スキップしてメイン コンテンツに移動

「DJなんもわからん from 現実世界」を終えて

 2023年1月28日(土)、VRDJイベント「DJなんもわからん」の開催1周年記念となるリアルイベント「DJなんもわからん 1st Anniversary from 現実世界(以下、本イベント)」が六本木CUBEで開催されました。私は副主催として会場との調整・諸経費の管理・その他事務作業を担当していました。昨年8月から企画を進めてきた本イベントが無事終了し、いまは安堵の気持ちと、関わってくださった方々への感謝の気持ちでいっぱいです。イベント終了間もない今のうちに、本イベントに副主催として関わることになった経緯から、今だから話せる(?)本イベントへの思いを書き記しておこうと思います。長文にはなるかと思いますがどうぞお付き合いくださいませ。


そもそも廻音あじおって何者?

ありがたいことにVRDJ界隈では私のことを知ってくれている方が多くいらっしゃいますが、この記事をご覧の読者の方には「廻音あじおって何者ぞや?」という方もいらっしゃるかと思いますので、簡単に自己紹介をしたいと思います。

私、廻音あじお(まわりね・あじお)は2020年6月よりDJ活動を開始し、しばらくはリアルDJ・配信DJをメインに活動してきました。VRChatは2021年9月より始め、2021年10月に初めてVRDJイベントに足を運びました。そして2022年1月のイベント出演からVRDJとしての活動が始まりました。DJキャリア自体は2年半ほどあるものの、VRDJとしては実はこの記事の執筆時点で1年しか経っていない新参者です(笑)。

得意ジャンルは4つ打ち全般で、特に本イベントで私がプレイしたA-Remix(アニソンリミックス・インターネットミュージック)が一番歴も長いです。このほかアニソン原曲からHardcoreまで、踊って盛り上がれる曲を幅広くプレイします。

VRChatのほうではDJのほかVJもたまにやっており、またクラブワールド「HeXaHedron」等の制作・運営を行っています。イベント主宰も行っており、隔週開催の「Channel CUEration」をはじめ、様々なジャンル・コンセプトのイベントを開催しています。要するに「なんかいろいろやってる人」だと思ってもらえればw


「DJなんもわからん」のCrewとなったきっかけ

私は本イベントの副主催である以前に、「DJなんもわからん」のCrewでもあります。こちらはイベント開始当初からCrewとして在籍していたわけではなく、昨年5月ごろにCrewの追加募集の案内を見かけたのがきっかけでした。

「DJなんもわからん」というイベント自体は開催が始まって間もないころから知っていましたが、参加資格が「DJを始めて1年以内」であり、リアルも含めて当時1年半以上のキャリアがあった自分は参加資格を満たすことができませんでした。一応「ベテラン枠」もありますが、DJ初心者優先でベテラン枠は狭き門だったため、「自分には関係のないイベント」という認識さえ持っていました。とはいえ、開始当初より毎回多くの来場者がある比較的大規模なイベントであることは知っていましたので、Crew追加募集の案内を見て「DJとしては出演できないかもしれないけど裏方としてこのイベントに関わることができるなら…」との思いで応募しました。現在は主に音出しの際のチェック補助や出番前の出演者への声掛けなどの裏方仕事をやる一方、主催やほかのCrewが不在のときは自らイベントを進行したり代わりの業務をしたりもしています。


「DJなんもわからん from 現実世界」開催まで

以前より「DJなんもわからん」のリアル開催をしたいという話はたまに上がっていましたが、8月後半ごろからそれが具体的な話として進み始めることに。それ以降、会場の選定、様々な企画の考案などの準備を進めていきました。私は小さな箱の身内イベントレベルではあるものの、一応リアルイベントの主催経験があるため、会場との調整やイベント開催に伴う諸経費の管理を引き受けました。当初はあえて肩書きをつけるなら「会場調整・経費管理係」といったところでしたが、イベント企画・準備に対してCrew&リアルイベント主催経験者の立場から様々な知見を提供したこともあってか、のちに「副主催」として公募DJの最終決定など本イベントの重要な部分の意思決定にも関わるようになりました。


副主催としての苦悩

もちろん、すべての準備がスムーズに進んだわけではありませんでした。私が一番苦悩を感じたのは「何人のお客さんに来てもらえるか」ということです。

昨今の情勢もあり、リアルイベントの開催が回復基調となる中、「VRChatのクラブイベントのリアル開催」の形態をとったイベントも昨年だけでも多く開催されました。本イベントはVRDJイベントのリアル開催としては言ってしまえば後発で、そのような状況下で開催することに対して「もしかしてほかのリアイベへの参加でみんな満足してしまっていて、そんなにお客さんが来ないのでは?」という懸念も持っていました。

さらに、先ほど述べた「リアルイベントの主催」で私が集客に失敗したことも苦悩を感じる要因となりました。実はそのイベント、演者以外のお客さんが2人だけしか来ず、昨今の事情で出演できなくなった演者の代替出演手段として「事前にMixを撮ってもらい、それを会場で流す」という方法を取った(代わりに現場に来れる演者を立てられなかった)こともあり、会場内には演者を含めても終始10人に満たない人数しかいませんでした。この苦い経験は私の本イベントでの「副主催」としての意思決定に大きく影響を及ぼしました。ましてや、今回は箱代・その他経費を含めて大きなお金が実際に動くことになります。クラブイベントを開催する以上、赤字が出ることは覚悟のうえで作業を引き受けていましたが、判断次第でその規模感が変わることになるため、特に収支に関係する部分の企画に対しては慎重にならざるを得ず、時に意見が対立することもありました。


みんな「オフライン」の場所を求めていた

紆余曲折ありつつもついに開催された「DJなんもわからん 1st Anniversary from 現実世界」でしたが、最終的な来場者数は100名近くを記録し、イベントとしては大成功だったと思っています。副主催の業務で終始あちこち走り回っていたためちゃんとご挨拶・お話できなかった方も多く、唯一悔やむ点かなと思っているのですが、多くのVRChatterがフロアやラウンジでお酒を飲みながらフレンドと語らうなど思い思いの時間を過ごしているのを見ていると、目頭が熱くなる瞬間もありました。

それと同時に、私はこれまでのクラブイベントでは意識してこなかった新たな側面にも気付かされました。

「これはクラブイベントであると同時に、VRChatterのオフ会なんだ」

本イベントでは例えばフードの販売をはじめとして、一般的なクラブイベントではなかなか行われないことも企画・実施しました。正直に言うと私はそれらの企画の大半に難色を示していました。「そんな企画はクラブイベントにあらず!」と思うこともしばしばありました。しかし、本イベントが「オフ会」の側面も持ち合わせているのだと考えると、フード販売をはじめとしたいくつかの企画にも納得がいきましたし、むしろ私のほうが「これは純粋なクラブイベントとして開催するんだ」という考えに囚われすぎていた部分があったかもしれません。私自身、新たな気付きにもなりましたし、今後のイベント開催においてもこの考え方も意識した上で企画に携わっていきたいと思いました。

そして、最初に私が持っていた「お客さんが来てくれるか」という不安。これは本イベントがオフ会の要素を持ち合わせていたのだとしたら、今回の来場者数・客層、すべて納得がいきました。

みんな「オフライン」の場所を求めていて、それを提供するための場所(=リアルイベント)を開くのに早い遅いはないのだと。

ライブは一体感!(某女児向けアニメの名言)


「DJなんもわからん from 現実世界」を終えて

イベントが終了してから1週間が経過し、「DJなんもわからん」の通常回も開催されるなど、元の日常が戻ってきています。しかし、あの日感じた興奮は私のDJキャリア・VRChatterの思い出として、決して忘れることはないでしょう。改めて、今回のイベントに関わってくださったすべての方に感謝です。

とはいえ、これですべてが終わったわけではありません。次はおそらく来年、2周年のタイミングで再びリアルイベントの開催を予定しています。すでにCrew内でも「次はこういうことができたらいいね」という話があがるなど、次回に向けた気合も十二分に入っています。私自身、今回のイベントで(次回に向けた改善点も含めて)非常に手応えを感じたので、次回もチャンスがあればまたイベント運営に携わっていきたいですし、今回副主催として運営する中で得られた多くのノウハウを今後リアイベの開催を検討している人がいればどんどん共有していきたいとも思っています。もちろん、VR開催の「DJなんもわからん」も引き続きやっていきますので、これからもよろしくお願いいたします。


最後までご覧いただきまして、ありがとうございました!


このブログの人気の投稿

【初心者VRDJ向け】とりあえず何すればいい?DJ練習できる場所ってあるの?【VRChat】

ここ最近、VRDJが急激に増加したなぁ、と実感しています。 かくいう私もDJキャリア自体は2020年7月にスタートしたものの、VRDJとしてのデビューは今年1月なので、「急激に増加した」うちの一人にカウントされると思います。 さて、あなたはVRChatでいくつかのDJイベントに参加し、そのプレイに魅了され、「自分もDJをやってみたい…!」と思ったとします。まずは機材の購入!ということで、勢いでDDJ-400あたりを購入することでしょう(※)。 「…で、機材買ったはいいけど、結局何をすればVRDJデビューできるんだ?」 そういえばVRDJのキャリアの始め方について解説した記事ってそんなにないよなぁ(あっても情報が古いよなぁ)、と思ったので、これまで私がVRDJをやってきた中で経験した・見聞きした情報をもとに、2022年8月現在の情報で「とりあえず何すればいい?」というところがざっくりわかる記事を書きたいと思います。 なお、私は前述の通りVRDJデビュー以前に1年半近くのDJキャリアがあったことや、「我流」でやった部分が少なくなかったこともあり、これから紹介するVRDJキャリアの歩み方をほとんどたどっていません(おい)。そのため、下記で紹介している内容は実際の初心者VRDJの多くが実際に通ってきたキャリアとは異なる箇所があるかもしれません。あくまで一つの例としてとらえていただき、フレンドの方と協力し合いながら楽しくVRDJライフを送っていただければと思います。 ※個人的にはこれから長くDJキャリアをやっていきたいとお考えなら、少し値は張りますがDDJ-800を購入することをおすすめしています。DDJ-400と比較してDDJ-800の優れているポイントを解説した動画を以前投稿しましたので、ご興味ございましたらぜひご覧ください。 手順0:VRDJのフレンドを増やす …いや手順1じゃないんかい!と思ったかもしれませんが、リアルDJにしてもVRDJにしても、まずは交友関係を広く持つことが重要だと思います。 いつもとアバターが違いますが左から2番目のちっこいのが私です VRDJキャリアを始めたばかりのあなたは、言ってみれば「VRDJ」という学校に転校してきた転入生です。芸能人が転校してきた!とかであれば交友関係を持たなくても人は集まるかも知れませんが、そのような極端な例でない限り

【特集】HeXaHedronの音響システムについて

 「HeXaHedron」は、私 廻音あじおがVRChat上で運営しているクラブワールドです。2022年10月のオープン以来、「Immersive Sound Experience」をメインコンセプトに、リアルクラブのような重低音・音圧を体験できる空間づくりを一貫して重視してきました。 2024年からはこれまで複数主宰してきたクラブイベントを「Sound Freeak」に統合するとともにVRCで主宰するすべてのイベントを「HeXaHedron」や「HeXaHedron」の音響ノウハウを活用したワールドで開催しているほか、先日5月8日には音響のこだわりを受け継ぎつつライティングを一新するなどビジュアル面を強化した「Ver.3.0」をリリースするなど、「Immersive Sound Experience」を軸とした「HeXaHedron」ブランドのさらなる向上に努めています。 ありがたいことに多くのDJ・来場者にご評価いただいており、レンタルでのご利用も増加している「HeXaHedron」の特長・魅力についてより広く知っていただくため、ここに「HeXaHedron」の音響システムについて解説します。 なお、以下で解説する内容の一部は2023年11月に配信された「たまごまご」さんのライブ「VRDJに聴く!」でもお話しています。この配信では私の主宰イベント「Channel CUEration(現 Sound Freeak)」や私のDJ・VRDJの経歴等もトークしていますので、ぜひアーカイブを併せてご覧ください! 解説の前に:VRクラブで音響にこだわる意味 最近でこそ音響にこだわったVRクラブワールドはかなり増えましたが、「HeXaHedron」をリリースした2022年ごろはそういったワールドは希少で、そのワールドで開催されるすべてのイベントで配信リレーの仕組みを使ったリアルタイム音響調整の運用を行っていたのは私の知る限りHeXaHedronが唯一でした。 VRクラブでこれまで音響が重視されてこなかった背景として、Unity・VRC SDK等の技術的制約はもとより、プレイヤーによる聴取環境の違いが関係していたのではないかと推察しています。 リアルクラブにおいては一つの空間に人が集まるので、当然ながらクラブにいるすべての人が同じ条件で音を聴くことになります。一方、VRクラブや

【開封レビュー】ドスパラノートPC「Altair VH-AD」

今回はドスパラの激安ノートPC「Altair VH-AD」(以下、Altair)を購入しましたので、ファーストインプレッションをお送りします。 私は現在、大学の学科指定の実習用PCとしてMacBook Airを使用していますが、2013年に購入してもらってから3年弱使用し続け、徐々にバッテリーの劣化によるバッテリー持続時間の減少が気になってきていました。また、私は 大学院への進学 を目指しており、4年生に上がる前のこの機会に心機一転ノートPCを一新して気合を入れようと考えました。 当初はマウスコンピューターの法人向けブランド「MousePro」の13.3型ノートPCを購入する予定でした(本来は法人ユーザーしか購入できませんが、私の通っている大学では大学生協を通じて注文することで、各社の法人向けPCを購入することができるそうです)。しかし、機種の最終選定を行っていた1月8日、突然ドスパラから税込3万円未満の激安ノートPCが発売されました。とはいえ、私はドスパラのノートPC・タブレットで何度も買い物を失敗しており、今回も「どうせ安かろう、悪かろうだろう」と思い、すぐの購入は躊躇しました。しかし、デザインやインタフェースなど、魅力的な点もないわけではなく、さらに私が検討していたMouseProのノートPCのCPUの性能がドスパラの激安ノートPCよりわずかしか上回っていないことがweb上に掲載されているベンチマークの結果から判明し、「使用用途的にもそこまで性能は必要ないし、性能がほぼ同じならより安いほうがいいだろう。もしまた購入に失敗しても3万円未満であればあきらめがつくし」ということで、購入を決意しました。今回は購入にあたって売却したものはありませんが、下取りサービス(PC(壊れていても欠品があってもOK)を無料で引き取り、購入価格から1,000円値引いてくれるサービス)を利用し、いろいろあって売却不可能になったWindowsタブレット「DG-D08IWB」を出すことにしました。普通に買い取りに出そうとしても値がつかない商品を実質1,000円で買い取ってくれると考えれば、動かないものを手元に放置するよりかはマシでしょう。 それではさっそく開封していきましょう!なお、私は以前ノートPCとしてドスパラの「Critea DX4 with Bing」(以下、Critea