今回はNECのビジネス向け2in1「VersaProタイプVS(2020年1月モデル)」を購入しましたので、開封の様子と使用感のファーストインプレッションをお送りします。
私は以前から格安タブレット端末の情報を聞きつけてはポチるのを繰り返しており、ほとんど使っていないタブレット端末がすでに3枚(Androidタブレット2枚、Windowsタブレット1枚)ありました。一応購入理由をこじつけるとするなら、メインで使っているiPad Proを充電中に寝ながら動画を見たりSNSを見たりしたい時用、ということにしています(笑)。
そんな中、NECの2in1がセールを実施するという記事を発見。
まずNECのタブレットが3万円を切っているという時点で激しく興味をそそられるわけですが、スペックを見ると第7世代Core m3、Windows 10 Pro、さらにペン入力対応かつペンも付属。そして極め付けはUSB・HDMI・GigabitEthernet端子を備えたクレードルが「付属」する点。Microsoft Surfaceもびっくりのもりもり欲張りセットなのに3万円切り……次の瞬間、私のPC画面には注文完了画面が表示されていました。
というわけで、早速開封していきましょう!
というか、外箱デカッ!!!
モバイルノートPCの外箱2つ分ぐらいの大きさがあります。クレードルが付属する点や、ビジネス向けモデルである点を考慮しても、これはちょっとデカ過ぎやしませんかね……箱の保管場所に困る……
しかも箱にプリントされているIntel Insideロゴが2020年9月に変更された最新バージョンというw今回購入したモデルは2020年1月発売のモデルで、ロゴ変更前に発売されたものなのですが……この製品の出荷自体が2020年9月以降だったのでしょうか?
もっと言うとこの端末に搭載されている第7世代Core m3プロセッサは2016年リリースのものなので、いろんな世代のものが混じりあっています……
ACアダプタはUSB PD対応のもので、最大45W給電可能です。
ドキュメント類。さすがビジネス向けPCだなぁ、と感じたのが左に写っているリカバリ用ディスク。このほか、ドライバやソフトウェアが入ったソフトウェアディスクも同梱していました。もっとも、この端末にはディスクドライブがついていないので、これらのディスクを使ってリカバリを行う際にはUSB接続のディスクドライブを別途用意する必要があります。
そしてこちらが付属品のクレードル。重量がそれなりにあり、端末を安定して取り付けられそうです。
向かって右側に端末本体との金属接点があります。なんかSATAの電源コネクタみたいな形状です。
背面の端子類。USB3.1 Gen.1 type-A端子が2つ、HDMI端子が1つ、Gigabit Ethernet端子が1つ、USB type-C端子(給電用)が1つあります。その隣にはケンジントンロックの取り付け部もあります。
続いて本体の紹介です!
ディスプレイは12.5インチFullHD液晶です。周囲のベゼルがかなり太く、近年の個人向けモデルがノートPCも含めてベゼルの極めて細いモデルが主流となっている点と比較すると、かなり野暮ったく見えます。また、ディスプレイの反射は強めで、暗い画面だと周囲の景色が容易に写りこみます。
上部にはインカメラ、またベゼルの右側には照度センサのようなものも確認できました。なお、Windows Helloの顔認証には対応していません。
背面。中央上部にカメラがついているほか、指紋センサもついています。が、なぜかドライバを入れても認識しませんでした。用途的になくても困らないので別にいいですが、せっかくついている生体認証デバイスが使えないのはなんだか気味が悪いです。
下部にはキックスタンドが内蔵されており、端末本体だけで自立させることが可能です。
こちらが自立するギリギリの角度で開いた図。これではかなり不安定なので、現実的にはもう少し開いて使うことになります。
こちらが最大角度まで開いた図。Surfaceなどは水平に近い角度までキックスタンドが開きますが、この端末の場合垂直方向から30度程度しか倒れません(一応角度調整は無段階で可能)。あくまでノートPC的用途で使う際に最適な角度までしか倒れない仕様で、ペン入力を使いたければ手持ちか机に直接置くかしてね、ということなのでしょう。
右側面。下部側(画像の左側)からUSB type-C端子(給電用)、ヘッドセット端子、microHDMI端子、USB type-A端子×2(うち1つは電源オフ時給電対応)。ですが、すべての端子がキャップに覆われています。
キャップを外したの図。この端末は防水対応というわけではないので、おそらく業務での使用時にホコリや汚れが端子に付着しないように、というものだと思いますが、これらの端子を使用するたびにキャップを開ける必要があるので煩わしく、開けたキャップが垂れ下がって見た目がダサいだけでなく、経年劣化でキャップ部分のパッキンが緩んで密閉できなくなる可能性もあります。かといってキャップの根元を切ってしまうのもなんかカッコ悪いし……
USB type-C端子の脇には充電インジケータランプもあり、充電中は橙に点灯し、充電が完了すると消灯します。
本体上部。ディスプレイに向かって右上部分に電源ボタンと音量ボタンがあります。また、ストラップの通し穴のようなものもあります。
左側面には特に端子はありませんが、ケンジントンロックの取り付け部があります。小さな3つのスリットはスピーカーです。
本体下部。金属接点やキャップがごちゃごちゃしていてわかりづらいので、キャップを開けてしまいましょう!
中央の金属接点(キーボードカバーの接続用)の左側にはmicroSDカードスロットがあります。右側は空きスペースとなっていますが、おそらくLTEモデルではここにSIMカードを入れるようになっていると思われます。
そしてその右側がクレードルとの接点となります。ここも例に漏れずキャップで閉じられているのですが、キャップを開けた側で固定できるようになっていて、キャップが邪魔でクレードルに設置できない!ということがないように(一応)なっています。
あと、個人的によくできてるなぁ、と思ったのが専用のデジタイザペンです。SurfaceやiPadなど、ペン入力対応でもペンは別売、という機種が多い中、この端末はペンが「付属」しています!しかも、
このように本体に収納できるようになっています!ペンは小さく細いため、絵描き用というよりはOneNoteなどを用いたメモ書き用になると思いますが、サイドボタンもついていて、簡単なペン入力であればこれで十分です。
極めつけは給電方法。この端末のペン入力は静電結合方式なので、ペン側にも電源が必要となります。が、このペンは充電池を内蔵しており、頭部にある金属接点によって、ペンを本体に収納すると充電ができるというスグレモノ。使いたいときにペンがすぐ使えるのって、かなり重要な要素だと思います。
冒頭の繰り返しになりますが、このような装備がついていながら、価格は3万円を切っているのです……実は何か裏があるんじゃないかと勘繰ってしまうのが私の悪いところですね……
フットプリントは315.8×205mmで、13インチノートPCをも上回るかなり大きなボディとなっています。また、アスペクト比16:9のディスプレイに合わせる形でベゼルが設けられているため本体が横長寄りとなっており、近年のタブレット端末・ノートPCが16:10や3:2のディスプレイを採用することで正方形寄りのボディ形状が主流となってきていることを考えると、形状面でも前時代的な部分を感じます。
厚さも10.7mmあり、同じくUSB type-A端子を備えるSurface Pro 7が厚さ8.5mmであるのに比べれば全体的に野暮ったく、あくまでビジネス・コスト重視・デザインは二の次、という設計思想が伝わってきます。
それではさっそく起動していきましょう!
ブート画面はもちろんNECロゴ。何気にNECの端末を購入するのはこれが初めてかもしれません。
一通りセットアップが完了。ビジネス向けということもあってか、プリインソフトは最小限で、壁紙もNECオリジナルのものは入っておらず、Windows 10の標準のものになっています。最近の国内メーカーPCの動向をよく把握していないのですが、プリインソフトをモリモリ入れたところでどうせ使わないし動作が重たくなる原因にしかならないので、この端末を見習ってほしいですね。
それではベンチマークを計測していきましょう!いつも通りCINEBENCH R23(ストアアプリ版)を使っていきます。
参考までに、以前同様に安いからと購入したWindowsタブレット(Celeron N4100)のスコアも紹介します。
今回購入したモデルにはCore m3 7Y30が搭載されています。タブレット端末向けSoCですが、Celeron Nとは異なりCoreプロセッサファミリに属し、7Y30は第7世代となります。世代差も考慮すると、Celeron N4100を上回るか、悪くて同等程度だろうと思っていたら、なぜかCeleron N4100のほうがより高いスコアとなりました。計測後半で温度上昇によるものと思われるサーマルスロットリングが見られましたが、数値上計測に大きな影響を及ぼすほどの激しい性能低下をしているわけでもなく、給電にも特に問題はなさそうだったので、原因はよくわかりません。
ただし、ネットサーフィンなど通常のPC利用に関してはVersa Proのほうが動作が軽く感じました。Celeron N4100のほうは何をするにもすぐCPU使用率が100%に張り付き、動画視聴がままならなくなることもありますが、Versa Proに搭載のCore m3 7Y30はベースクロックこそ1.0GHzですがTBにより最大2.6GHzまでクロックアップすることから積極的にクロックアップが機能し、動画視聴も特に支障なくできます。ビジネス向けPCとして想定される用途で使用する分には特に重さを感じることなく使用できるのではないでしょうか。
ディスプレイはマルチタッチに対応しているほか前述のとおりペン入力にも対応していて、付属のペンで画面上に直接書き込むことができます。筆圧検知やパームリジェクションにも対応しており、付属のペンが細く小さいことからがっつり書き込むような使い方は難しいとは思いますがお絵描きにも使えます(Medibang Paint Proにおいて、特にドライバのインストールや特別な設定などすることなく筆圧検知を使えることを確認)。なお、Surfaceシリーズとはペン入力の検知方式が異なるようで、Surface向けペンは反応しませんでした。
TDPは4.5Wで、ファンレスとなっています。動画視聴やベンチマークなどで高負荷がかかると背面が熱くなりますが、一般的なビジネス用途(Microsoft Officeなど)では背面が少し温かくなる程度で手に持っての利用でもそれほど不快感はありません。
バッテリー持続時間は9.4~12.6時間で、Surface Pro 7が公称10.5時間であることを考えるとタブレット端末としては標準的なバッテリーだと思います。クレードルが付属しており、(接点部分のキャップをあらかじめ開けておく必要はありますが)使い終わったらクレードルにポンと差し込んでおけば次に使う時までにバッテリー残量を回復させることができ、この点では昔のガラケーのような手軽さがあって良いと感じました。もちろん、USB type-Cケーブルを直接差し込んでの充電もできますが、いずれにしても端子部分のキャップの脱着が煩わしいです……そのわずらわしさ込みだと、やはりSurfaceシリーズのマグネット式ACアダプタのほうに軍配が上がるのではないでしょうか(Surfaceシリーズ以外への汎用性はありませんが)。
というわけで、VersaPro タイプVS(2020年1月モデル)のレビューをお送りしました。ちなみに最新モデルでは端子カバーが廃止となっていたり、画面アスペクト比が3:2となっていたりそれに伴って本体形状が変更となっているなど、よりSurfaceに近い形状になって使いやすくなっていると思います。
ちなみに今回購入した端末は、別件で購入したモバイルプロジェクタ「Anker Nebula Capsule II」に接続して「寝PC」として使っているため、上記で紹介した機能の大半は使っていませんw(おい)Nebula Capsule IIについては、別に開封レビューを投稿しようと思っていますので、そちらも併せてご覧いただければと思います。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。