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【レビュー】OCNモバイルONEに乗り換えてみて~結局のところ、格安SIMってどうなの?~

 先日、Huaweiのスマートフォン「Mate 10 Pro」のレビューをお届けしましたが、この時に携帯電話のキャリアをそれまでのSoftbankからMVNOの「OCNモバイルONE」に乗り換え(MNP)しました。大手3社は高額な通信料金や〇年縛りなどのしがらみが多く、格安SIMに乗り換えたいという方も多いと思いますので、初めてMVNOに乗り換えたユーザとしての率直な感想をレビューし、「結局のところ、格安SIMってどうなの?」をテーマにお送りしていきたいと思います!

 私は2016年の4月にSoftbankにMNPで乗り換え、その際Nexus 6Pを購入しました。例によって2年契約で契約したため、そろそろ契約更新の時期が近づいてきていました。また、この2年間端末を酷使してきたためバッテリがかなりへたってきており、バッテリ残量が少なくなってきたところで負荷をかけると突然バッテリ残量が0になり電源が落ちるという状況でした。そこで次の乗り換え先を検討していたのですが、キャリア大手3社には気になる機種がなく、また仮にあったとしても現在のNexus 6Pほど格安(月5,000円強、端末割賦代金が月2,300円ほどだったので通信料金は実質2,700円程度)で機種変更できる見込みがないことから、今度こそMVNO(いわゆる格安SIM)へ乗り換えることにしました(※実はNexus 6Pへの機種変更の際にもMVNOを検討していたが、この時は前述のような格安プランによりMVNO並みの負担で済んだため、SoftbankにMNPした)。Mate10Proは、今回私が選択したMVNO「OCNモバイルONE」で端末セット購入のラインナップにも含まれており、24回分割で毎月通信料金と一緒に支払うことも可能でしたが、諸事情により先に端末のみを購入し、Softbankの契約更新期間開始となる4月21日にOCNモバイルONEに乗り換えました。

 現在日本には非常に多くのMVNOが存在し、各社が多様なサービスを展開していますが、その中で私がOCNモバイルONEを選んだ理由としては、

  • サービスを提供している事業者がNTTコミュニケーションズであること
  • 会員限定サービスやサポートなどが特に必要なかったこと

の2つです。特に1番目は非常に大きく、いくら格安SIMであるとはいえ、通信に万が一のことがあれば緊急時に困ります。2017年12月にはMVNOブランド「FREETEL」を提供していたプラスワン・マーケティングが民事再生法の適用を申請し、その後ブランドがMAYA SYSTEMへ譲渡されるという出来事がありました。この間、通信が全くできないということはなかったようですが、それでもサービスを提供する事業者の経営が不安定であれば、「もしかして……」という不安を抱えたままサービスを利用し続けることになります。一方でOCNモバイルONEはNTTコミュニケーションズという大手電気通信事業者(NTTグループの主要5社(東・西・コム・データ・docomo)のうちの一つ)が展開しており、従前から展開されている長距離通信事業(国際電話など)やプロバイダ事業(OCN)、テレビ・ラジオの中継回線など様々な分野で実績があり、それだけでも大きな安心感があります。
 2番目の理由として挙げた会員限定サービスやサポートについてですが、例えばイオンモバイルの場合、全国のイオンの店舗でSIMの契約やその後のサポートを受けることができ、初めて格安SIMを利用するユーザにとって非常にハードルが低くなっていますが(実は私の母もこのサポートの受けやすさや、普段買い物で利用する店舗ということで去年イオンモバイルを契約した)、支払いにイオンカードが必要で(私は持っていない)、そもそもここまでの手厚いサポートも必要なかったため、候補から外れました。かくいうOCNモバイルONEも、インターネットプロバイダのOCN光を契約すればOCNモバイルONEの月額料金が割安になるサービスを展開していますが、このようなサービスは大手キャリア3社を含めどの事業者でも行われており、むしろ1番目の理由で選んだ部分が大きいので、OCNモバイルONEを選んだ理由にはなりませんでした。

 それでは、私がこれまでOCNモバイルONEにMNPし、実際に通信を利用する中で感じたことについて、手続きのしやすさ、通信速度、容量、縛り、デメリットに分けて紹介します。できるだけ格安SIM全体に共通する内容を取り上げていきたいと思いますが、細かい部分については実際にOCNモバイルONE以外のMVNOを利用したことがなくわからないため、「OCNモバイルONEの場合はこうなっている」という例を紹介します。


1. 手続きのしやすさってどうなの?

ほぼすべてのMVNOがインターネット上で手続きし、店頭に足を運ばなくても回線を持つことができます。データ通信専用SIMであれば店頭や通販でSIMカード入りのパッケージを購入し、手元に届いたのち必要事項をwebフォームに入力するだけで利用開始できます。SMS対応SIM・音声通話対応SIMはパッケージにSIMカードは入っておらず、パッケージに記載の必要事項をwebフォームに入力し(音声通話対応SIMの場合は本人確認書類のアップロードもして)、SIMカードが届くまで数日待つ必要があります。新たに電話番号を取得する場合は特に問題ありませんが、例えば音声通話対応SIMにMNPする場合、現在契約中のキャリアからMNP予約番号を取得し、乗り換え先のMVNOで手続きし、SIMカードが届いて再び通話可能になるまでの手順をすべて自分で行う必要があり、この間通話ができない期間も発生してしまいます。
 しかし、多くのMVNOはヨドバシカメラなど大きな家電量販店に「即日開通カウンター」を設置しており、ここで手続きすることで、大手3社と同様に店員のサポートを受けながら手続きを進めることができ、さらにSIMカードをその場で受け取ることができるため、即日乗り換え先のMVNOで通話可能になります。イオンモバイルも全国のイオンの店舗で開通手続きを行うことができ、初めて格安SIMを利用するユーザでも簡単に回線を持つことができます。
 私は現在下宿しており、特に屋外かつWi-Fiが利用できないエリアでの通信ができないのはまずいため、ヨドバシカメラの即日開通カウンターでMNPをしたのですが、大手キャリアで手続きするのと全く同じ感覚で手続きを進めることができ、非常に簡単にOCNモバイルONEに乗り換えることができました。手続き開始からSIMカードを受け取り、すべての手続きが完了するまで1時間半ほどでした(私はMNP予約番号を取得せずに窓口を訪れたため、まず予約番号を取得する必要がありましたが、あらかじめ取得した状態で手続きを開始すれば、1時間程度で開通できるのではないでしょうか)。
 なお、大手キャリアでは端末にSIMカードが挿入され、APNの設定がすべて完了している状態で受け取りますが、MVNOでは開通後SIMカードを手持ちの端末に挿入し、APNの設定を自分で行う必要があります(MVNOの「端末セット」などで、SIMカードと端末を同時に購入した場合はこの限りではないかもしれません)。設定の手順が書かれた紙を契約時に受け取るので、それに従って端末を操作するだけですが、設定を自分で行うことに抵抗のある人は少しハードルを高く感じるかもしれません。なお、「SIMフリー端末」として発売されているスマートフォン・タブレットの多くは大手キャリアやMVNOのAPNがあらかじめプリセットされており、しかもSIMカードを挿入するだけで事業者を自動で判別するため、端末によっては手動でのAPN設定が不要な場合もあります(私が使用しているHuawei Mate10ProもOCNモバイルONEを含め多くのMVNOのAPNデータがプリセットされており、SIMカードを挿入して電源を入れるだけでそのプリセットが読み込まれていました。念のためAPN設定を確認しましたが、手動で入力が必要な項目は3つほどでした)。
 なお、支払い方法はほとんどのMVNOでクレジットカードしか利用することができません。一部のMVNOは口座振替で支払いをすることもできますが、原則としてクレジットカードでの支払いを推奨され、やむを得ない事情で口座振替で支払いたい場合はコールセンターに問い合わせて申込書類を取り寄せるなど、非常に面倒な手順を踏む必要があります。前述の即日開通カウンターもクレジットカードのみ対応で、口座振替で手続きすることはできません。大手3社は口座振替で支払うことが可能で、特に面倒な手続きも必要ないため、今まで口座振替で支払っていたユーザがMVNOに乗り換える際は注意が必要です。私もSoftbankの利用料金は口座振替で支払っており、MVNOに乗り換え後も口座振替で支払いたいと思っていたため、口座振替対応のMVNOであるOCNモバイルONEで口座振替手続きしようとしたのですが、調べているうちに面倒な手続きが必要なことがわかり、しかも通話できない期間がさらに長くなる可能性があったため、クレジットカードで手続きを進めることにしました。

2. 通信速度、つながりやすさってどうなの?

格安SIMというと通信が遅く、webの表示でも長時間待たされたり、画像の多いwebページやSNSはまともに表示・利用できないというイメージをお持ちの方がいるかもしれませんが、最近のMVNOにおいてはそのようなことはほとんどなく、SNSの閲覧や画像の多いwebページを表示する程度であれば大手キャリアと全く同じ感覚で使うことができます。
実際に手持ちのOCNモバイルONEの回線(NTTdocomoの通信網を利用)でスピードテストをしてみました(テスト日:2018年5月6日、建物の5階で、窓際に立ってテストを3回実施。最も良いスコアを表示。状況によって、これより遅くなることもあります)
爆速というわけではありませんが、TwitterなどのSNSやwebページの閲覧では、それまで使用していたSoftbankの回線と全く同じ感覚で使うことができ、明らかな遅さは全く感じません(Softbankを使っていた時にスピードテストをしていなかったのが悔やまれる……)。動画を視聴する場合にはもしかしたらバッファの読み込み待ちが気になるかもしれませんが、それより先に通信容量のほうが気になってきますので、あまり問題にはならないでしょう。
ちなみにOCNモバイルONEには「節約モード」というモードがあり(ほかのMVNOにも、名前は異なるが同様の機能が搭載されているキャリアが多い)、これをオンにすると通信速度が200kbpsに制限される代わりに通信容量がカウントフリー(後述)になります。200kbpsというとかなり遅いイメージがあるかもしれませんが(実際私もそのイメージを持っていました)、実際に使ってみるとテキストベースのSNSやwebページであれば極端な遅さは感じず、radikoも途切れずに聴けるほどでした。当然ながらSNSで画像を開こうとしたり画像の多いwebページを閲覧しようとしたりすると長時間待たされてしまいますが、後述する少ない通信容量を賢く使うための手段の一つとして節約モードを上手に活用したいものです。
 つながりやすさについては、そもそもMVNOが基本的に大手キャリアの通信網を間借りする形で運用されているため(OCNモバイルONEはNTTdocomoの通信網を利用)、通信可能エリアはそのMVNOが間借りしているキャリアの通信可能エリアに依存します。したがって大手キャリアはつながるのにMVNOはつながらない、というエリアも基本的には存在しません。もしかしたら一部例外があるかもしれませんが、これまで利用してきたところでは、地下鉄のトンネルや地下街などでも圏外にはならないことを確認していますので、そのような例外は極めて稀だと思います。
 しかし、MVNOが大手キャリアの通信網を間借りして運用しているという特性上、どうしても時間帯や混雑などの条件によっては大手キャリアより先に通信速度が遅くなったり、つながりにくくなったりするそうで、回線の契約時にもこの点についての注意喚起を受けます。動画視聴のような大容量の通信を行わないならこの点はあまり問題には感じないかもしれませんが、一応MVNOユーザとして頭の片隅に覚えておくべきでしょう。
2018年6月11日追記:OCNモバイルONEを使い始めて1か月半ほど経ちましたが、「条件によって通信速度が遅くなる」現象はたびたび発生します。さすがに全くデータ通信ができない、ということはありませんが、Webサイトの表示が遅くなったりSNSの画像読み込みでしばらく待たされることが、以前使用していたSoftbankの時よりも多くなったような気がします。

3. 通信容量ってどうなの?

OCNモバイルONEには、大手キャリアのように月単位で通信容量を区切るプランのほかに、日単位で通信容量を区切るプランがあります。そもそも格安SIMに乗り換えるようなユーザの場合、動画視聴のような短時間に大量のデータ通信を行うことは少なく、SNSやwebページといった少容量のデータ通信を毎日使うといった使い方がほとんどだそうで、そのような使い方に適したプランとして日単位のプランが設定されました。大手キャリアや、OCNモバイルONEの月単位プランは、その月使いきらなかったデータ容量を翌月に繰り越しできますが、同様に日単位プランでその日使いきらなかったデータ容量は翌日に繰り越しできます。月単位プランで翌々月以降に繰り越しできないのと同じく、日単位プランで使い切らなかった容量を翌々日以降に繰り越すことはできません。
 私は、通学時にSpotifyで音楽を聴いたり、時々カフェでPCを使う際にテザリングを利用するため(注:多くのMVNOで大手キャリアと同じくテザリングが利用可能です。OCNモバイルONEの場合、標準でテザリングが無料で利用できます)、日単位のプランでは容量が足りなくなる可能性があると考え、最初は月3GBのプランで契約しようとしました。しかし店員から「OCNモバイルONEの月3GBは他社より高額なので、月換算で3.3GB通信でき、価格も安い日110MBプランをおすすめする」と言われました。不安はありましたが、OCNモバイルONEは月1回までデータ容量プランを無料で変更できるので、もし足りなければ来月プラン変更しようと思い、このプランで契約しました。
そして実際に使ってみると、意外と110MBでも十分すぎるほどデータ容量に余裕があり、今のところ毎日データ容量の繰り越しが発生し、実質的に日220MB利用できる余裕があります。(以下、2018年6月11日更新)上の画像は2018年5月分の私のデータ容量の履歴ですが、電車の移動中にSNSやネットサーフィンに夢中になり、「結構データ容量使ってしまったかも」というようなとき(上の画像で110MBのラインギリギリまで伸びている日が該当)でも前日からの繰り越し分すら使い切っておらず、結局次の日には当日未使用の110MBが繰り越しになってまた220MB利用可能に、といったような状況です。まれにSNSで画像を大量に閲覧したりテザリングを利用したりして110MB以上使ってしまうときもありますが(上の画像で110MBのラインを突破してしまっている日が該当)、その場合でも本来の1日利用可能データ容量が順次消費されていきますので、すぐ速度制限がかかることはありません。もちろんその分だけ翌日の繰り越し容量は少なくなりますが、翌々日以降に繰り越しできないことを考えると、できるだけ使っておきたいところです。
さらに、「節約モード」をオンにすれば日110MBのデータ容量のカウントがされなくなり、実質的に無限に通信を利用することができます。さすがに200kbpsしか出ず、明らかに遅く感じるため節約モードで使い続けるのは厳しいですが、例えば「今日はデータ容量をたくさん使ってしまった。明日テザリングを使う予定だからしばらく節約モードに切り替えて容量を温存しておこう」といったように、節約モードをうまく活用すれば、日110MBでも十分やりくりすることができます。
 さらに、現在OCNモバイルONEでは音楽ストリーミングアプリのデータ容量をカウントフリーにするサービスのトライアル(無料)を実施中です。一部のMVNOでは、例えばSNSアプリでのデータ通信をカウントフリーにするサービスなどを展開していますが、OCNモバイルONEでも同様のサービスが始まりました。ちょうど私が利用しているSpotifyもカウントフリーの対象となっているため、懸念事項の一つだった音楽ストリーミングによるデータ容量消費の問題が当面の間心配なくなりました。期間限定のサービスで、トライアル期間終了後どうなるかについては不明ですが、MVNOを選ぶ指標の一つとして「カウントフリーの有無や対象サービス」も入ってくるのではないでしょうか。

 ちなみに、「節約モード」のオンオフや契約プランの変更、データ残容量の確認、カウントフリーサービスの入会などはOCNモバイルONEのアプリ(アプリストアで配布されているものをインストール)上から行います。ほかのMVNOでも専用アプリやwebページ上からこれらの設定の確認・変更を行うことができ、このあたりは大手キャリアと同様です。さらにOCNモバイルONEではこのアプリのほかに「OCNでんわ」のアプリのインストールも勧められます。これは電話番号の先頭に「0035-44」のプレフィックスを自動でつけてくれるもので、これにより通話料金が少し安くなります(10円/30秒)。大手キャリアには通話し放題のプランが標準でついてきますが、多くのMVNOでは有料オプションとなっており、オプションに入っていない場合は通常の通話料金(20円/30秒)が必要になります。電話はかけないわけではないけど、通話し放題のオプションに入るほどではない場合に、「OCNでんわ」のアプリが有効に機能するのではないでしょうか。

4. 〇年縛りとかってどうなの?料金負担は?

大手キャリア3社の場合、端末代金を24回分割払いとし、データ定額プランの2年契約を締結することで、端末代金や通信料を割り引く(非常に意地悪な言い方をすれば、毎月の料金を割り引く代わりに2年間の契約を強制し、途中で解約した場合は契約解除手数料という名の「違約金」と端末代金(割引前)の残額を負担させる)、いわゆる「2年縛り」という悪名高い制度があります。最近は端末代金を48回分割払いとし、データ定額プランの2年契約の更新(つまり3年目に突入)以降に端末を買い替える際はその端末の割賦残高をキャリアが負担する(これも意地悪な言い方をすれば2年間の契約を2度強制し、さらに端末の割賦残高を人質に他キャリアへの乗り換えもさせない)、いわゆる「4年縛り」という制度も始まりました。毎月の料金負担に不満を感じるも、途中で契約を解除すれば高額の手数料(違約金+端末の割賦残高)を請求されるからなかなか乗り換えできない……これを理由に次の契約更新のタイミングでMVNOに乗り換えたいと思うユーザも多いはずです。
 結論から言いますと、広く知られている通りほとんどのMVNOには「〇年縛り」のような、年単位の契約プランはありません。毎月の利用料金に不満を感じたら、自分の好きなタイミングで解約、またはほかのキャリアにMNPすることができます。契約解除手数料という名の違約金もありませんし、端末を別で購入していれば割賦残高の請求もありません。
 ……と言い切りたいところですが、実はいくつか注意したいポイントがあります。「最低利用期間」と「端末セット購入」です。
 多くのMVNOには「最低利用期間」が設定されており、OCNモバイルONEの場合6か月間となっています。すなわち、OCNモバイルONEの場合最低でも6か月間は利用し続けなければならず、6か月以内に解約または乗り換えする場合は大手キャリアと同様「違約金」がかかります。まぁ、何が何でも今すぐ解約・乗り換えしたい!違約金なんかどうでもいい!という場合でも、金銭的な負担は大手キャリアよりは少なくて済みますが(笑)。ちなみに音声通話対応SIMからデータ通信専用SIMへの切り替えであっても、音声通話対応SIMは「解約」の扱いになりますので、最低利用期間の規定が適用されます。
 また、多くのMVNOでは大手キャリアと同様、端末をセットにして販売するサービスもあります。大手キャリアでは取り扱われていない魅力的な機種も数多くラインナップされており、キャリアによっても取り扱う機種が異なるため、自分の好きなメーカー・機種がラインナップされているのをキャリア選びの基準にしても面白いかもしれません。注意したいのはこの端末の支払い方法。多くのMVNOでは最安1万円台の端末も用意されており、これぐらいなら一括でも支払えまますが、Mate10Proのような7万円以上もするハイエンド機種ともなるとなかなかそうはいかず、分割払いを利用することになります。OCNモバイルONEの場合、ほとんどの端末で24回分割払いで端末セット購入ができます。当然ですが、最低利用期間終了後~24回分割払い終了までに乗り換えた場合でも端末の割賦残高は引き続き請求されます。この残高がそれまでと同様毎月請求されるのか、解約後に残額を一括請求されるのかは、各キャリアに確認する必要があります。

 このほか、大手キャリアにも共通する注意すべき手数料・料金として、契約事務手数料、ユニバーサルサービス料、MNP転出手数料、通話料金、SMS送信料金などがあります。契約事務手数料は、SIMカードのパッケージ購入代金の形で負担するので、特に意識することはありません。ユニバーサルサービス料は加入電話・公衆電話・緊急通報がこれからも日本全国、誰でも利用し続けられるよう、大手キャリアやMVNOなどの事業者が利用料金に上乗せする形で利用者から徴収しているもので、2018年1~6月までのユニバーサルサービス料は2円/月となっています(参考:総務省|ユニバーサルサービス制度)。MNP転出料金は3,000円+税かかります。通話料金は、特に大手キャリアからの乗り換えの場合、それまでの電話し放題と同じ調子で通話して後で思いもよらない請求が来た、ということにならないよう、通話時は意識しておく必要があります。「OCNでんわ」のような、プレフィックスをつけることで通話料金が割安になるサービスを上手に活用したいところです。SMS送信料金はOCNモバイルONEの場合、国内向けは月5通まで送信無料、以降1通3円+税がかかります(海外向け送信料は通数にかかわらず1通50円、受信は国内外・通数にかかわらず無料)。

5. 格安SIMならではのデメリットってどうなの?

ここまで述べてくる中で、MVNOならではのデメリットや、ユーザが気を付けるべきポイントを小出しにしてきましたが、まとめると、「ある程度リテラシーが高く、クレジットカードも持っているような層に限定される」といったところでしょうか。そもそもスマートフォンを使っている時点でデジタル機器に対する抵抗は少ないと言えますが、そのスマートフォンを契約するときにショップ販売員の言われるがままに手続きを進め、毎月の請求の内訳や割引の詳細がいまいち理解できていないユーザにとっては、MVNOの契約手続きにはかなり高いハードルを感じるのではないでしょうか。逆に、携帯電話を契約する際に自分が入ったプラン、適用されている割引、その割引が適用される条件として入会が義務付けられるサービスの内容とそれを解除するタイミング(ショップや家電量販店によっては、キャリアが提供している割引以上に独自に割引を行うこともありますが、ほとんどの場合その割引の適用を受けるために契約初月や次月まではそのショップが指定する有料サービス(大体がそのキャリアの提供しているVODサービスなど)への加入を義務付ける条件があります)などを把握し、毎月の請求の内訳が理解できるユーザはMVNOへの乗り換えにそれほどの難しさは感じないはずですし、むしろ思ったよりも簡単だったと拍子抜けすらするかもしれません。この記事は、格安SIMに乗り換えたいユーザをターゲットにしつつも、「MVNO」「MNP」「VOD」などの略語を平然と使う初心者お断り的な内容となってしまいましたが(笑)、この記事の内容がなんとなく理解できるユーザであれば、まずMVNOに対して抵抗感を抱く必要はないといえます。
 原則としてクレジットカードしか利用できない点も、近年のキャッシュレスの流れに乗っているユーザであればあまり抵抗感はないと思います。口座振替も結果的にキャッシュレスといえばキャッシュレスですが、クレジットカードで支払うことに強い抵抗感がある、あるいはそもそもクレジットカードを持っていないというユーザにとってはMVNOは高い壁を感じるでしょう。

(めちゃくちゃ余談なのですが、かくいう私も2017年の12月にようやっと初めてのクレジットカードを作成したばかりで、まだクレジットカードについてあれこれ語れる立場ではないのですが、本格的にカードを使い始めた2018年1月以降、少額利用でも財布に現金がなくて銀行へ駆け込んだりモノを買うのをあきらめたりといったことが少なくなり、生活がより便利になってきているのを実感しています。なんでもっと早く作らなかったのだろうと後悔しているぐらいです(笑)。この記事を見て、「MVNOに乗り換えたいけどクレジットカード持ってないし……」と諦めかけている・面倒を覚悟で口座振替可能なキャリアを検討している皆さんに私からできるアドバイスとしては「まずクレジットカードを作ろう!話はそれからだ!」ということです(おい)。もちろんクレジットカードの発行には日数がかかるので(最短でも1週間~10日)、その分MVNOの契約が遅れますが、特に急ぎでなければ、まずクレジットカードを作成することをおススメします。全く関係ない話になってスミマセン……)

 そのほかに注意すべきこととしては、MNPの手続きが少し面倒なことです。
 まずMNPでほかのキャリアから検討中のMVNOに転入する場合。特に契約手続きをインターネット上で行う場合、乗り換え元のキャリアで発行したMNP予約番号の有効期間が12日以上残っている必要があります。予約番号の有効期間は15日間ですから、取得後すぐに手続きを開始することになります。12日未満となってしまった場合は再度予約番号を取得すればいいのですが、二度手間となってしまいます。「即日開通カウンター」で大手キャリアからMVNOにMNPする場合は、その場で予約番号を取得すれば、有効期間について意識する必要はないでしょう。
 次にMNPで現在のMVNOからほかのキャリアへ転出する場合。OCNモバイルONEの場合、MNP予約番号の発行には3日程度かかります。例えばOCNモバイルONEからほかのMVNOに乗り換えるとき、「即日開通カウンター」で手続きしようと店頭で予約番号取得手続きを行っても、その日には予約番号が取得できないため、乗り換えできません。あらかじめ自宅などで予約番号を取得しておき、番号が手元に届いてから即日開通カウンターを訪れるとよいでしょう。
(余談ですが、「即日開通カウンター」で大手キャリアからMVNOへMNPする場合でも、あらかじめ自宅などで予約番号を取得することをおススメします。店頭での手続きがより迅速になるという理由もそうですが、私が先日店頭で電話をかけた際、店内が騒がしくオペレータの声が聞き取りにくく感じました。MNP予約番号自体はSMSで届くため、特に支障はありませんが、オペレータからいくつか質問(乗り換え先キャリアや新しい端末の機種名など)や説明(主に料金関係)があるため、よく聞こえないオペレータの声に適当に返事してたらいつの間にか予約番号取得手続きが中止されてしまった!なんてことが起こるかもしれません(笑)。静かな環境で落ち着いてオペレータとやりとりするのが良いでしょう)
また、こんな使い方をするユーザはいないかもしれませんが、MNPの転出手続きができるのは利用開始月の翌月以降となるため、どうしてもOCNモバイルONEに不満をもってまた別のキャリアにMNPしたくなった場合でも、今の電話番号を引き継ぐには最低1か月は利用する必要があります。もちろん、前述したとおり「最低利用期間」内の解約・乗り換えは違約金が発生します。

6. 結局のところ、格安SIMってどうなの?

と、ここまで格安SIMのいいところ・悪いところについて、私が感じたことを述べてきましたが、要するに「賢く使える人が得をする」サービスだと思います。もちろんMVNOに乗り換えるだけでも大手キャリアに比べて大幅に安くなりますが、例えばカウントフリーのサービスが自分の端末の利用用途と合致すると、そのサービスのために大きいデータ容量のサービスを契約する必要がなくなり、結果的により安いプランで済みます。また、携帯電話とは直接関係ありませんが、支払いに用いるクレジットカードのサービス次第では、支払金額に応じてたまるポイントを活用することでも得をすることができます。さらに、そのクレジットカードの引き落とし口座にポイントサービスがあれば、やはり引き落とし額に応じてたまるポイントを活用して得をすることができます。携帯電話料金は毎月必ずかかってくるものなので、これらをうまく活用して、あらゆるところからポイントをかっさらっていきましょう(←言い方)!

 一つ強調しておきたいのは、この記事は、大手キャリア(docomo・au・Softbank)がMVNOより劣っていると述べているものではありません。たしかに毎月の料金は高額ですが、サポートは充実しており、端末について何か困ったことがあればとりあえずショップに持ち込めばよく、たとえ端末が故障したり画面が割れてしまったりしても保証が適用されていれば店頭に持ち込んで交換してもらうことだってできます。MVNOですとサポートがweb上の自動チャットやコールセンターなど非対面でのやり取りが中心で、「即日開通カウンター」のような対面販売の場であっても端末のサポートまではしてくれません(その端末のメーカー保証に依存する)。また、家族でデータ容量を分け合えるシェアパックや、その場合のデータ容量として100GBもの大容量が用意されている(NTTdocomoの場合)点も、MVNOでは数少なく、特に自宅にブロードバンド環境をもっていない場合には頼もしいサービスといえます。VOD系のサービスが充実しているのも大手キャリアの特長で、月額料金こそかかるもののそのキャリアを利用中のユーザは割安になり、ドラマやアニメはインターネット配信のものを見るというユーザにはうれしいサービスなのではないでしょうか。さらに、Softbankが時々展開している「Super Friday」といったキャンペーンで、いわば「タダ飯」「タダお菓子」がゲットできるのも、ユーザとしては料金やサービスとは関係なく単純に嬉しいものです。

(´-`).。oO(MVNOに乗り換えて浮いたお金で同じかそれ以上の飯が食えるとか言うけど、
そういう話じゃねぇんだよなあ
←(SuperFriday体験者)

 ……と、大手キャリアの名誉のためにもいいところをいくつか挙げてみましたが、やはりライトユーザにとっては月額料金が安いことに越したことはありません。この記事がMVNOを検討する際の一つの判断材料になれば幸いです。

 最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。

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