiaロゴの刻印は今回はありません。
ところで、X Performanceから新たに採用されたラウンドエッジタイプのディスプレイガラスですが、
写真ではわかりにくいですが、ガラスの盛り上がりは控えめで、最も盛り上がっている部分でもサイドフレームとほぼ同じ高さにとどまっています。iPhone6以降のiPhoneもラウンドエッジタイプのガラスを採用していますが、こちらはガラスそのものがサイドフレームより上側に位置しているため、万が一ディスプレイが下を向くように落としてしまった場合にガラス部分に先に衝撃が加わり、ガラスが割れやすくなります(実際にiPhone6はiPhone5s以前のモデルよりガラスが割れる報告が多くなったとの情報を耳にします)。一方、X Performanceはガラスの盛り上がりが控えめなため、同じように落としてしまってもサイドフレームに先に衝撃が加わる確率が高くなり、ガラスへのダメージは低減され割れにくくなると言えます。もっとも、精密機器に強い衝撃を加えることなど論外なので、まずは落とさないことが一番ですが(スマートフォンをよく落としたり画面をバキバキにしている人の神経が私には理解できません)。
ラウンドエッジになったことにより完全なフラット面ではなくなったため、液晶保護フィルムでガラス面全体を完全に覆うのは困難になります。私は画面の映り込み低減と指滑り向上のために手持ちのすべての端末に非光沢タイプのフィルムを貼り付けていますが、そのようなフィルム貼り付けユーザーにとってはフチの数mmがフィルムに覆われていないことが気になるでしょう。最近はラウンドエッジ対応の液晶保護フィルム(ラウンドしている部分も覆うことができる)も登場してきているので、X Performance向けフィルムでも同様の製品が出ることを期待したいです。
Z5まではSIM・microSDHCカードスロットは側面のキャップを外し、中のトレイを引き出す形式でしたが、X Performanceからはキャップとトレイが一体となったものに変更されました。キャップがトレイと防水パッキンによってがっちりと固定されるため、意図せずキャップが外れてしまう可能性は少なくなるでしょう。
Z1・Z2でスピーカースリット内、Z3~Z5で表面左上にあった通知LEDはX Performanceではスピーカー穴の中に移動しました。穴の右側だけが光るタイプで、ここはいっそ、スピーカー穴全体が柔らかく光るようなギミックにするなど、改善の余地があると感じました。なお、後ろにあるNexus 6Pも充電中ですが、充電中であることを示す通知LEDは光りません(通知LEDは画面左上に搭載)。
一応手持ちのNexus 6Pと大きさの比較。Nexus 6Pのディスプレイサイズは5.7インチとなります。Nexus 6Pは狭額縁ベゼルの採用などでディスプレイサイズの割に本体がコンパクトで、それほど大きいとは感じていませんでしたが、X Performanceと比べるとやはり大きいことが実感されます。大画面ディスプレイであることと手帳型ケースを使用していること、ソフトウェアキーボードをQWERTY配列で使用していることからNexus 6Pは両手で操作することが多いのですが、X Performanceを使用してみて、やはり片手で操作できる端末もいいなあ、と改めて感じた次第です。
ディスプレイの発色については、Nexus 6PはAMOLEDを採用しているため非常にヴィヴィッドな色合いとなっていますが、X Performanceもそれに匹敵するほどの鮮やかな色表現です。なお、黒画面については自発光式であるAMOLEDは完全に真っ暗になるため、白黒コントラストの面ではNexus6Pが勝ります。
続いて起動画面の紹介です。Xperia Z5・ZL2(Android4.4の時に撮影)の起動画面についても動画をすでに投稿していますので、併せてご覧ください。
ここからは性能・使い勝手についてのレビューです。
まずZ5から搭載された指紋センサーについて。Z5で指紋センサーを試した際は「一発で認識できればストレスがないが、手が水にぬれているなどちょっとしたことで認識しにくくなり、かえって指紋認証が煩わしく感じる」との感想を持ち、私自身レビュー用に指紋を登録して一通りの撮影をし終わった後は指紋認証を無効化し、従来通りPINによるロック解除で使用していました。また電源ボタンが押しにくく、違和感なく押せるようになるまでに慣れが必要でした。しかし、X Performanceではそのいずれも改善していました。
電源ボタンはZ5では「カチッ」といった感じのクリック感で、強めに押し込まないとスイッチが反応しませんでしたが、X Performanceの電源ボタンは「コツッ」といった感じのクリック感に変更されており、Z5ほど強く押さなくても反応するようになりました。また、相変わらず電源ボタンはサイドフレームから一段くぼんでいるような配置ですが、ボタン周りのフレーム高さが調整されており、Z5ほどの押しにくさは感じませんでした。
指紋センサー自体についても精度が大きく向上しており、多少水にぬれていたりいい加減にタッチしたりしていても反応します。Z5では一発で反応することのほうが少なかったのに対し、X Performanceは一発で反応しないことのほうが少ないです。センサーに指を触れてから反応するまでの時間も短縮されており、「軽くタップする」ような感覚でセンサーに触れてロック解除できます。なお、Nexus 6Pは画面が消灯している状態でも指紋センサーに触れれば即座にロック解除されますが、X Performanceにはそのような機能はなく、一度電源ボタンで画面を表示させてからロック解除します。
ロック画面も変更になっています。従来は上にスワイプすることでロック解除、またはPIN・パターン入力画面に移行していましたが、X Performanceからは右から左にスワイプすることでロック解除します(もちろん上にスワイプしてもロック解除されるが、時計表示は左へ動く)。この点は左から右へスワイプするという違いだけで、iOSに似ていないこともないような……なおNexus 6Pは同じAndroid6.0ですが、ロック解除は下から上にスワイプです。
続いて温度について。Z4・Z5はSoCにQualcomm Snapdragon810を採用していたため端末が高温になりやすく、私のZ5レビューではZL2と4K動画撮影で端末温度比較を行い、Z5はわずか3分強で温度上昇により録画が自動停止するほどの激しい発熱でした。
X PerformanceはSoCにSnapdragon 820を採用しています。数字がさらに大きくなっているため発熱がさらにひどくなっていそうなイメージですが、コアあたりの性能が2倍以上に向上したためコア数が8から4に半減し、これによって性能をアップさせながら消費電力と発熱の低減を達成しています。
今回お借りしているX Performanceは開発機であり製品版とは仕様が異なる可能性があるため、ここでベンチマークの結果を掲載するのは避けますが(そもそもAnTuTu Benchmarkなどベンチマークアプリがインストールできず、ブラウザベンチマークで確認するしかない)、ここまで触ってきた限りではコア数が半減していることを全く感じさせない滑らかな操作感でした。
温度についてはX Performanceもやはり70度台まで発熱しますが、アプリの更新を連続して行うなどCPUに負荷のかかる作業を長時間続けていても背面は「ほんのり暖かくなる」程度にとどまっており、「やけど寸前まで熱くなる」ほどだったZ5に比べると明らかに発熱量が減少しています。
UIについても変更が加えられています。Android6.0での変更点は数多くあるのですが、特に気になるものをご紹介します。
まずはアプリ履歴画面。
Android5.x版Xperiaでは右下にあった「全アプリ終了」ボタンが見当たりません。まさか、一つずつアプリを終了する方式に回帰!?
と思いきや……
一番手前のアプリプレビューの下に「すべて削除」のボタンがちゃんとあります。ただ、全アプリを一度に終了する場合、アプリが多数立ち上がっていると「すべて削除」ボタンが隠れてしまい、わざわざ下までスクロールしないといけないのでAndroid5.x以前に比べると煩わしく感じます。最近はNexus 6P(リファレンスAndroidであるため「全アプリ終了」ボタンのようなものはない)を使用していることもあり、私は「すべて削除」ボタンは使わずアプリプレビューを1個ずつスワイプして終了させています。
また、Z5まで存在していた「スモールアプリ」がなくなっていますが、これはデュアルウィンドウに対応したAndroid Nの登場を見越したものではないかとされています。とはいえ、Android Nが正式にリリースされ、かつそのアップデートがX Performanceに提供されるまではデュアルウィンドウもスモールアプリもない状態となるため、利便性の面で大きく劣ると感じました。なお、Android6.0にアップデートされたXperia Z5では今のところスモールアプリは存置されているようです。
クイック設定ツールはAndroid5.x以降のXperiaと同様のUIとなっていますが、これまでクイック設定ツールを呼び出すには画面を上から2回スワイプするか、2本指でスワイプする必要があったのに対し(Nexus 6Pも同様)、X Performanceでは上から一度スワイプし、そのまま指を離さず画面の下までスワイプしきることで1回の動作でクイック設定ツールを呼び出すことができるようになりました。なお、元の画面に戻る際は従来通り2回のスワイプが必要となります。
と、ここまでX Performanceをじっくりと触ってきて感じたのが「ユーザーのことをよく考えているなあ」ということ。そして「X Performanceちょっとほしいかも」と感じました。Xperia Z5は発熱といい指紋センサーといい未完成な部分が多く、ほしいとは思わなかったのですが、X PerformanceではZ5で感じていた不満点がほぼ改善されており、加えてユーザーのことをよく考えたデザインを追求しているため、Xperiaの一つの完成形ととらえることもでき、非常に好印象を受けました。「端末ショップでX PerformanceのSoftbank版が発売されたら購入するのもアリかな」などと考え始める自分がここに(おい)。いずれにしてもZ5やそれ以前のモデルから使い勝手が大きく向上していることは事実で、それを肌で感じることができました。
次回パート2ではカメラ性能についてチェックしていきます。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
余談: X Performanceを借りた際、紙袋の中に本体のほか、USB ACアダプタ・USBケーブル(私は手持ちの環境を使用するので不使用)、注意事項などが書かれた書類一式が入っていたのですが、加えて、
このようなXperiaオリジナルポーチも封入されていました。ん、この大きさ……モバイルバッテリーやらUSBケーブルやらを収納するのにぴったりだぞ!!!
☆レビューの前に☆
私はXperiaアンバサダーであり、実際にXperiaが好きで、今年4月までメインの端末としてXperia ZL2を使用していました。しかし、それらである以前に私は一人の一般的なスマートフォンユーザーです。良いところは高く評価しますが、悪いところはちゃんと「悪い」と言います。しかし、ただ「悪い」というだけでは一般ユーザーの域を出ませんので、レビュアーとして「どこがどのように悪いか」「どうすれば改善されるか」を重視して記事を書いていきたいと思います。記事執筆までの短期間に触った限りでは、先代のXperia Z5に比べると「ここはよくないなあ」と感じた点は少なくなっています。とはいえ、今後使い込んでいくうちによくないと感じる点が見つかり、そのことをパート2以降に記述、またはこの記事に追記することがあるかもしれませんが、以上の点をご理解いただいた上で記事をご覧いただければと思います。
それではさっそくレビューを始めていきましょう!今回お借りしたのはXperia X Performance(docomoモデル・SO-04H)、ローズゴールドです。私は現在メイン端末としてNexus 6Pを使用していますが、外観上の比較をNexus 6Pとしてもあまり意味がないので、以前使用していたXperia ZL2、および2015年11月のアンバサダーレビュー企画でお借りしたXperia Z5との比較を中心に行っていきます。
前回のイベントレポート記事でお伝えした通り、新しいXperiaの3大特長である「生まれ変わった新しいデザイン」「先進のカメラ性能」「進化した使いやすさ」を特に重視してレビューするほか、Xperia Z2・Z3を購入されたユーザーは、そろそろキャリアの2年縛りが切れ、次の機種変の候補としてX Performanceが挙がってくると思いますので、それを意識したレビューにもしていきたいと考えています。
※一部内容はXperia Z5試用レビュー記事のパート1とパート3をご参照いただきながら閲覧いただくことを前提に執筆しています。
まずは外観の紹介。
表面。男なのにローズゴールドが当たってしまった……と思っていたのですが、実際の色合いはかなり落ち着いたピンク色で、「これはカッパー(銅色)だ」と言われるとそのようにも見えてしまうほどです(写真だとその色合いが正確に再現できないのが残念です)。
ディスプレイサイズはZ2以降の主流であった5.2インチからZ・Z1・ZL2と同じ5.0インチに変更になりました。また、スピーカー穴はZ4・Z5で採用されていたスリットタイプから、Z3と同じ前面穴タイプに変更されました。さらに、ディスプレイ周りのベゼルもボディと同色になりました。カラーデザイン上の一体感が増したのは良いことなのですが、グラファイトについてはベゼルもグラファイト(グレー)となったため、従来の真っ黒なベゼルに比べると画面への没入感の面で劣ってしまうように感じました。
従来背面にあったNFCセンサーは表面、フロントカメラの左に移動しています。本体にはセンサーの場所を示す印字などはないため、初期状態ではセンサーの場所にアイコンシールが貼り付けられていますが、デザイン的によろしくないのと液晶保護フィルムを貼る際には邪魔になるので、センサーの場所を把握したらすぐにはがしてしまいましょう(笑)(この端末はお借りしているものなので、はがさずに使います……)。
裏面。Zシリーズから続くフラットな裏面ですが、フチがわずかにラウンドしており、またアルミ背面パネルを採用しているためZ5以前のような、まるで端末が手に持たれることを拒むかのようなとげとげしさは感じません。それでいてフラットなデザインとなっているためZL2のようなダサさもありません。この辺りはさすが、「生まれ変わった新しいデザイン」「進化した使いやすさ」を特徴としているだけのことはあります。
裏面のdocomoロゴについては、相変わらずではありますが「ダサい」と言わざるを得ません。なおau版は中央のdocomoロゴがXPERIAロゴに、下部のXPERIAロゴがauロゴと型番表記になっており、Softbank版は中央にXPERIAロゴがあるのみです。裏面のデザインで言えば、グローバル版に最も近いSoftbank版に軍配が上がります。
右側面と下部。指紋センサー付き電源ボタンと音量ボタン・シャッターボタンの配置はZ5から変わっていません。
充電・データ通信用コネクタはmicroUSBの採用です(Z4・Z5に引き続きキャップレス防水対応)。Nexus 5X・6Pをはじめ、最近発売された一部のスマートフォン・タブレットではUSB type-Cコネクタを採用する例が増加してきていますが、X Performanceについては既存アクセサリーとの互換性を考慮、あるいはキャップレス防水機構の関係か、引き続きmicroUSBの採用となりました。
さらに、Z5までは下部などに備えられていたストラップ穴が今回からなくなりました。ストラップをつけずに使う人が多いことが要因と考えられますが、私は端末を取り落としてしまわないようストラップを使用しており、機種変したNexus 6Pにもやはりストラップ穴がなくわざわざストラップ穴付きのケースを購入したため、ストラップ穴が必要なユーザーはケースやカバーなどのアクセサリーを購入しなければならなくなります。
左側面と上部。ヘッドフォンジャック(キャップレス防水対応)、SIM・microSDHCカードスロットの配置に変化はありません。なお、Z5の左側面下部にあったXperiaロゴの刻印は今回はありません。
ところで、X Performanceから新たに採用されたラウンドエッジタイプのディスプレイガラスですが、
写真ではわかりにくいですが、ガラスの盛り上がりは控えめで、最も盛り上がっている部分でもサイドフレームとほぼ同じ高さにとどまっています。iPhone6以降のiPhoneもラウンドエッジタイプのガラスを採用していますが、こちらはガラスそのものがサイドフレームより上側に位置しているため、万が一ディスプレイが下を向くように落としてしまった場合にガラス部分に先に衝撃が加わり、ガラスが割れやすくなります(実際にiPhone6はiPhone5s以前のモデルよりガラスが割れる報告が多くなったとの情報を耳にします)。一方、X Performanceはガラスの盛り上がりが控えめなため、同じように落としてしまってもサイドフレームに先に衝撃が加わる確率が高くなり、ガラスへのダメージは低減され割れにくくなると言えます。もっとも、精密機器に強い衝撃を加えることなど論外なので、まずは落とさないことが一番ですが(スマートフォンをよく落としたり画面をバキバキにしている人の神経が私には理解できません)。
ラウンドエッジになったことにより完全なフラット面ではなくなったため、液晶保護フィルムでガラス面全体を完全に覆うのは困難になります。私は画面の映り込み低減と指滑り向上のために手持ちのすべての端末に非光沢タイプのフィルムを貼り付けていますが、そのようなフィルム貼り付けユーザーにとってはフチの数mmがフィルムに覆われていないことが気になるでしょう。最近はラウンドエッジ対応の液晶保護フィルム(ラウンドしている部分も覆うことができる)も登場してきているので、X Performance向けフィルムでも同様の製品が出ることを期待したいです。
Z5まではSIM・microSDHCカードスロットは側面のキャップを外し、中のトレイを引き出す形式でしたが、X Performanceからはキャップとトレイが一体となったものに変更されました。キャップがトレイと防水パッキンによってがっちりと固定されるため、意図せずキャップが外れてしまう可能性は少なくなるでしょう。
※写真ではSIMカードがセットされていますが、こちらはZ5アンバサダーモニター企画の時と同様、事務局のほうで回線も用意してもらったものです。通話やデータ通信を使用しながら「メイン端末として使用しているつもりで試してほしい」とのことで、今回も用意していただけました。
Z1・Z2でスピーカースリット内、Z3~Z5で表面左上にあった通知LEDはX Performanceではスピーカー穴の中に移動しました。穴の右側だけが光るタイプで、ここはいっそ、スピーカー穴全体が柔らかく光るようなギミックにするなど、改善の余地があると感じました。なお、後ろにあるNexus 6Pも充電中ですが、充電中であることを示す通知LEDは光りません(通知LEDは画面左上に搭載)。
一応手持ちのNexus 6Pと大きさの比較。Nexus 6Pのディスプレイサイズは5.7インチとなります。Nexus 6Pは狭額縁ベゼルの採用などでディスプレイサイズの割に本体がコンパクトで、それほど大きいとは感じていませんでしたが、X Performanceと比べるとやはり大きいことが実感されます。大画面ディスプレイであることと手帳型ケースを使用していること、ソフトウェアキーボードをQWERTY配列で使用していることからNexus 6Pは両手で操作することが多いのですが、X Performanceを使用してみて、やはり片手で操作できる端末もいいなあ、と改めて感じた次第です。
ディスプレイの発色については、Nexus 6PはAMOLEDを採用しているため非常にヴィヴィッドな色合いとなっていますが、X Performanceもそれに匹敵するほどの鮮やかな色表現です。なお、黒画面については自発光式であるAMOLEDは完全に真っ暗になるため、白黒コントラストの面ではNexus6Pが勝ります。
続いて起動画面の紹介です。Xperia Z5・ZL2(Android4.4の時に撮影)の起動画面についても動画をすでに投稿していますので、併せてご覧ください。
ここからは性能・使い勝手についてのレビューです。
まずZ5から搭載された指紋センサーについて。Z5で指紋センサーを試した際は「一発で認識できればストレスがないが、手が水にぬれているなどちょっとしたことで認識しにくくなり、かえって指紋認証が煩わしく感じる」との感想を持ち、私自身レビュー用に指紋を登録して一通りの撮影をし終わった後は指紋認証を無効化し、従来通りPINによるロック解除で使用していました。また電源ボタンが押しにくく、違和感なく押せるようになるまでに慣れが必要でした。しかし、X Performanceではそのいずれも改善していました。
電源ボタンはZ5では「カチッ」といった感じのクリック感で、強めに押し込まないとスイッチが反応しませんでしたが、X Performanceの電源ボタンは「コツッ」といった感じのクリック感に変更されており、Z5ほど強く押さなくても反応するようになりました。また、相変わらず電源ボタンはサイドフレームから一段くぼんでいるような配置ですが、ボタン周りのフレーム高さが調整されており、Z5ほどの押しにくさは感じませんでした。
指紋センサー自体についても精度が大きく向上しており、多少水にぬれていたりいい加減にタッチしたりしていても反応します。Z5では一発で反応することのほうが少なかったのに対し、X Performanceは一発で反応しないことのほうが少ないです。センサーに指を触れてから反応するまでの時間も短縮されており、「軽くタップする」ような感覚でセンサーに触れてロック解除できます。なお、Nexus 6Pは画面が消灯している状態でも指紋センサーに触れれば即座にロック解除されますが、X Performanceにはそのような機能はなく、一度電源ボタンで画面を表示させてからロック解除します。
ロック画面も変更になっています。従来は上にスワイプすることでロック解除、またはPIN・パターン入力画面に移行していましたが、X Performanceからは右から左にスワイプすることでロック解除します(もちろん上にスワイプしてもロック解除されるが、時計表示は左へ動く)。この点は左から右へスワイプするという違いだけで、iOSに似ていないこともないような……なおNexus 6Pは同じAndroid6.0ですが、ロック解除は下から上にスワイプです。
続いて温度について。Z4・Z5はSoCにQualcomm Snapdragon810を採用していたため端末が高温になりやすく、私のZ5レビューではZL2と4K動画撮影で端末温度比較を行い、Z5はわずか3分強で温度上昇により録画が自動停止するほどの激しい発熱でした。
X PerformanceはSoCにSnapdragon 820を採用しています。数字がさらに大きくなっているため発熱がさらにひどくなっていそうなイメージですが、コアあたりの性能が2倍以上に向上したためコア数が8から4に半減し、これによって性能をアップさせながら消費電力と発熱の低減を達成しています。
今回お借りしているX Performanceは開発機であり製品版とは仕様が異なる可能性があるため、ここでベンチマークの結果を掲載するのは避けますが(そもそもAnTuTu Benchmarkなどベンチマークアプリがインストールできず、ブラウザベンチマークで確認するしかない)、ここまで触ってきた限りではコア数が半減していることを全く感じさせない滑らかな操作感でした。
温度についてはX Performanceもやはり70度台まで発熱しますが、アプリの更新を連続して行うなどCPUに負荷のかかる作業を長時間続けていても背面は「ほんのり暖かくなる」程度にとどまっており、「やけど寸前まで熱くなる」ほどだったZ5に比べると明らかに発熱量が減少しています。
UIについても変更が加えられています。Android6.0での変更点は数多くあるのですが、特に気になるものをご紹介します。
まずはアプリ履歴画面。
Android5.x版Xperiaでは右下にあった「全アプリ終了」ボタンが見当たりません。まさか、一つずつアプリを終了する方式に回帰!?
と思いきや……
一番手前のアプリプレビューの下に「すべて削除」のボタンがちゃんとあります。ただ、全アプリを一度に終了する場合、アプリが多数立ち上がっていると「すべて削除」ボタンが隠れてしまい、わざわざ下までスクロールしないといけないのでAndroid5.x以前に比べると煩わしく感じます。最近はNexus 6P(リファレンスAndroidであるため「全アプリ終了」ボタンのようなものはない)を使用していることもあり、私は「すべて削除」ボタンは使わずアプリプレビューを1個ずつスワイプして終了させています。
また、Z5まで存在していた「スモールアプリ」がなくなっていますが、これはデュアルウィンドウに対応したAndroid Nの登場を見越したものではないかとされています。とはいえ、Android Nが正式にリリースされ、かつそのアップデートがX Performanceに提供されるまではデュアルウィンドウもスモールアプリもない状態となるため、利便性の面で大きく劣ると感じました。なお、Android6.0にアップデートされたXperia Z5では今のところスモールアプリは存置されているようです。
クイック設定ツールはAndroid5.x以降のXperiaと同様のUIとなっていますが、これまでクイック設定ツールを呼び出すには画面を上から2回スワイプするか、2本指でスワイプする必要があったのに対し(Nexus 6Pも同様)、X Performanceでは上から一度スワイプし、そのまま指を離さず画面の下までスワイプしきることで1回の動作でクイック設定ツールを呼び出すことができるようになりました。なお、元の画面に戻る際は従来通り2回のスワイプが必要となります。
と、ここまでX Performanceをじっくりと触ってきて感じたのが「ユーザーのことをよく考えているなあ」ということ。そして「X Performanceちょっとほしいかも」と感じました。Xperia Z5は発熱といい指紋センサーといい未完成な部分が多く、ほしいとは思わなかったのですが、X PerformanceではZ5で感じていた不満点がほぼ改善されており、加えてユーザーのことをよく考えたデザインを追求しているため、Xperiaの一つの完成形ととらえることもでき、非常に好印象を受けました。「端末ショップでX PerformanceのSoftbank版が発売されたら購入するのもアリかな」などと考え始める自分がここに(おい)。いずれにしてもZ5やそれ以前のモデルから使い勝手が大きく向上していることは事実で、それを肌で感じることができました。
次回パート2ではカメラ性能についてチェックしていきます。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
余談: X Performanceを借りた際、紙袋の中に本体のほか、USB ACアダプタ・USBケーブル(私は手持ちの環境を使用するので不使用)、注意事項などが書かれた書類一式が入っていたのですが、加えて、
このようなXperiaオリジナルポーチも封入されていました。ん、この大きさ……モバイルバッテリーやらUSBケーブルやらを収納するのにぴったりだぞ!!!