この世界には、科学では証明できないような不可思議な出来事がたくさん存在する。それは例えば幽霊とか、超常現象とか、ジンクスとか。それらには人々を楽しませ、極楽の地へと導くものもあれば、人々を怯えさせ、恐怖のどん底に突き落とすものもある。これらの出来事は、現実に存在するかどうかすらわからないものもあるが、時にテーマパークの人気アトラクションに利用されたり、テレビで視聴率向上のために過剰に脚色して紹介されたりすることもある。 ここまでお届けしたのは、俺、姫路誠が実際にこの目、この耳、この肌、あらゆる感覚器官をもって体験した、この世に存在するすべての法則を駆使したとしても証明できないであろう現象を、何一つ脚色することなく忠実に書き記した物語であった。この物語を書き終わった今感じているのは、果たして自分が本当にその現象を体験していたのか、ということである。実際に物語の一部を俺の想像(と妄想と下心)によって補完した部分もある。しかし、この体に残っている感覚を、何の形にも残すことなく忘れてしまえば、それは空中を舞う塵同然の何の意味も持たない存在と化してしまう。俺は、この現象に何らかの大きな意味があり、いつの日か世界を大きく変える何かになると信じて、この物語を最後まで進めてきた。俺のこの体験は、人によって様々な感想を持たれることだろう。「女の子といちゃつくとかうらやましい」であったり「ただの妄想だろ。非リア乙」など。それは人それぞれの価値観の問題なので、俺がどうこう言ったりこの事実を無理やり押し付けたりすることはできない。しかし、この体験が夢とは明らかに異なる形で俺に起こり、それによって俺の高校生活が大きく変化したことは、ここで改めて念を押しておきたいと思う。あの時夢香が俺の前に現れなかったら、きっと俺の高校生活はいつまでも最初のつまらないもののままで、今の生活も内容の薄いつまらないものとなっていただろう。そして、ワールド・インターチェンジという概念がそもそも存在しなければ、俺は夢香の死後、すぐに彼女の後を追いかけ、今ごろ生きてはいなかったかもしれない。そう考えるとワールド・インターチェンジは、否、竜野夢香は、俺にとっての命の恩人なのだと、繰り返しにはなるが感じさせられる。彼女は成仏していったが、本当にかけがえのない存在だった。この事実は一生、たとえ俺が誰かと結婚することがあった
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