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4月, 2016の投稿を表示しています

【自作小説】ワールド・インターチェンジ「第4話 世界はそこまで都合のいいものではなかった」

残念ながら、というべきか、やはり、というべきか悩むところだが、それは毎日の楽しさにかつての日々を忘れかけた頃にやってきた。それも、徐々にではなく、かつての人生をフラッシュバックさせるかのごとく突然に、であった。 それは、六月も中ごろへと差し掛かり、いよいよ梅雨も本格化しようというのに、急に気が変わってしまったのか、俺たちにつかの間の晴れをもたらした日のことだった。この日、いつものように教室に入ると、それまで毎日のようにあいさつを交わしてくれる面々が、俺を無視した。この時の俺には珍しく感じたが、世界を移動する前まで彼らには見向きすらされなかったので、別段気になるものでもなかった。 特に気にすることもなくいすに座る。そのとき「バンッ!」という大きな音とともに、座面が数センチ下がるような感覚になった。実は俺が通っている学校で使われている生徒用椅子は、座面と背もたれがプラスチックでできている。それが金属の骨組みとかみ合い、ビスで固定してある。ところが最近、このビスを外し、座面を浮かせて骨組みとかみ合っていない状態にしておいて、それに気付かず座った人がかみ合う時に発せられる大きな音に驚き、その反応を見て楽しむ、という遊びが流行っている。俺がたった今ひっかかったこの罠もそれだった。クラスの数人が、俺が発した音に気付き、こちらを向いていたが、すぐにそれぞれのあるべきところに視線を戻していった。そのとき、教室をそそくさを出て行く男数人のグループが俺の視界に入った。彼らはくすくすと笑いながら、まるで「やったぜ!」「成功だな!」とでも言っている様子でどこかへ駆けていった。犯人はきっとあいつらだ。一瞬、追いかけることを考えた。しかし、俺がひっかかったこの遊びは割と日常的にクラスの中で行われていたもので、大して珍しいものでもない。むしろ、かつての世界で自分がその被害に一度も遭わなかったことのほうが不思議である。それに俺は最近クラスの中で存在感を増してきているようだ。存在感のある子がいじめギリギリのラインでいじられるということはよく聞く話なので、自分の場合もそれに当てはまるのだと思った。だから、この件については腹を立てたりせず、静かに今後を見守ることにした。 しかし、残念ながら流れは悪いほうへと舵を切ってしまっていた。それを決定づけた出来事がある。 ある日、俺が廊下を歩いていると、

【開封レビュー】BungBungame Photon2

今回はBungBungameが発売するWindowsタブレット「Photon2 A6モデル(以下、Photon2)」を購入しましたので、ファーストインプレッションをお送りします。 私がこの製品の存在を知ったのは、実はつい数日前のことで、4月11日に「PC Watch」に掲載された記事がきっかけでした。 BungBungame、8コア+Super AMOLED搭載のタブレット「KALOS2」 ~AMD APU搭載のPhoton 2は発売中だった……しかも24,900円へ値下げで - PC Watch この記事によれば、Photon2は2015年1月に発表があったものの、何の音沙汰もなかったというタブレットだそうで、一応PC Watchにも発表された旨の記事は掲載されていたそうです(4月11日に初めてこの製品の存在を知ったことから、当時の私はこの記事をスルーしていた可能性が高い)。 早速BungBungameの製品情報を見たところ、まるで安価なWindowsタブレットとは思えないようなスペックに驚かされました。主な特徴としては、 プロセッサにAMD APUを採用(2016年4月現在私が把握する限りほかにAMD APUを搭載したWindowsタブレットを見た覚えはなく、現時点でおそらく唯一のAMD APU採用モデルと思われる)。またその性能はAtom Z3775を上回るとされている(Atom Z3775はWindowsタブレット・スティックPCの多くに採用されているAtom Z3735Fの上位モデル) 4GB RAM・64GB eMMC(過去にドスパラから4GB RAM・64GB eMMC搭載のWindowsタブレット「DG-D10IW with Bing」が発売されていた時期はあったもののすでに販売を終了、現時点では多くのモデルが2GB RAM・32GB eMMCとなっている) 64ビット版OSを搭載(こちらも「DG-D10IW with Bing」に採用実績はあるものの、最近のWindowsタブレット・スティックPCの多くは32ビット版OSとなっている) 筆圧検知機能付きスタイラスペン対応(価格は後述するが、この価格で筆圧検知機能付きスタイラスペン対応Windowsタブレットはほかに見たことがない) WUXGA(1920x1200)I

【自作小説】ワールド・インターチェンジ「第3話 不快な楽しさ」

朝のけたたましい目覚ましの音で目を覚ます。いつものような強い疲労が体に重くのしかかる。全く、とんでもない夢を見たものだ。世界の移動?あり得ないっての。これは俺の脳が作り出した逃避行動だろう。ましてやそこに美少女が出てくるなんて……きっと、心が安息を求めているのだろう。いずれにせよ、精神的にそろそろやばいかもしれない。いよいよ学校を休むことを考え始めないといけない頃合いかもしれない。 「行ってきまーす」 「いってらっしゃい」 それでもやはり学校には行かなければならない。ここで休めば、それはただの逃避。親に心配をかけたくないということもあるが、それ以上に、ここで学校を休むということは自分に負けるということになると思った。自分にだけは自分のことをバカにされたくない。だから俺は行く。 学校に到着し、まず異変を感じたのは教室に入ったときだ。 「おはよう姫路くん」「おはよー誠ー」「うぃっす!」 なんでだよ、どうしたんだよ、何があったんだよ。いつもならあいさつどころか振り向きすらしないクラスの連中が、今日に限って俺に積極的にあいさつをしてくる。あまりに突然のことで、俺は教室の入口で硬直してしまった。 「なーにボーッとしてんだよ。ほら、カバン置いてこいよ」 誰かが調子よく声をかけ、俺の背中を押し出す。俺は前につんのめりそうになるが、そこは反射的に踏ん張った。 「お、おぅ……」 戸惑いながらも、とりあえず自分の席に向かうことにした。 それから朝のホームルームが始まるまで誰も話しかけて来なかったが、俺は脳みそをフル回転させていた。なぜ何の関わりもないと思っていたクラスの人たちが急に俺に話しかけて来るようになったのだ? まず考えたのは、これはいじめではないか、ということだ。今までにも聞いたことがあるし、アニメでも同じエピソードを見たことがある。それが、「急にクラスの人々がいじめられっ子に話しかけるようになり、それから間もなく壮絶ないじめが始まった」ということだ。俺の場合も、今でこそみんなフレンドリーに話しかけてきてくれるが、そのうち俺に対して暴力を振るうようになるんだろうなぁ。やべぇ、俺、近いうちにいじめられるんだぜ。「いじめ」を自ら予言する人なんて早々いないぞ。どんなことをされるのかな。痛いのだけは勘弁してくれよ。 ふと、昨日の夢のことを思い出した。すでに夢の内

【レビュー】携帯電話を機種変更しました【Nexus 6P】

今回は携帯電話の機種変更をしてきましたので、機種変更の概要と新しい機種のファーストインプレッションをお送りします。 私は2014年8月にそれまで使っていたガラケーからスマートフォンXperia ZL2(au SOL25)に機種変更しました。この時は24回分割購入の代わりに端末代金を割り引く、いわゆる「2年縛り」で契約したため「携帯料金が高いなあ」と感じつつもそのまま利用し続けてきました。 今年4月に入って「契約更新のお知らせ」が届き、5月1日~6月30日の間で2年縛りの見直しがする機会がやってきました。この時点で毎月の携帯電話料金は端末代込で8,000円を超えており、「あまりにも高すぎるので、契約更新期間に入り次第すぐ乗り換えよう」と、次の機種の検討を進めてきました。 当初の計画ではGoogle Nexus 6Pを一括で購入し、MVNO(いわゆる格安SIM)を契約するつもりでした。しかし乗り換え予定だったMVNOでは支払方法としてクレジットカードしか選択できず、MVNOで契約するにはまずクレジットカードを作成する必要がありました。 ここで、大手キャリアで唯一Nexus 6Pを取り扱っているSoftbankで試しに料金を確認したところ、24回分割払いや古い端末の下取り制度などを活用することで、2年間のトータルコストがMVNO+端末一括購入の場合と月当たり1,000円ほど、24か月で2万円ほどしか差がないことが判明しました。さらに、Softbankのウェブサイトには掲載されていないような店舗独自特典を併用すれば、その差はさらに縮まるのではないかと考え、一度見積もりを取ってみることに。 その結果、月当たりの支払価格の差がわずか250円(24か月でおよそ6,000円)というところまで割引が効くことがわかりました。しかしその際、販売員から「総務省からの是正指導などにより、この価格で出せるのは15日契約分までだ」と言われました。契約更新期間の5月1日以降に機種変更をすればauの契約解除手数料(いわゆる「違約金」)はかかりませんが、今回の低価格での購入ができないばかりか、今後のさらなる是正指導によってはさらに割引率が低くなることも考えられます。「今MNPしても数か月で違約金分は回収できる」との言葉に押され、契約更新期間外であり、また予定より2週間以上早くなりましたが、

【自作小説】ワールド・インターチェンジ「第2話 決断の時」

彼女はソファの上に立ち、人差し指を立てて説明を始めた。 「信じられないかもしれませんが、実は私たちが住むことのできる世界はいくつかあるのです!」 「……はぁ?」 「えっと、わかりやすく言い直すと、こう、車で道を走っていて、隣の車線に車線変更するようなものです」 「うーん、よくわからないなぁ」 「男の子が浮気するようなものです」 「わ、わかりやすい!」 「えへへ~」 少女は肩をすくめながらはにかんだ。どうしてこいつはこうも動作の一つ一つが可愛さを極めているんだ! 俺はアニメをよく見ていて、それに出てくるキャラクターに萌えることはよくあるが、今感じているのはそんな生易しい萌えではない。彼女の萌えは、それを極限まで追求し、俺たち男のハートをつかむどころか、破裂せんばかりに強く締め上げてくる、「萌えの極み」であった。あぁ、萌え死ぬってこういうことなんだな、と本気で感じた。ついでに、先ほどのノリツッコミにも若干の違和感を覚え始めていた。 「あぁ! また変な目をしました!約束はちゃんと守ってくださいよ」 「あー悪い悪い」 こうやってさっきから俺は彼女の「萌え」に対して何度も謝罪をしている。悪いのは明らかに俺を萌え萌えさせてくる君じゃないか。なのになぜ俺のほうが謝らないといけないんだ。などと考えつつも、おそらく今後一切萌えなくなるということはあり得ないのだろうな、とも思っていた。この謝罪はせいぜい彼女への気休め程度にしかならないだろう。そのうち向こうも手を打ってくるかもしれないが。 「説明を続けますね。人間はそう簡単に世界を移動することはできません。そんなことができてしまったら、そもそも複数の世界の概念は存在しませんからね。世界を移動できる場所は決まっていて、そこで所定の手続きをすることで元の世界の記憶を保ったまま別の世界に移動することができるのです。ただ、移動した人は元の世界では「いなかった」ことになり、友人や同僚はおろか、家族からも記憶が消えてしまい、初めから存在しなかったことになってしまうのです」 「で、まさかとは思うけどここって……」 「はい! ここがまさに世界を移動できる場所。私たちはそれを高速道路で他の道路に接続するインターチェンジに例えて、「ワールド・インターチェンジ」と呼んでいます。そして私たちはそのインターチェンジを動かす、いわば管理

創作活動専用ページを開設しました

このほどHEstudentは、自ら制作した創作物(イラスト・音楽など)の紹介用に新たにホームページを作成しました。 HEstudentは以前にも同人サークル「Orchestre Bleu Cosmique」と称して、音楽を中心にHEstudentの創作物を紹介するサイトを開設していました。しかし、HEstudentの就職活動準備に向けた創作活動縮小によりこのサークルサイトは閉鎖し、以来創作物の紹介は当ブログ上にて紹介していました。 しかし、HEstudentは去年11月に大学院進学を決め、それによって創作活動にかけられる時間が今後も一定時間確保できることとなったため、再び創作活動の規模を拡大することにしました。これまでHEstudentは楽曲投稿に「SoundCloud」、動画投稿に「YouTube」を使用していましたが、今回新たにイラスト投稿に「pixiv」を使用開始することとなり、これら投稿サイトにアップロードした作品をまとめて紹介するのにブログだけでは不足すると判断し、再びホームページ作成することを決めました。 新しいホームページの名前は「 Project "SWingX" 」です(このプロジェクト名の由来については新しいホームページの「 About Us 」内で紹介しています)。名前に「Project」とあるように、今回は新サークル立ち上げではなく、あくまで当ブログの拡張版という扱いで、2014年に展開していたプロジェクト「the Creation」と同じような立ち位置です。ただし、何らかの機会にHEstudent個人で同人即売会などのイベントに出展することになり、その際サークル名を必要とする場合は「Project "SWingX"」をサークル名として使用していきます。 前述のとおり当ブログの拡張版扱いであるため、新しいホームページでの更新情報については当ブログのトップページの「更新履歴」でも発表するほか、特に重要な話題については当ブログに記事を書いたうえで「詳細はプロジェクトのホームページをご参照ください」といった感じで誘導する形になりますが、4月以降創作活動関連で何か投稿することになった場合は基本的には新しいホームページのほうを更新していきます。 ますますパワーアップするHEstduentの

【自作小説】ワールド・インターチェンジ「第1話 嘘のような、本当の話」

この世界には、科学では証明できないような不可思議な出来事がたくさん存在する。それは例えば幽霊とか、超常現象とか、ジンクスとか。それらには人々を楽しませ、極楽の地へと導くものもあれば、人々を怯えさせ、恐怖のどん底に突き落とすものもある。これらの出来事は、現実に存在するかどうかすらわからないものもあるが、時にテーマパークの人気アトラクションに利用されたり、テレビで視聴率向上のために過剰に脚色して紹介されたりすることもある。 これからお届けするのは、俺、姫路誠が実際にこの目、この耳、この肌、あらゆる感覚器官をもって体験した、この世に存在するすべての法則を駆使したとしても証明できないであろう現象を、何一つ脚色することなく忠実に書き記した物語である。この物語を書いている今感じているのは、果たして自分が本当にその現象を体験していたのか、ということである。しかし、この体に残っている感覚を、何の形にも残すことなく忘れてしまえば、それは空中を舞う塵同然の何の意味も持たない存在と化してしまう。俺は、この現象に何らかの大きな意味があり、いつの日か世界を大きく変える何かになると信じて、この物語を最後まで進めていこうと思う。ちなみに化け物とかは出てこないので安心してほしい。 それは、高校二年になってしばらくたち、いよいよ新学年の生活に慣れようとしていた頃のことだった。たしか五月中旬ごろのことだったと思う。新緑の木々があらゆる自然を緑一色に染め、若葉の生き生きした生命力を感じることのできたころ、俺は、とにかくもやもやしていた。この世界に失望していた。どうしてこの世界は、こうもうまくいかないことだらけなのだろう。テストでは人一倍努力しているつもりなのにいつも点数が悪く、体育では日頃から体力作りをしているつもりなのにいつも思うような結果が残せない、日常生活では、ある特定の男だけ人気が出て、俺はガールフレンドどころか男友達も数えるほど。どうして努力が素直に結果に反映されないんだ。どうして何もしていないように見える人が成功しているんだ。どうして、どうして…… 朝になり、目覚まし時計の音で目を覚ます。気持ちいい朝?そんなもん知らねえよ。休日はともかく、平日は起きた瞬間にすでに疲労のピークに達している。浮かない気分で朝食をとり、重たい足を無理やり動かして学校へと向かう。いくらこの世界に失望しようと

鉄道小ネタ集(2016年3月30日分)

3月30日に東姫路駅の探訪に行きました。当初は「まぁ、駅施設の写真撮って、軽く記事にする感じかなぁ」といったところで、東姫路駅で撮影した写真も含めて「鉄道小ネタ集」とするつもりでしたが、東姫路駅が列車の写真撮影に向いていることに気づき、作例紹介のために夢中で写真を撮影した結果一つの記事では長すぎるということで、別々の記事として投稿することにしました(それでも駅探訪記事はかなり長文になってしまいましたが……)。東姫路駅の紹介記事は こちら に掲載しています。この記事では東姫路駅以外の写真についてまとめて紹介します。 今回は久しぶりに姫新線で姫路まで行きました。いつも網干駅から山陽本線を利用しているので気分転換の意味もありますが、2016年3月26日から姫新線 姫路~播磨新宮間をはじめいくつかの路線・区間でICOCAが利用可能になったことに伴い、駅設備などに変化が生じているため、そのチェックもしてみたいと思いました。 わたしの姫新線における最寄り駅、太市駅からスタートです。 待合室にはICOCA利用開始を知らせるポスターが掲示されていました。2016年3月26日から、姫新線の播磨新宮までの各駅、播但線の寺前までの各駅(電化区間全駅)、加古川線の西脇市までの各駅でICOCAをはじめとする交通系ICカードが利用可能となりました。これまでこの区間を通る定期券を発行する際は、発着駅がICOCAエリア内であっても磁気定期券を発行する必要がありましたが、これからはICOCA定期券を発行可能となりますので、利便性が飛躍的に向上します。 駅設置の自動券売機にも変化が。太市駅は以前から無人駅用自動券売機UT50を設置していましたが、ICOCAサービスエリア外であったためICカード関連の機能は実装されていませんでした。今回ICOCAサービスエリアに含まれたということでICカードチャージ・履歴印字などの機能が追加されました。 待合室からホームへ上がるところにICカード用簡易型自動改札機が設置されていました(雨が吹き込む場所に設置されているからか、雨除けのビニールカバーがかぶせられていました)。電車に乗るときは「入場用」、電車から降りた後は「出場用」の機械にタッチします。列車から降りる際、無人駅でICカードで精算する場合は運転士にICカードを見せてから降ります。降