「Xperiaアンバサダー企画」でお借りしたXperia Z5を実際に使って、その魅力をお送りするモニター企画。パート3ではXperia Z5の発熱について詳しく検証していきます。また、パート1・2でお伝えしなかった細かいポイントについても、パート3の後半でまとめてレビューしていきます。
Xperia Z4から話題になったのが「端末の発熱問題」。私はXperia Z4についての情報はあまり収集してこなかったほうですが、それでも「Xperia Z4が、アツい!(発熱的な意味で)」という情報はSNSなどであまりにも多く見かけたため、その事実だけは知っていました。また、最近Xperia Z4に機種変更した友人に「端末熱くなる?」と聞いたところ、「ケースつけてるからあまり気にはならないけど、それでも背面が温かい感じはする」とのことでした。
先日開催された「Xperia アンバサダーミーティング」の中で、Xperia Z5ではZ4と比べて熱伝導効率が改善されたとのことでしたが、使われているCPUがZ4と同じであるため、発熱量は変わっていないはずです。そこで、Xperia ZL2と比較しながらCPUの発熱について、温度モニターによる測定値と実際に触ってみたときの感覚的な熱さの両面で検証してみます。
レビューの前に、ZL2とZ5それぞれに搭載されているCPUについて比較しておきます。
ZL2とZ3は同じ4コアでクロック周波数のみが異なります(ZL2が2.3GHz、Z3が2.5GHz)。しかしZ4からはクロック周波数が2.0GHz・1.5GHzにダウンした代わりに、コア数が2倍の8個になりました。8コア、と書きましたが厳密には4コアx2で、一方の4コアCPUのクロック周波数が2.0GHz、もう一方の4コアCPUのクロック周波数が1.5GHz、といった感じです。Z4とZ5ではスペック上では搭載しているCPUは同じです。
それではさっそく発熱量の比較を始めていきましょう!今回比較するのは現在レビューでお借りしているZ5と、手持ちのZL2です。比較条件は次の通りです。
CPUTempに表示された温度を30秒ごとにグラフに示したものがこちらです。
開始時の温度についてZL2のほうがやや高いのは突発的な負荷によるものと思われます。開始後わずか30秒でZ5のCPU温度がZL2のそれを上回り、1分15秒ほどでCPU温度が60度に到達しました。その後、Z5は1分59秒で温度上昇の警告が表示され、3分13秒で自動停止しました。一方、ZL2の温度上昇は緩やかで、3分30秒ほどで60度に到達したものの、その後も安定して録画が継続され、10分以上録画することができました(余談ですが、この時の動画ファイルの容量は約4GBに達していましたw)。録画終了直後に端末背面に触れると、Z5は「熱っ!」と言ってしまうほどで、やけどするレベルではないものの長時間触っていられないぐらいに発熱していました。ZL2も端末がカイロのように温かくなっていましたが、Z5ほどではなく、(体質によって低温やけどを引き起こす可能性はあるものの)不快感を覚えるほどではありませんでした。
しかし、録画終了からしばらく放置した後の温度低下の度合いについては、放熱性を向上させたZ5に軍配が上がります。それぞれ録画を停止してから5分ほど経過した後に再度CPUTempで温度を確認したところ、ZL2では50度前後であったのに対し、Z5では40度近くまで下がっていました。この点についてはさすが、端末内部にヒートパイプを2本も通し、カメラユニットにもヒートパイプを接触させているだけのことはあります。
なお、今回のレビューは室温約20度の部屋で行いました。20度でこの結果ですので、夏の暑いときに風通しの悪い場所で使用すると、より早く自動停止する可能性も考えられます。Z5で4K動画撮影は、1本数十秒の細切れにして撮影し、かつ撮影の合間に端末の冷却時間を確保しないことには非現実的と言わざるを得ないでしょう。
次に、さまざまな使用状況での体感的な発熱量についてレビューします。
Z5が著しく発熱する状況としては、大きく分けてゲームやベンチマークなどのCPUをフルに使用する場合と、ネットワーク通信(Wi-Fi・モバイルネットワーク通信ともに)を行った場合、カメラ機能を用いた場合の3つがあります。CPUをフル稼働させる場合はともかく、ネットワーク通信を大量かつ長時間行っていると、徐々に背面が熱くなってきます。ネットサーフィンで複数のサイトを転々とすることを5分以上続けていると背面が温かくなり始め、10分も経たないうちに体質によっては低温やけどを起こしそうなほどに発熱します。TwitterなどのSNSでも10分ほどタイムラインを眺めているだけで背面に熱を帯びます。ZL2ではよほど重たいサイトでもない限り端末背面が熱くなることはなかったため、明らかに発熱量が増加しています。また、Playストアのアプリの更新をまとめて実行した場合も、ZL2ではごくわずかに温かさを感じる程度だったものが、Z5ではポケットに入れっぱなしのカイロと同じぐらい発熱します。さらにカメラ機能で4Kビデオを撮影した場合は、CPUのほかにカメラユニットもフル稼働しますので、30秒も経たないうちに端末背面が温かくなり始め、上記で検証した通り、3分ほどで70度近くに達します。
一方、内部ストレージに保存した動画ファイルを再生した場合は明らかな発熱は感じず(わずかに熱を帯びた感じはしますが、上記で示したような明らかなCPUからの発熱ではなく、CPUやディスプレイ、体温などの複合的な要因でそのように感じるものと考えられます)、通勤・通学の電車内で、録画しておいたテレビ番組などを端末に転送して視聴する分には、「端末が熱くて映像に集中できない!」ということはなさそうです。もっとも、その番組をLAN経由でWi-Fiを用いて転送した場合は上記の「ネットワーク通信を行った場合」に該当しますので、転送時に端末が激しく発熱することになりますが(笑)。
発熱についてのレビューは以上です。ここからは、これまでに取り上げてこなかった小さな気付きについて簡単にレビューしていきます。
これはZL2などもそうですが、スピーカーが端末の上下に内蔵されており、ステレオ音声を再生できます。また、中音域も力強く再生され、スマートフォンのスピーカーとは思えないようなパワフルなサウンドを体験できます。よほど音質にこだわらなければ、内蔵スピーカーで用が足りてしまうほどです(もちろん公共の場所ではヘッドフォンを使うことになりますが)。
手持ちの音楽をハイレゾ相当にアップコンバートする「DSEE HX」ですが、音楽配信サービス「mora」で購入した一般的な音質の楽曲(今回比較に用いたのは洋楽のような曲調のアニソン)や、CDから取り込み、FLACで転送した楽曲を、MDR-CD900STを用いて「DSEE HX」のオンオフを繰り返しながら比較してみましたが、大きな違いは感じられませんでした。MDR-CD900STとハイレゾ対応ヘッドフォンとでは音の特性が異なりますし(CD900STはフラットなのに対し、ハイレゾ対応ヘッドフォンは一般にドンシャリ)、曲の特性上違いを感じにくかったということも考えられますが、よほどビットレートの低い音楽ファイルでなければDSEE HXの恩恵は感じにくいと思います。もっとも、ハイレゾは半ばフィーリングがものをいう分野でもありますので、DSEE HXをオンにしているだけで「DSEEオフの時よりも音がよくなった”気がする”」と感じることはあるかもしれませんが(笑)。実はこの文章、以前所有していたXperia Z3 Tablet Compactのレビューで書いた内容をほぼそのままコピーしてきたもので、何か違いがあれば書き換えようと思っていましたが、やはり機能的に違いはありませんでした(笑)。
今回私がお借りしたXperia Z5のボディカラーはホワイトでした。私は黒系統の色が好みであり、今回のモニター企画でもできればブラックを試してみたかったのですが、こちらでカラーは選択できず、今回は好みとは異なるホワイトを使用していました。とはいえ、ホワイトのスマートフォンは私の身の回り(友人やTwitterのフォロワーさんなど)で使用している人が多く、以前から気になっていた色でした。今回ホワイトを使うことになったことで、逆に今回の機会を利用してホワイトが自分のライフスタイルに合う色かどうかを検証してみることにしました。その結果、やはり以前から気になっていた色ということで、使っていても「やっぱりこの色は自分には合わない!これを外で使うのは嫌だ!」と思うことはなく、黒系統が多い自分のデジタルガジェットの中でアクセントカラーとしてホワイトを取り入れるのは悪くないと感じました。しかし、ホワイトの場合液晶ディスプレイ周りのベゼルもホワイトとなるため、Z5で映像を見る際にホワイトのベゼルが気になり、映像に集中できないこともわかりました。僕が仮にZ5を購入するとしたら、映像はあまり視聴せず、アクセント重視であればホワイトを、映像をよく視聴することが想定される場合はブラックを購入することになりそうです。
これはXperia Z5のレビューとは直接関係はありませんが、今回お借りした端末がSoftBank版(501SO)であり、また回線も事務局のほうで用意していただいたため、この場をお借りしてレビューします。私は以前から「SoftBankの電波はつながりにくい」「すぐ切れる」ということをよく聞いており、実際に身近にいるSoftBankユーザーからも「つながりにくいわ」ということを聞いていたため、今回SoftBank版のZ5を借りたことで「果たしてどのぐらいつながりにくいものなのか」というものを同時に検証してみることにしました。その結果、意外にも私が使用する範囲では電波がつながりにくかったり、途中で接続が切れてしまうということはありませんでした(この端末を使用した場所がたまたまどこもつながりやすい場所だっただけかもしれませんが)。とはいえ、例えば電波が届くか届かないかのような田舎や山道での検証は行っておらず、いかなる状況でも問題なくつながるかどうかはまだわかりません。私の実家は割と田舎のほうにありますので、できることなら実家に帰省した時に検証してみたいところなのですが、残念ながら実家に帰省する前にZ5を返却しないといけないため、この検証はまたの機会に。
これもXperia Z5特有の機能ではなく、Z4やAndroid5.xにアップデートされたZ3でもいえることですが、XperiaのAndroid 5.x搭載モデルでは日本語フォントが「ソニーモバイルUDゴシック」に変更になっています。これは最近食品のパッケージに記載されている成分表示や、製品・企業のカタログなど、様々な表示物で採用が進んでいる「UDゴシック」をシステムフォントとして採用したもので、従来のフォントに比べ文字が読みやすくなっています。
ZL2では3000mAhだったバッテリー容量はZ3で3100mAhに増量し、連続通話時間も1340分から1370分に向上しましたが、Z4で2930mAhに減少し(連続通話時間も1280分に短縮)、Z5ではさらに2900mAhに減少し、連続通話時間は1250分となっています。そのうえCPUはオクタコアCPUを採用しているため、バッテリーの持ちが明らかに悪くなっています。実際に使用していてもバッテリーの減りの早さは明らかで、Z5では一日中全く端末に触れていなくても、ZL2で半日ほど端末でSNSを見たりネットサーフィンをしたりした時と同じ程度にバッテリーを消費します。ZL2ではバッテリー残量が50%を切っていてもハードな使い方をしない限りその日一日はバッテリー切れにはなりませんでしたが、Z5をメイン端末として使うことになれば、毎日就寝前に端末を充電器に接続し、翌朝満充電の状態で持ち出すとともに、ハードな使い方をすることが予想されるときはモバイルバッテリーを持ち出すなど、バッテリー切れへの対策がより重要になってくるでしょう。
現時点で気づいた点は以上になります。もしZ5の返却までにこのほかに気付いたことが出てきたら、その都度追記していきたいと思います。
というわけで、3回に分けてXperia Z5の使用感について、主にZL2と比較しながらお送りしました。
私はXperia好きであり、ここ最近はほかの端末にも興味が出ていたものの、アンバサダーミーティングをきっかけとしてここ数日Xperiaについて調べているうちに、「やっぱり次に機種変更するときもXperiaにしよう」と考えるほどです。しかし、今回のレビューではあくまで1スマートフォンユーザーとしてZ5を様々な角度から検証した結果、残念ながらマイナス評価を多く書くことになってしまいました。しかし、同時に機能が向上している部分は従来モデルから飛躍的に向上しているのも事実です。レビューのパート1で記した電源ボタンの押しにくさについても、2週間近く使っているとボタンを押すときのコツなどもつかめてきて、初めてZ5を手に取った時ほど押しにくさは気にならなくなってきており、「手になじみにくいなあ」と感じていたオムニバランスデザインにも慣れてきました。使えば使うほどにユーザーになじんでいく点はXperiaの特徴の一つであるといえると同時に今回のアンバサダーミーティングのように長期間にわたって使用してみなければなかなか気づかないポイントでもあります。
web上には端末に関する様々なレビューや口コミが数多く転がっており、特にZ4・Z5は発熱やカメラ機能に関するマイナス評価が多く見受けられます。しかし、それらは多くが店頭で触った感触だけのものやスペックからの憶測であるなど、長くても数時間程度しか体験していないものです(もちろん、中には実際に購入しレビューを書いている方もいらっしゃいます)。スマートフォンは大手キャリアの場合、2年縛りによって少なくとも2年間は所有し続けることになります。そんな長い期間所有する端末を、店頭で触っただけのごく短時間の印象で決定づけてしまっていいものなのか、またそのようにして書かれたレビューを鵜呑みにしてもいいのか、疑問に感じます。今回、Xperiaアンバサダーミーティングでモニター機を借り、約3週間じっくりとZ5に触れることにより、さすがに2年間とまではいきませんが、店頭で触るのよりは明らかに長期間、しかも実生活に取り込んでの使用感を検証することができました。
これはあくまで私の個人的見解ですが、その製品が本当に自分にとって魅力的な製品かどうかは、購入してからの2週間で決まると考えています。購入前にどれだけその製品に対して魅力を感じており、店頭で触ってみた感触に好印象を受けていても、購入してその製品を実生活に取り込み、購入前には想定していなかったような使い方をし始めると、おおよそ2週間以内にその製品に対しての想定していなかったマイナスポイントがポロポロと出てきます。この2週間で出てきたマイナスポイントがあまりにも多いとその後使用し続けることがつらくなり、嫌々使い続ける、または売却することになります。私自身もこれで何度も痛い経験をしました。一方、2週間使い続けてマイナスポイントが出てこない、あるいはその数が少なかった場合はその後も使い続けようという気になり、逆に購入時には想定しなかったようなプラスポイントが出てきた場合には、その製品を使うことが徐々に楽しくなり、今使っている製品が壊れてしまったときなどに、次回も同じ製品を購入したいと感じます。
今回のレビューでは3週間の試用期間があったため、「購入してからの2週間」(+その後の1週間)を疑似的に体験することができ、Z5について感じたこと、マイナスポイントなどを自信をもってレビューに書くことができました。感じたことをできるだけそのままお伝えしたかったため、いずれの記事も長大になってしまいましたが、私がXperia Z5に対して抱いた印象はすべてお伝えすることができたのではないかと感じています。
以上、非常に長くなってしまいましたが、今回のレビュー企画の締めの言葉とさせていただきます。今回のレビュー企画を主催したソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社様には、貴重な経験をさせていただいたことをこの場をお借りして深く感謝します。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
Xperia Z4から話題になったのが「端末の発熱問題」。私はXperia Z4についての情報はあまり収集してこなかったほうですが、それでも「Xperia Z4が、アツい!(発熱的な意味で)」という情報はSNSなどであまりにも多く見かけたため、その事実だけは知っていました。また、最近Xperia Z4に機種変更した友人に「端末熱くなる?」と聞いたところ、「ケースつけてるからあまり気にはならないけど、それでも背面が温かい感じはする」とのことでした。
先日開催された「Xperia アンバサダーミーティング」の中で、Xperia Z5ではZ4と比べて熱伝導効率が改善されたとのことでしたが、使われているCPUがZ4と同じであるため、発熱量は変わっていないはずです。そこで、Xperia ZL2と比較しながらCPUの発熱について、温度モニターによる測定値と実際に触ってみたときの感覚的な熱さの両面で検証してみます。
レビューの前に、ZL2とZ5それぞれに搭載されているCPUについて比較しておきます。
- Z5: Qualcomm Snapdragon 810 (MSM8994、64ビット8コア)
- ZL2: Qualcomm Snapdragon 801(MSM8974AB、4コア)
- (参考)Z4: Qualcomm Snapdragon 810 (MSM8994、64ビット8コア)
- (参考)Z3: Qualcomm Snapdragon 801 (MSM8974AC、4コア)
ZL2とZ3は同じ4コアでクロック周波数のみが異なります(ZL2が2.3GHz、Z3が2.5GHz)。しかしZ4からはクロック周波数が2.0GHz・1.5GHzにダウンした代わりに、コア数が2倍の8個になりました。8コア、と書きましたが厳密には4コアx2で、一方の4コアCPUのクロック周波数が2.0GHz、もう一方の4コアCPUのクロック周波数が1.5GHz、といった感じです。Z4とZ5ではスペック上では搭載しているCPUは同じです。
それではさっそく発熱量の比較を始めていきましょう!今回比較するのは現在レビューでお借りしているZ5と、手持ちのZL2です。比較条件は次の通りです。
- CPUにフル負荷をかけるアプリとしては、カメラ機能の「4Kビデオ」を使用する。
- レビュー前に端末をしばらく使わず、十分に温度が下がっている状態から検証を開始する。
- CPU温度計測アプリは「CPUTemp」を使用する。
- 計測時間は最大10分間とし、温度上昇による録画の自動停止が行われず10分が経過した場合はその時点で録画を手動で停止し、スコアは「10分以上」とする
CPUTempに表示された温度を30秒ごとにグラフに示したものがこちらです。
開始時の温度についてZL2のほうがやや高いのは突発的な負荷によるものと思われます。開始後わずか30秒でZ5のCPU温度がZL2のそれを上回り、1分15秒ほどでCPU温度が60度に到達しました。その後、Z5は1分59秒で温度上昇の警告が表示され、3分13秒で自動停止しました。一方、ZL2の温度上昇は緩やかで、3分30秒ほどで60度に到達したものの、その後も安定して録画が継続され、10分以上録画することができました(余談ですが、この時の動画ファイルの容量は約4GBに達していましたw)。録画終了直後に端末背面に触れると、Z5は「熱っ!」と言ってしまうほどで、やけどするレベルではないものの長時間触っていられないぐらいに発熱していました。ZL2も端末がカイロのように温かくなっていましたが、Z5ほどではなく、(体質によって低温やけどを引き起こす可能性はあるものの)不快感を覚えるほどではありませんでした。
しかし、録画終了からしばらく放置した後の温度低下の度合いについては、放熱性を向上させたZ5に軍配が上がります。それぞれ録画を停止してから5分ほど経過した後に再度CPUTempで温度を確認したところ、ZL2では50度前後であったのに対し、Z5では40度近くまで下がっていました。この点についてはさすが、端末内部にヒートパイプを2本も通し、カメラユニットにもヒートパイプを接触させているだけのことはあります。
なお、今回のレビューは室温約20度の部屋で行いました。20度でこの結果ですので、夏の暑いときに風通しの悪い場所で使用すると、より早く自動停止する可能性も考えられます。Z5で4K動画撮影は、1本数十秒の細切れにして撮影し、かつ撮影の合間に端末の冷却時間を確保しないことには非現実的と言わざるを得ないでしょう。
次に、さまざまな使用状況での体感的な発熱量についてレビューします。
Z5が著しく発熱する状況としては、大きく分けてゲームやベンチマークなどのCPUをフルに使用する場合と、ネットワーク通信(Wi-Fi・モバイルネットワーク通信ともに)を行った場合、カメラ機能を用いた場合の3つがあります。CPUをフル稼働させる場合はともかく、ネットワーク通信を大量かつ長時間行っていると、徐々に背面が熱くなってきます。ネットサーフィンで複数のサイトを転々とすることを5分以上続けていると背面が温かくなり始め、10分も経たないうちに体質によっては低温やけどを起こしそうなほどに発熱します。TwitterなどのSNSでも10分ほどタイムラインを眺めているだけで背面に熱を帯びます。ZL2ではよほど重たいサイトでもない限り端末背面が熱くなることはなかったため、明らかに発熱量が増加しています。また、Playストアのアプリの更新をまとめて実行した場合も、ZL2ではごくわずかに温かさを感じる程度だったものが、Z5ではポケットに入れっぱなしのカイロと同じぐらい発熱します。さらにカメラ機能で4Kビデオを撮影した場合は、CPUのほかにカメラユニットもフル稼働しますので、30秒も経たないうちに端末背面が温かくなり始め、上記で検証した通り、3分ほどで70度近くに達します。
一方、内部ストレージに保存した動画ファイルを再生した場合は明らかな発熱は感じず(わずかに熱を帯びた感じはしますが、上記で示したような明らかなCPUからの発熱ではなく、CPUやディスプレイ、体温などの複合的な要因でそのように感じるものと考えられます)、通勤・通学の電車内で、録画しておいたテレビ番組などを端末に転送して視聴する分には、「端末が熱くて映像に集中できない!」ということはなさそうです。もっとも、その番組をLAN経由でWi-Fiを用いて転送した場合は上記の「ネットワーク通信を行った場合」に該当しますので、転送時に端末が激しく発熱することになりますが(笑)。
発熱についてのレビューは以上です。ここからは、これまでに取り上げてこなかった小さな気付きについて簡単にレビューしていきます。
スピーカーの音質について
これはZL2などもそうですが、スピーカーが端末の上下に内蔵されており、ステレオ音声を再生できます。また、中音域も力強く再生され、スマートフォンのスピーカーとは思えないようなパワフルなサウンドを体験できます。よほど音質にこだわらなければ、内蔵スピーカーで用が足りてしまうほどです(もちろん公共の場所ではヘッドフォンを使うことになりますが)。
DSEE HXについて
手持ちの音楽をハイレゾ相当にアップコンバートする「DSEE HX」ですが、音楽配信サービス「mora」で購入した一般的な音質の楽曲(今回比較に用いたのは洋楽のような曲調のアニソン)や、CDから取り込み、FLACで転送した楽曲を、MDR-CD900STを用いて「DSEE HX」のオンオフを繰り返しながら比較してみましたが、大きな違いは感じられませんでした。MDR-CD900STとハイレゾ対応ヘッドフォンとでは音の特性が異なりますし(CD900STはフラットなのに対し、ハイレゾ対応ヘッドフォンは一般にドンシャリ)、曲の特性上違いを感じにくかったということも考えられますが、よほどビットレートの低い音楽ファイルでなければDSEE HXの恩恵は感じにくいと思います。もっとも、ハイレゾは半ばフィーリングがものをいう分野でもありますので、DSEE HXをオンにしているだけで「DSEEオフの時よりも音がよくなった”気がする”」と感じることはあるかもしれませんが(笑)。実はこの文章、以前所有していたXperia Z3 Tablet Compactのレビューで書いた内容をほぼそのままコピーしてきたもので、何か違いがあれば書き換えようと思っていましたが、やはり機能的に違いはありませんでした(笑)。
本体カラーについて
今回私がお借りしたXperia Z5のボディカラーはホワイトでした。私は黒系統の色が好みであり、今回のモニター企画でもできればブラックを試してみたかったのですが、こちらでカラーは選択できず、今回は好みとは異なるホワイトを使用していました。とはいえ、ホワイトのスマートフォンは私の身の回り(友人やTwitterのフォロワーさんなど)で使用している人が多く、以前から気になっていた色でした。今回ホワイトを使うことになったことで、逆に今回の機会を利用してホワイトが自分のライフスタイルに合う色かどうかを検証してみることにしました。その結果、やはり以前から気になっていた色ということで、使っていても「やっぱりこの色は自分には合わない!これを外で使うのは嫌だ!」と思うことはなく、黒系統が多い自分のデジタルガジェットの中でアクセントカラーとしてホワイトを取り入れるのは悪くないと感じました。しかし、ホワイトの場合液晶ディスプレイ周りのベゼルもホワイトとなるため、Z5で映像を見る際にホワイトのベゼルが気になり、映像に集中できないこともわかりました。僕が仮にZ5を購入するとしたら、映像はあまり視聴せず、アクセント重視であればホワイトを、映像をよく視聴することが想定される場合はブラックを購入することになりそうです。
SoftBankのモバイル通信について
これはXperia Z5のレビューとは直接関係はありませんが、今回お借りした端末がSoftBank版(501SO)であり、また回線も事務局のほうで用意していただいたため、この場をお借りしてレビューします。私は以前から「SoftBankの電波はつながりにくい」「すぐ切れる」ということをよく聞いており、実際に身近にいるSoftBankユーザーからも「つながりにくいわ」ということを聞いていたため、今回SoftBank版のZ5を借りたことで「果たしてどのぐらいつながりにくいものなのか」というものを同時に検証してみることにしました。その結果、意外にも私が使用する範囲では電波がつながりにくかったり、途中で接続が切れてしまうということはありませんでした(この端末を使用した場所がたまたまどこもつながりやすい場所だっただけかもしれませんが)。とはいえ、例えば電波が届くか届かないかのような田舎や山道での検証は行っておらず、いかなる状況でも問題なくつながるかどうかはまだわかりません。私の実家は割と田舎のほうにありますので、できることなら実家に帰省した時に検証してみたいところなのですが、残念ながら実家に帰省する前にZ5を返却しないといけないため、この検証はまたの機会に。
フォントについて
これもXperia Z5特有の機能ではなく、Z4やAndroid5.xにアップデートされたZ3でもいえることですが、XperiaのAndroid 5.x搭載モデルでは日本語フォントが「ソニーモバイルUDゴシック」に変更になっています。これは最近食品のパッケージに記載されている成分表示や、製品・企業のカタログなど、様々な表示物で採用が進んでいる「UDゴシック」をシステムフォントとして採用したもので、従来のフォントに比べ文字が読みやすくなっています。
バッテリーについて
ZL2では3000mAhだったバッテリー容量はZ3で3100mAhに増量し、連続通話時間も1340分から1370分に向上しましたが、Z4で2930mAhに減少し(連続通話時間も1280分に短縮)、Z5ではさらに2900mAhに減少し、連続通話時間は1250分となっています。そのうえCPUはオクタコアCPUを採用しているため、バッテリーの持ちが明らかに悪くなっています。実際に使用していてもバッテリーの減りの早さは明らかで、Z5では一日中全く端末に触れていなくても、ZL2で半日ほど端末でSNSを見たりネットサーフィンをしたりした時と同じ程度にバッテリーを消費します。ZL2ではバッテリー残量が50%を切っていてもハードな使い方をしない限りその日一日はバッテリー切れにはなりませんでしたが、Z5をメイン端末として使うことになれば、毎日就寝前に端末を充電器に接続し、翌朝満充電の状態で持ち出すとともに、ハードな使い方をすることが予想されるときはモバイルバッテリーを持ち出すなど、バッテリー切れへの対策がより重要になってくるでしょう。
現時点で気づいた点は以上になります。もしZ5の返却までにこのほかに気付いたことが出てきたら、その都度追記していきたいと思います。
というわけで、3回に分けてXperia Z5の使用感について、主にZL2と比較しながらお送りしました。
私はXperia好きであり、ここ最近はほかの端末にも興味が出ていたものの、アンバサダーミーティングをきっかけとしてここ数日Xperiaについて調べているうちに、「やっぱり次に機種変更するときもXperiaにしよう」と考えるほどです。しかし、今回のレビューではあくまで1スマートフォンユーザーとしてZ5を様々な角度から検証した結果、残念ながらマイナス評価を多く書くことになってしまいました。しかし、同時に機能が向上している部分は従来モデルから飛躍的に向上しているのも事実です。レビューのパート1で記した電源ボタンの押しにくさについても、2週間近く使っているとボタンを押すときのコツなどもつかめてきて、初めてZ5を手に取った時ほど押しにくさは気にならなくなってきており、「手になじみにくいなあ」と感じていたオムニバランスデザインにも慣れてきました。使えば使うほどにユーザーになじんでいく点はXperiaの特徴の一つであるといえると同時に今回のアンバサダーミーティングのように長期間にわたって使用してみなければなかなか気づかないポイントでもあります。
web上には端末に関する様々なレビューや口コミが数多く転がっており、特にZ4・Z5は発熱やカメラ機能に関するマイナス評価が多く見受けられます。しかし、それらは多くが店頭で触った感触だけのものやスペックからの憶測であるなど、長くても数時間程度しか体験していないものです(もちろん、中には実際に購入しレビューを書いている方もいらっしゃいます)。スマートフォンは大手キャリアの場合、2年縛りによって少なくとも2年間は所有し続けることになります。そんな長い期間所有する端末を、店頭で触っただけのごく短時間の印象で決定づけてしまっていいものなのか、またそのようにして書かれたレビューを鵜呑みにしてもいいのか、疑問に感じます。今回、Xperiaアンバサダーミーティングでモニター機を借り、約3週間じっくりとZ5に触れることにより、さすがに2年間とまではいきませんが、店頭で触るのよりは明らかに長期間、しかも実生活に取り込んでの使用感を検証することができました。
これはあくまで私の個人的見解ですが、その製品が本当に自分にとって魅力的な製品かどうかは、購入してからの2週間で決まると考えています。購入前にどれだけその製品に対して魅力を感じており、店頭で触ってみた感触に好印象を受けていても、購入してその製品を実生活に取り込み、購入前には想定していなかったような使い方をし始めると、おおよそ2週間以内にその製品に対しての想定していなかったマイナスポイントがポロポロと出てきます。この2週間で出てきたマイナスポイントがあまりにも多いとその後使用し続けることがつらくなり、嫌々使い続ける、または売却することになります。私自身もこれで何度も痛い経験をしました。一方、2週間使い続けてマイナスポイントが出てこない、あるいはその数が少なかった場合はその後も使い続けようという気になり、逆に購入時には想定しなかったようなプラスポイントが出てきた場合には、その製品を使うことが徐々に楽しくなり、今使っている製品が壊れてしまったときなどに、次回も同じ製品を購入したいと感じます。
今回のレビューでは3週間の試用期間があったため、「購入してからの2週間」(+その後の1週間)を疑似的に体験することができ、Z5について感じたこと、マイナスポイントなどを自信をもってレビューに書くことができました。感じたことをできるだけそのままお伝えしたかったため、いずれの記事も長大になってしまいましたが、私がXperia Z5に対して抱いた印象はすべてお伝えすることができたのではないかと感じています。
以上、非常に長くなってしまいましたが、今回のレビュー企画の締めの言葉とさせていただきます。今回のレビュー企画を主催したソニーモバイルコミュニケーションズ株式会社様には、貴重な経験をさせていただいたことをこの場をお借りして深く感謝します。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。