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6月, 2016の投稿を表示しています

【自作小説】ワールド・インターチェンジ「第13話 あなたの心は全部お見通し」

曜日は明けて月曜日、いつもの喫茶店のドアを開けると、そこには優の姿があった。彼女に特別変わった点は見受けられなかった。というか優が、俺が彼女の家に行ったことをあまりに気にしていなさすぎることに、少々複雑な思いを抱かずにはいられなかった。だってそうでしょう。普通は異性が家に来たら、そのあと会った時に気まずさを感じずにはいられないぞ。というか、今の自分がまさにそれである。彼女と目を合わせるのもやっとだった。それなのに、優はまるで俺が、始めから家に行くことなどなかったかのように、平然とした振る舞いでクラスメイトと接していた。とはいえ、彼女が昔から「本当の自分を隠して人と接する」性格であることを考慮すれば、実は内心気まずく感じているのだろうか、と考えもする。 「よっ、来たぞ」 「うん……」 優はこちらを見ず、返事だけしてスマートフォンをいじっていた。今までの彼女ならそんなことはまずなく、たいてい笑顔で「今日も来てくれてありがとう、誠くん」などと返してくれた。今の彼女の表情は学校でのそれとは全く別で、少なくとも「学校での優」と「喫茶店の中での優」の心の中は全く別のものだと推測することができた。 俺は優のとなりに座ったもの、話す内容を見つけられないでいた。この前彼女の部屋を訪れた時に、飽きてしまうほどいろいろな話をしたから、何を話そうにもこの前の繰り返しになってしまう。脳みそを必死に回転させて話のネタを考えていると、優がこちらに目を向けることなく尋ねてきた。 「ねぇ、誠くん……あれがお母さんの仏壇だって、どうして思ったの?」 俺はその言葉に、一瞬で血の気が引き、青ざめてしまった。みるみるうちに脇汗がにじみ出てくる。そのうち額からも汗が流れてきた。彼女の口調は、俺が誰かと浮気していたとして、その様子を影で見ていて後でそれを暴露するかのような話し方だった。あるいは、親に内緒でどこかへ出かけて、帰ってきたときに玄関に親が立っていて、何をしていたか問いただすような話し方であるともいえる。極端な言い方をすれば、ホラーだった。もしかして優に殺されるんじゃないか、と思った。実際に男女関係のもつれで殺人事件に至ったケースも聞いたことがある。 「う、うえっ!?」 あまりにビビってしまい、声が裏返る。先生に課題をやっていないことを咎められるとか、何か悪いことをしてそれが親にばれて怒

【Xperiaアンバサダーモニター企画】Xperia X Performance試用レビュー~3.スグ電・その他編~

「Xperiaアンバサダーモニター企画」パート3ではdocomo版Xperia X Performanceに搭載されている新機能の一つである「スグ電」を試してみたいと思います。また、当記事執筆時点でモニター機貸し出しから2週間ほど経過しておりますので、これまでに使用してきて新たに感じた事、以前のレビューから使い勝手が変わったことなどもここでお送りしていきます。 「スグ電」とは電話の基本操作(電話を受ける・切る・かける・拒否する)を画面操作せずにタップレスで操作できるdocomoオリジナルの機能で、2016年5月以降に発売されたdocomoのスマートフォンに搭載されています。もちろん、X Performanceも対象機種となっています。 実際の動作については文章で説明するよりも実際に動かしてみたほうがわかりやすいので、スグ電を試してみた様子を動画でご紹介します。ここでは発信(右耳・左耳)と切断を試しています。 画面オンの状態で端末を一度振ると「ブッ」と一度振動し、その状態で右耳または左耳に端末を持っていくと「ブッブブッ」と振動して電話がかかります。動画では例として右耳に時報(117)、左耳に天気予報(時報の117と文字の見た目が紛らわしいので、大阪府の天気予報06-177としている)を登録していますが、右耳と左耳とでそれぞれの番号にかかっているのがわかります。なお、右耳・左耳に登録できる番号はあらかじめアドレス帳に登録されている番号に限られます。 通話中に端末の画面を下にして置くと「ブッブブッ」と振動して電話が切れます。 なお、普段から強い振動を加えるような状況で使用している場合、その振動により意図しない発信が行われる可能性がありますので、使用する際は自分の使用状況を把握したうえで、必要な機能のみオンにして使うのが望ましいでしょう。 なお、XperiaスマートフォンにはZ5以前のモデルにも「スグ電」に似た機能として「スマート着信操作」の機能がありました。これは端末を耳元に当てるだけで電話を受けることができたり、端末の画面を下にして置くことで着信音を消すことができる機能です。一部機能は類似していますが、「スグ電」は新たに発信機能が追加されているなど、「スマート着信操作」をより進化させた機能といえます。かくいう私は電話をかけることも受けることも少ない

【自作小説】ワールド・インターチェンジ「第12話 それは、もはやデートとは呼べないものだった」

ある金曜日、別れ際に優が言う。 「誠くん、明日土曜日だけど、暇?」 「あぁ、俺は暇だけど、どうかした?」 「突然だけど、私の家に来ない? もっとおしゃべりしたいな~って思って」 「でも、俺が優の家に向かっているってことがばれたらやばくないか?」 「大丈夫、今から裏道教えるから。その道から来て、裏口から入れば人目につくことはないよ。だめ、かな……?」 「いや、この前みたいにならないなら俺は構わない」 「やった! ありがと~。じゃあ、今から道順教えるね」 優から裏道を教えてもらい、別れる。それから、俺が生まれて初めて女の子の家に遊びにいくという、重大な事実に気付き、その途端心臓の鼓動の加速を感じずにはいられなかった。俺は高揚した気分で自転車をこいだ。その夜も、夢香に会うことはできなかったが。 翌日、俺は教えてもらった道順通りに狭い路地を進み、ある一軒家にたどり着いた。すぐに裏口の扉が開き、中から優が出てきた。 「誠くん、こっちこっち!」 小さな声で手招きする。さながら秘密の話し合いでもするかのように。俺は改めてカバンを探り、勉強道具と、暇つぶし用の本が入っているかを確認した。 「お邪魔します」 「ど、どうぞ~」 いわゆる勝手口と言えるような小さなドアから、優の家に入る。それは台所に直接通じており、優の日常をほんの少しだけ垣間見ることができた。 「ごめんね、あまり片付いていなくて」 「俺は構わないよ」 「家の中も結構散らかってるから、あまり見ないでほしいな」 「俺には十分きれいに片付いているように見えるけどなぁ」 などと会話しているうちに優の部屋に到着。俺、これから女の子の部屋に入るのか……ごくり、と息をのむ。どうしてだろう。急に緊張してきた。さっきまでの平静はどこへ行ってしまったのだろう。そして、ついに優の部屋のドアが開かれる。 「どうぞ、入って……」 「おぉ……」 彼女の部屋は、我々が想像しがちな女の子の部屋、すなわちファンシーなグッズが並べられていたり、ベッドに大きなぬいぐるみがいくつも転がっていたりなど、そういった部屋ではなく、四畳半の和室の片隅に勉強机、そのほぼ反対側には布団を置くスペースだろうか、何も置かれていない空間がある。部屋の真ん中、ちょうど半畳の畳が埋め込まれるべき位置には、場にそぐわないというか、来客のた

【Xperiaアンバサダーモニター企画】Xperia X Performance試用レビュー~2.カメラ編~

「Xperiaアンバサダーモニター企画」パート2ではXperia X Performanceのカメラ性能についてチェックしていきます。 私自身はスマートフォンに搭載されているカメラ機能は、どれだけ性能が良くなろうと「所詮スマフォのカメラ」と考えており、また実際にスマートフォンで撮影できる写真には限界があり、構図やライティングを工夫しない限り「いかにもスマフォで撮影した」ような絵になってしまいます。このことから私は現在でも本格的な写真撮影の際は設定の自由度が高いハイアマ向けデジタルカメラまたはデジタル一眼レフカメラを使用しています。しかし、そんな私でもレビュー記事用の写真の撮影やSNSに投稿する写真の撮影など、「撮れればいい」程度のものについては撮影後の画像の取り扱いがフレキシブル(レタッチアプリを用いてスマフォだけでトリミングや画像補正を施すことができたり、画像をLAN経由で自分のPCに流したり、クラウドや写真投稿サイトへのアップロード・公開などがスマフォだけでできる、など)であることから、Nexus 6Pのカメラ機能を使うことが多いです。また、スマートフォン選びにおいて「カメラ性能」を重視するユーザーが多いのは事実であり、Xperiaの商品情報ページでも「カメラ」の項目が独立して設けられていることからもスマートフォンのカメラ機能は重要な項目の一つとなっています。本レビューでも「カメラ編」を独立した記事としてお送りしていきます。 Xperia X Performanceのカメラ機能の大きな特徴としては、 Xperia史上最速0.6秒起動・撮影 先読みオートフォーカスによる0.03秒オートフォーカス 有効画素数約1320万画素、広角レンズ・大型高感度センサーを採用したのフロントカメラ 使いやすく進化したUI が挙げられます。もちろん、Exmor RS for mobile・SONY Gレンズ・BIONZ for mobileといった、従来からの高画質技術も引き続き採用されています。なお、Z2以降のXperiaスマートフォンに搭載されていた4K動画撮影機能は搭載されておらず、動画の最大サイズはFull HD(1920x1080)となります。本格的な4Kビデオカメラに比べると画質面で大きく劣り、「これは4Kで撮影したものだ」と明示しない限り4

【自作小説】ワールド・インターチェンジ「第11話 それは俗にいう、修羅場だった」

「……優? なんでここに?」 「そ、それはこっちのせりふよ。……どうして誠くんがここにいて、しかも竜野夢香と一緒なの?」 あ~、こういうシチュエーション、なんていうんだっけか。そうだ、「修羅場」だ。やべぇ、俺、あの「修羅場」ってやつに飲み込まれてるよ。 などと余裕ぶっこいて考えていられたのもほんの数秒間だけだった。目の前に突如現れた人物が、間違いなく網干優、本人であるとわかった途端、俺はあらゆる感情が複雑に絡み合い、今の心情をどう表現していいのかわからなくなってきた。 「竜野夢香、あなた、誠くんに何したのよ」 「何もしてませんよ。そう言うあなたこそ、誠さんのことを下の名前で呼ぶなんて、ずいぶん馴れ馴れしいじゃないですか?」 「あんたこそ、下の名前にさん付けで呼んでいるじゃない。私はね、誠くんの彼女なの。ていうかあんた、さっき誠くんにキスしていたじゃない。私と誠くん、まだキスしたことないのに、どういうつもりなの!」 「あなたが、誠さんの言っていた彼女さんですか。優しい誠さんにできた彼女さんですから、きっとお美しい方なんでしょう、なんて想像していたら何ですか! 網干優さんのことじゃないですか」 「ってちょっと待った待った! 夢香と優、いったいどういう関係なんだ?」 「あ! すみません、つい言い合いに夢中になってしまいました。実は」 「あんたは黙っていなさい。私が説明するわ。誠くん、私は現実であなたに助けてもらって、本当の素直な気持ちを伝えあった、あの網干優、本人よ。誠くんもこの場に来ているってことは、この空間の意味は知っているんだよね?」 「まぁな。おおよその説明は夢香から聞いた」 「……夢香だなんて。誠くんと竜野夢香って、一体どういう関係なの? あなたの口から説明してほしいな」 俺は、すべてを正直に優に話すべきか、一部を端折って説明するべきか悩んだ末、とりあえず後者を選択した。 「夢香は……俺の命の恩人なんだ。俺のつまらない人生を変えてくれて、飛躍しすぎた人生ではあと一歩で死ぬところだったのをギリギリで助けてくれた」 「そう……教えてくれてありがとう。なら、私もなんで竜野夢香を嫌っているか、いや、狙っているか、説明しないといけないね」 そして、彼女の口からすべてが語られた。 「私は……竜野夢香に消えてほしいの」 ふと、夢香のほうを見

【Xperiaアンバサダーモニター企画】Xperia X Performance試用レビュー~1.ハードウェア編~

2016年6月1日に開催された「Xperiaアンバサダーミーティング」 では、参加者にXperia X Performanceが約3週間貸し出され、じっくりと使い込みながら感想をブログなどにレビューするモニター企画も同時に実施されます。今回、私もアンバサダーミーティングに参加し、Xperia X Performanceをお借りしましたので、3つのパートに分けて感じたことを書いていきたいと思います。感じたことをできるだけそのままお伝えするため、記事が長大になります。あらかじめご了承ください。 ☆レビューの前に☆ 私はXperiaアンバサダーであり、実際にXperiaが好きで、今年4月までメインの端末としてXperia ZL2を使用していました。しかし、それらである以前に私は一人の一般的なスマートフォンユーザーです。良いところは高く評価しますが、悪いところはちゃんと「悪い」と言います。しかし、ただ「悪い」というだけでは一般ユーザーの域を出ませんので、レビュアーとして「どこがどのように悪いか」「どうすれば改善されるか」を重視して記事を書いていきたいと思います。記事執筆までの短期間に触った限りでは、先代のXperia Z5に比べると「ここはよくないなあ」と感じた点は少なくなっています。とはいえ、今後使い込んでいくうちによくないと感じる点が見つかり、そのことをパート2以降に記述、またはこの記事に追記することがあるかもしれませんが、以上の点をご理解いただいた上で記事をご覧いただければと思います。 それではさっそくレビューを始めていきましょう!今回お借りしたのはXperia X Performance(docomoモデル・SO-04H)、ローズゴールドです。私は現在メイン端末としてNexus 6Pを使用していますが、外観上の比較をNexus 6Pとしてもあまり意味がないので、以前使用していたXperia ZL2、および2015年11月のアンバサダーレビュー企画でお借りしたXperia Z5との比較を中心に行っていきます。 前回のイベントレポート記事でお伝えした通り、新しいXperiaの3大特長である「生まれ変わった新しいデザイン」「先進のカメラ性能」「進化した使いやすさ」を特に重視してレビューするほか、Xperia Z2・Z3を購入されたユーザーは、そろ

【自作小説】ワールド・インターチェンジ「第10話 世界が大きく変わった二夜」

「ただいま」 「あら、おかえり。疲れた~って表情してるわよ。今夜は早く寝なさいね」 家に帰り、平静を装って普段通り過ごした。少なくとも家族には俺たちの関係や、それがとんでもないことに至ろうとしていることは気付かれなかった。母さんに言われた通り、その日は早めに寝ることにした。寝る前に優に何かメールを送ろうとした。しかし、こんな状況で誤解のない、かつ彼女を安心させる文面が思いつかなかった。携帯電話を枕元に放り出して、眠りについた。 はっと気がついたとき、横で何かうめく声が聞こえた。 「誰だよこんな時間に……」 重たいまぶたをゆっくりと開け、目をこする。視界がようやく意図したところにピントを合わせられるようになったとき、俺はよっこらせと起き上がり、その声の正体を見る。 「……夢香?」 そこで苦しんでいたのは、他でもない夢香だった。彼女は目をつむり、苦しそうな表情で悶えていた。上に着ているセーターがくしゃくしゃになり、少しまくれ上がって、お腹が見えていた。 「おい、夢香! 大丈夫か?」 「……あぁ、誠さん。来てたんですね……すみません、私、また寝てしまっていました……お、起きないと……うっ」 夢香は体を起こそうと腕を突っ張ろうとした。しかし、力がうまく入らないようで、起き上がることができずにいた。俺はとっさに彼女の額に手を当てる。やっぱり。夢香は熱を出していた。 「ちょっろ……らりするんれすか……へんらころ……しら……」 ほとんどろれつが回っていない状態で俺に対する最後の抵抗をした後、彼女は何もしゃべらなくなってしまった。 「ちょっ、どうするんだよ……俺、この世界の人じゃないんだからさ……とりあえず、何か熱冷ましになるものないかな」 俺はその空間をあちこち歩き回り、少しでも夢香の看病になるものを探した。その空間の端のほうになぜか冷蔵庫があり、その中にペットボトル入りの水が入っていたが、それ以外には使えそうなものはなかった。 「とりあえずこいつをなんとかしてみるか……」 俺はその水を開け、たまたま近くにあった布切れにしみ込ませて夢香の額に乗せた。ほんの気休め程度にしかならないが、何もしないよりかはましだ。それに、この世界とはいえ、彼女の異常事態は夢から覚めて、明日もう一度ここに来た時に何事もなかったようになっているとは思えなかった。俺の心が、彼

Xperiaアンバサダーミーティング(2016年6月1日大阪開催)イベントレポート

今回はXperiaアンバサダーミーティング(2016年6月1日大阪開催)に参加してきましたので、イベントの模様について写真を交えながらお送りします。 私が参加している「Xperiaアンバサダープログラム」は、Xperiaの最新機種の情報や、アンバサダー限定イベント、限定モニター企画などの情報を受け取ることができる、登録制のプログラムです。Xperiaの新製品が発表されると、今回のアンバサダーミーティングのようなイベントが開催され、参加者はデモ機を借りて最新機種をいち早く体験することができます。 私も以前このプログラムに登録し、去年11月に大阪で開催された Xperia Z5タッチ&トライ アンバサダーミーティング では初参加を果たしました。そして先日、X Performanceのタッチ&トライ アンバサダーミーティング開催のお知らせが届き、大阪でも開催されるとのことで早速応募しました。このイベントは応募者多数の場合抽選となり、私の友人が東京開催のアンバサダーミーティングに応募したところ残念ながら落選してしまったということで、前回のアンバサダーミーティングに参加した私も今回は当選しないのではないかと思っていましたが、幸運なことに2回連続で当選しました! 参加理由としては、Z5アンバサダーミーティングの時と同様、発売前から様々な評判をSNS上で見かけるX Performanceについて、自分が疑問に思ったことを担当者に直接質問したいと考えていたからです。特にX PerformanceはXperia「Z」シリーズから「X」シリーズに変更されたことをはじめ、様々なハードウェア的・ソフトウェア的変更点があるため、「X」にかける思いを担当者から直接伺うことができれば、私自身Xperiaのことをもっとよく理解できるのではないかと感じました。 また、アンバサダーミーティング参加者はXperiaを使っている・使っていた・興味があるなど、何らかの形でXperiaとの接点がある方ばかりなので、このイベント参加を通して自分だけでは気づくことのできなかったXperiaの新たな魅力を知り、Xperiaを通じた人と人とのつながりを持つことができるいい機会だと考えたことも参加理由の一つです。今回のイベントでは、前回のZ5アンバサダーミーティングの時に知り合い、以後Twitterを通じ