「悪いけど、俺のことを恋愛的な意味で好きになったのなら、今すぐ絶交してくれ」 「……は?」 優は俺の一言で動きを止め、悲しそうな表情半分、「こいつは何を言っているんだ」とでも言いたげな半笑いの表情半分で俺を見ていた。睨むとか、見つめるとかではなく、ただ単に見ていただけだった。 「ひどいことを言うようだけど、俺は優を助けて、君に少しでも楽しい学校生活を送ってほしいと思ってこれまで関わってきたのであって、恋人云々はあくまでそれに付随するだけのものだった」 「……私のことなんて、最初から好きじゃなかったの? 今までのあれは全部演技だったの?」 「そんなことはない。俺は優のことが好きだった。毎日会えるかどうかもわからない夢香と違って、毎日確実に、しかも必ず二人きりで出会えることが、何よりもうれしかった。優との喫茶店での時間は優にとって安息の時間だったかもしれないけど、俺にとってもかけがえのないものだった。正直、すごく幸せだった。でも、それもこれも全部、気の合う俺たちがお互いを助け合うという目的があるからこそのもので、俺たちが幸せな時間を過ごすことそのものが目的になってしまったら、何のために優に近づいたのか、わからない」 「その言い方だと、少しは演技していた気持ちがあるように受け取ることもできるよ? どうなの?」 「たしかに。ちょっと言い方が悪かった。でも優、君はちょっと「恋愛」とか、「人を好きになること」にこだわり過ぎなんじゃないか? 恋愛の価値観は人それぞれだから俺が決めつけられるものではないけど、少なくとも俺が優に対して抱いていた「好き」という気持ちは、「優に楽しい学校生活を送ってほしくて、少しでも中学のときの埋め合わせができれば」という土台のもとにあった。もちろん恋愛的な意味もある。でも、恋愛だけが目的になったら土台が崩れてしまう。土台が崩れれば「好き」という気持ちもおかしくなってしまう。そして、今がまさにその状態なんだよ」 「でも、私が誠くんのことを好きじゃなくなって、誠くんが私のことを好きじゃなくなったら、私の人生が元に戻ってしまう。もしそうなるのなら、私、誠くんの目の前で自殺しちゃおうかな」 「待て。俺は君を助けるのをやめると言っているわけじゃないんだ。俺が優を助けて、優が俺に助けられる関係、それって別に恋愛関係じゃなくてもできることじゃないか...
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