今回はMicrosoftのWindowsタブレット「Surface Pro 7」を購入しましたので、ファーストインプレッションをお送りします。
ちなみに私は5年ほど前にSurface 2(Proではない)を購入し、一時使用していた時期がありましたが、OSがWindows RTで初めてのWindowsタブレットだったことなどもあり、うまく使いこなすことができず、わずか2カ月ほどで手放して(売却)しまったことがありました。以降、なんとなくSurfaceシリーズとは距離を置いていたのですが、同様に使いこなすことができず売却し、しばらく距離を置いていたIntel NUCについて、2018年に当時の最新モデルを導入した結果、現在に至るまで安定して運用できていることから、今の自分の知識を動員すればSurfaceを使いこなせると思い、再び興味を持った次第です。実際に購入を決意した要素については後ほどレビューとともにご紹介します。
それでは早速開封していきましょう!
今回購入したのはCore i5、8GB RAM、256GB SSDのモデルです。偶然にもこの時、Surface本体を購入するとタイプカバー(ブラック)が無料でついてくる(ほかのカラーも+3,000円で購入可能)キャンペーンを実施中でした。通常18,000円程するタイプカバーを無料でゲットできるというのですから、このチャンスを逃すわけにはいきません。また、ポイントを使って液晶保護フィルムも購入しました。スタイラスペンについては、以前使用していたENVY 13 x360で使用していたスタイラスペン(USB充電式)がそのまま使用できるのと、Surfaceペンは乾電池式で電池交換が煩わしいため、今回は購入しませんでした。
付属品紹介。クイックスタートガイド的なものとPCリサイクルのステッカー、そしてMicrosoft Office Home & Business 2019のプロダクトキーが付属しています。が、私はOffice 365のサブスクリプションをすでに持っているため、そちらをインストールしました。すでにOffice 365のライセンスを所有している人向けに、Office 2019のライセンスを付属せずに価格を割り引くラインナップがあってもいいと思うのですが……
ACアダプタ。Surface Connect接続タイプです。USBポートもついているため、USB機器の充電もできますが、出力は5V 1Aしかないため、スマートフォンの充電用というよりは、USB充電できるアクセサリ(Bluetoothヘッドフォンなど)の充電用といったところでしょうか。
続いて本体の紹介。12.3インチディスプレイで、解像度は2736x1824もあります。スケーリングは標準で200%に設定されていますが、主にタッチ操作で使用する場合はスケーリングを落とす必要性はなさそうです(むしろスケーリング150%以下だと文字が小さくなってタッチしにくくなる……)。逆にキーボードカバーをつけて操作することが多い場合は、画面領域を広く活用するためにスケーリングを落としてもいいかもしれません。
私が以前使用していたSurface 2やその上位のSurface Pro 2まではディスプレイ下部に、Surface Pro 3ではディスプレイ右に、それぞれタッチ式のWindowsボタンが設置されていましたが、Surface Pro 4以降Windowsボタンは搭載されていません。まぁ画面上のWindowsボタンを直接押せばいい話ですし、実際にSurface 2を使用していた際もWindowsボタンはほとんど使用していませんでした……
画面上部にはWebカメラと、Windows Helloの顔認証用のセンサが搭載されています。また、正確な位置は不明ですが照度センサも搭載されており、周囲の明るさに応じて画面の明るさやキーボードバックライトのオンオフが自動で変化します。
本体上部。ディスプレイに向かって左上部分に電源ボタンと音量ボタンがあります。また、本体裏面にもカメラが付いています。後述しますが今回購入したi5モデルはファンレスで、本体上部には通気口が開いています。
本体右側面。ディスプレイに向かって右上からUSB type-Cコネクタ、USB type-Aコネクタ、Surface Connectが並びます。また、キックスタンドを広げた裏面にmicroSDカードスロットがあります。
Surface Pro 7から従来のmini DisplayPortに代わりUSB type-Cコネクタが搭載されました。これが今回Surface Pro 7を購入した一番大きな決め手です。Surface Pro 6まではUSB type-Aポートは搭載されていたものの、充電は引き続きSurface Connectを用いなければならず、外出先で充電が必要な際は専用ACアダプタを持ち出すか、外出用にもう1個購入しなければならず、取り回しがしづらい印象を抱いていました。Surface Pro 7からは、非公式ながらUSB PDによる給電にも対応し、外出先で充電が必要になった場合でも手持ちのUSB ACアダプタやモバイルバッテリーを流用することができ、非常に取り回しがしやすくなりました。幸いにも私は以前からスマートフォンやiPad Pro 11の充電のためにUSB type-Cの周辺機器を充実させてきたため、追加出費なしで外出先でのバッテリー対策ができてしまいました。もちろん、USB type-Cドッキングステーションを用いれば、USB PDで充電しながらUSB・ディスプレイ出力・LANなどを拡張することもでき、ライフスタイルに合わせた様々な使い方ができます。
本体左側面。ヘッドセット端子のみがあります。また、Surfaceペンをここにくっつけて持ち運ぶことができます。
本体下部。ここにキーボードカバーの接点をくっつけます。
Surfaceシリーズの特長ともいえるキックスタンドは自由な角度で固定することができ、使いやすい角度で使用することができます。ちなみに昔使用していたSurface 2はキックスタンドが2段階でしか固定できないものでした。
こちらの画像は自立するギリギリの角度までキックスタンドを閉じた図。さすがにここまで閉じると不安定ですぐ倒れるため、現実的にはもう少し開いて使うことになります。
こちらは最大角度まで開いた図。ほどよく傾斜が付くため、ペンを使って何かを描画する際に使いやすい角度となっています。なお、これより大きな傾斜で固定しても軽く手をつく程度ではキックスタンドが開いてしまうことはないため、イラストを描く際でも自由な角度で使用できるといえます。とはいえ、体重を強くかけるとキックスタンドが壊れてしまうため、キックスタンドを使用してイラストを描く際は注意が必要です。
キーボードカバーをつけるとこんな感じ。Surface Pro 3以降、キーボードカバーは角度が2段階に調整できるようになり、タイピングがしやすくなっています。
また、これはキックスタンドで自立するタイプの2in1の宿命ともいえるのですが、キーボードカバーを使用した際のフットプリントが非常に大きくなります。飛行機・新幹線のテーブルや膝の上では本体が安定せず使いづらく感じます。キーボード部分の重量で本体の重量を支えるデタッチャブル2in1は本体が重く、キーボード非分離型2in1はノートPCのような使い方ができるものの、タブレットとして使用する際は重たい、といったように、2in1はそれぞれの形態ごとに何かしらのデメリットを持っているのが現状です。今のところは使い方に応じて自分に合う形態の2in1を選択するほかなさそうです。
キーボードは標準的なJIS配列で、配列の大きな崩れはありません。バックライトも搭載されており、暗いところでは自動的にバックライトが点灯します。キーボード配列面で唯一指摘する点があるとすれば、矢印キーの左右キーが上下キーと同じ縦幅になっておらず、逆T字型の配列になっていないため、手探りで矢印キーを触るのが難しい点でしょうか。
キーボードカバーは剛性があり、強めにタイピングしても大きくたわむことはありません。しかしどうしても打鍵音が「ペコッペコッ」といった安っぽい音になってしまいます。
タッチパッドはガラスでできているため指滑りが良好です。Windows標準ドライバで動作し、設定アプリから複数指タッチの挙動を変更することができます。やはりこちらもタッチパッドを押し込んだ際のクリック音が安っぽく感じます。
カラーはブラックを選択しました。Surface Pro 6から採用された新しいカラーですが、これもまた購入する決め手になりました。以前使用していたENVY x360はやや赤みがかったブラックでしたが、Surface Proのブラックは真に真っ黒なカラーリングで、個人的によりこちらのほうが好みです。ただし、塗装が剥げるとマグネシウム合金の地色が強く目立つため、傷をつけないように大事に扱う必要がありそうです。
本体のフットプリントは292x201mmで、Surface Pro 4から全く変わっていません。したがって、Surface Pro 4以降の本体とキーボードカバーは相互に互換性があります。Surface Pro 3のキーボードカバーの接点も規格自体は共通であるため、ぴったりフィットしない点を除けば使用自体は可能です(それ以前にキーボードカバーが古くなって買い替えたくなりますが……)。Surface Proユーザにとっては、キーボードが汚れてきたから最新のキーボードカバーに買い替えたり、本体の性能が気になってきたので、キーボードカバーはそのままに本体だけ買い替える、といったような自由な買い替えサイクルを実現することができます。
重量はタブレット本体のみで775g、キーボードカバーと組み合わせても1.1kgほどで、2in1としては気軽に持ち出せる重量だと思います。荷物をより軽くしたければ本体のみを持ち出せばよく、状況に応じて自由に持ち出し方を選択できる点が魅力です。
それでは電源を入れていきましょう!
ブート画面はMicrosoftロゴのモノクロバージョンです。Surface 2やSurface Pro 3は「Surface」と表示されるものでした。この後初期セットアップとソフトウェアのインストールを済ませました。
それでは、恒例のベンチマーク計測とまいりましょう。今回から計測に使用するソフトは、以前から使用していたCINEBENCH R15に加え、CINEBENCH R20も使用していきます。R15よりも強い負荷をかけて計測するため、私の主な使用用途であるクリエイター系作業における性能を比較できることから導入しました。このため、そもそもクリエイター作業を想定していないPCについてはR20での計測は行わず(リソースが足りない場合はそもそもベンチマークが走らないらしい)、従来通りR15のみで計測します。なお、R20にはGPU(OpenGL)のベンチマーク機能が搭載されていないことから、GPUの性能計測のため、R20を走らせるPCであってもR15でのベンチマーク計測も行います。今回のSurface Pro 7についてもクリエイター作業を見込んで購入したため、R15とR20の両方のベンチマークを計測し、スコアを紹介します。
まず、CINEBENCH R15のCPU・GPUスコア。
続いて、CINEBENCH R20のスコア。
CPUはIntelの第10世代Coreプロセッサが搭載されています。Ice LakeのコードネームのこのファミリーはGPU性能が大幅に強化されたのが特徴であり、Surface Pro 7のi5モデルに搭載されているCore i5 1035G4にはIris Plus Graphicsが搭載されています。これはベンチマークにも反映されており、以前使用していたENVY 13 x360に搭載されていたRyzen 7 3700Uの内蔵GPU「Radeon RX Vega 10」を上回るものとなっています(上記GPUスコアの一番下に表示されている結果がRadeon RX Vega 10のもの)。CPUスコアについても強化されており、こちらもやはりRyzen 7 3700Uを上回るものとなっています。第4世代デスクトップ向けCoreプロセッサであるCore i7 4770にも迫るスコアを叩き出しており、それを持ち運びが容易な2in1で実現しているというのですから、i5モデルであっても高い性能を有しているといえます。
また、より強い負荷をかけて計測するCINEBENCH R20のスコアにおいてもほかの高性能CPUに引けを取らないスコアとなっており、第6世代CoreプロセッサであるCore i7 6700HQにも迫るスコアとなっています(i7 6700HQは当時のゲーミングノートPCに多く搭載されていたモデル)。
なお、上記ベンチマークを含め、手元で計測したノートPCはすべて純正の外部電源を接続した状態で計測しています。Surface Pro 7についてもACアダプタを接続した状態で計測しました。しかしながら、バッテリーのみで動作する場合は電力供給の関係で本来の性能が発揮されない場合があります(Surface Pro 7についても手元の環境でバッテリー動作で計測したところ、外部電源動作のENVY 13 x360に劣るスコアとなりました)。また、Windows10の電源モードによっても性能が変化し、Surface Pro 7のデフォルトの電源モードである「推奨」ではバッテリー消費と性能のバランスをとるため、さらに性能が抑えられてしまいます。
とはいえ、そもそものポテンシャルが高いことに変わりはなく、高負荷な作業を除いてはバッテリー動作・電源モード「推奨」でも十分な性能を発揮しているといえます。電源モードを「最も高いパフォーマンス」に変更すればクロック周波数が最大に固定され、クリエイター作業など高負荷の作業でも本来の高い性能を発揮できるようになります(その分バッテリー消費は激しくなりますが)。
ディスプレイは言わずと知れたマルチタッチ・ペン入力対応で、純正のSurfaceペンを使用した場合、傾き検知にも対応しています。また、マグネットによりSurface Pro 7本体左側面(ヘッドセット端子の下)にくっつけることができます。しかし私は単6電池動作であることを理由にいまだに購入に踏み切れずにいます。iPad Pro(2018年モデル)のような無線充電でなくていいので、せめて充電式にしてほしいものです。
少し話がそれてしまいましたが、RAMは8GB搭載しているため、イラスト・漫画制作にも十分使えるものとなっています。
TDPは15Wとされており、i3・i5モデルはファンレスとなっています。冷却ファンの音がしないため、カフェなどの公共の場でも気兼ねなく使用できます。一方、熱の逃げがファンありモデルに比べどうしても遅くなってしまうため、長時間の高負荷作業には向いていません。Webブラウジングや動画視聴程度では背面はほとんど熱を持ちませんが、ベンチマークのような高負荷の処理がある程度続くと本体裏面(アウトカメラの下あたり)が熱を持ちます。
バッテリー持続時間はカタログスペック上では最大10.5時間となっていますが、これまで使用してきた感覚ではおおむねカタログスペック通りの持続時間に感じます。以前使用していたENVY x360はなぜかスリープ中のバッテリー消費が激しく、カタログスペック上では14時間30分とされていたものの、これにスリープ中の時間もカウントされるという有様でした。しかも電源に接続したままスリープ状態にすると、スリープ明けにフリーズすることが頻繁にあり、「不使用時は本体をシャットダウンか休止状態にして電源に接続する」といった工夫をしないと使えない、お世辞にもスマートとは程遠い使用感でした。Surface Pro 7ではもちろんそのような不安定さは(今のところ)なく、スリープ中のバッテリー消費は最小限です。しかもキーボードカバー不使用時にストアアプリ(メールやMicrosoft Todoなど)からの通知があると数秒間だけスリープが解除され、この時ディスプレイを見ればWindows Helloの顔認証によりロックが解除されそのまま通知の詳細を確認できるという、iPadやAndroidタブレットのような使用感になっています。もちろん、この時ディスプレイを見なければ再びスリープに移行するため、通知によるバッテリー消費も最小限で済みます。
近年のノートPCなどの中にはバッテリー持続時間が20時間を超えるようなものも登場しており、それに比べればSurface Pro 7のバッテリー容量は控えめです。しかし、USB type-Cによる充電に対応したことにより、USB ACアダプタやモバイルバッテリーによってバッテリー容量の少なさをカバーできるようになったため、Surface Pro 6以前のモデルに比べればバッテリー面の使い勝手は大きく向上しているといえます。
というわけで、Surface Pro 7のレビューをお送りしました。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。
ちなみに私は5年ほど前にSurface 2(Proではない)を購入し、一時使用していた時期がありましたが、OSがWindows RTで初めてのWindowsタブレットだったことなどもあり、うまく使いこなすことができず、わずか2カ月ほどで手放して(売却)しまったことがありました。以降、なんとなくSurfaceシリーズとは距離を置いていたのですが、同様に使いこなすことができず売却し、しばらく距離を置いていたIntel NUCについて、2018年に当時の最新モデルを導入した結果、現在に至るまで安定して運用できていることから、今の自分の知識を動員すればSurfaceを使いこなせると思い、再び興味を持った次第です。実際に購入を決意した要素については後ほどレビューとともにご紹介します。
それでは早速開封していきましょう!
今回購入したのはCore i5、8GB RAM、256GB SSDのモデルです。偶然にもこの時、Surface本体を購入するとタイプカバー(ブラック)が無料でついてくる(ほかのカラーも+3,000円で購入可能)キャンペーンを実施中でした。通常18,000円程するタイプカバーを無料でゲットできるというのですから、このチャンスを逃すわけにはいきません。また、ポイントを使って液晶保護フィルムも購入しました。スタイラスペンについては、以前使用していたENVY 13 x360で使用していたスタイラスペン(USB充電式)がそのまま使用できるのと、Surfaceペンは乾電池式で電池交換が煩わしいため、今回は購入しませんでした。
付属品紹介。クイックスタートガイド的なものとPCリサイクルのステッカー、そしてMicrosoft Office Home & Business 2019のプロダクトキーが付属しています。が、私はOffice 365のサブスクリプションをすでに持っているため、そちらをインストールしました。すでにOffice 365のライセンスを所有している人向けに、Office 2019のライセンスを付属せずに価格を割り引くラインナップがあってもいいと思うのですが……
ACアダプタ。Surface Connect接続タイプです。USBポートもついているため、USB機器の充電もできますが、出力は5V 1Aしかないため、スマートフォンの充電用というよりは、USB充電できるアクセサリ(Bluetoothヘッドフォンなど)の充電用といったところでしょうか。
続いて本体の紹介。12.3インチディスプレイで、解像度は2736x1824もあります。スケーリングは標準で200%に設定されていますが、主にタッチ操作で使用する場合はスケーリングを落とす必要性はなさそうです(むしろスケーリング150%以下だと文字が小さくなってタッチしにくくなる……)。逆にキーボードカバーをつけて操作することが多い場合は、画面領域を広く活用するためにスケーリングを落としてもいいかもしれません。
私が以前使用していたSurface 2やその上位のSurface Pro 2まではディスプレイ下部に、Surface Pro 3ではディスプレイ右に、それぞれタッチ式のWindowsボタンが設置されていましたが、Surface Pro 4以降Windowsボタンは搭載されていません。まぁ画面上のWindowsボタンを直接押せばいい話ですし、実際にSurface 2を使用していた際もWindowsボタンはほとんど使用していませんでした……
画面上部にはWebカメラと、Windows Helloの顔認証用のセンサが搭載されています。また、正確な位置は不明ですが照度センサも搭載されており、周囲の明るさに応じて画面の明るさやキーボードバックライトのオンオフが自動で変化します。
本体上部。ディスプレイに向かって左上部分に電源ボタンと音量ボタンがあります。また、本体裏面にもカメラが付いています。後述しますが今回購入したi5モデルはファンレスで、本体上部には通気口が開いています。
本体右側面。ディスプレイに向かって右上からUSB type-Cコネクタ、USB type-Aコネクタ、Surface Connectが並びます。また、キックスタンドを広げた裏面にmicroSDカードスロットがあります。
Surface Pro 7から従来のmini DisplayPortに代わりUSB type-Cコネクタが搭載されました。これが今回Surface Pro 7を購入した一番大きな決め手です。Surface Pro 6まではUSB type-Aポートは搭載されていたものの、充電は引き続きSurface Connectを用いなければならず、外出先で充電が必要な際は専用ACアダプタを持ち出すか、外出用にもう1個購入しなければならず、取り回しがしづらい印象を抱いていました。Surface Pro 7からは、非公式ながらUSB PDによる給電にも対応し、外出先で充電が必要になった場合でも手持ちのUSB ACアダプタやモバイルバッテリーを流用することができ、非常に取り回しがしやすくなりました。幸いにも私は以前からスマートフォンやiPad Pro 11の充電のためにUSB type-Cの周辺機器を充実させてきたため、追加出費なしで外出先でのバッテリー対策ができてしまいました。もちろん、USB type-Cドッキングステーションを用いれば、USB PDで充電しながらUSB・ディスプレイ出力・LANなどを拡張することもでき、ライフスタイルに合わせた様々な使い方ができます。
本体左側面。ヘッドセット端子のみがあります。また、Surfaceペンをここにくっつけて持ち運ぶことができます。
本体下部。ここにキーボードカバーの接点をくっつけます。
Surfaceシリーズの特長ともいえるキックスタンドは自由な角度で固定することができ、使いやすい角度で使用することができます。ちなみに昔使用していたSurface 2はキックスタンドが2段階でしか固定できないものでした。
こちらの画像は自立するギリギリの角度までキックスタンドを閉じた図。さすがにここまで閉じると不安定ですぐ倒れるため、現実的にはもう少し開いて使うことになります。
こちらは最大角度まで開いた図。ほどよく傾斜が付くため、ペンを使って何かを描画する際に使いやすい角度となっています。なお、これより大きな傾斜で固定しても軽く手をつく程度ではキックスタンドが開いてしまうことはないため、イラストを描く際でも自由な角度で使用できるといえます。とはいえ、体重を強くかけるとキックスタンドが壊れてしまうため、キックスタンドを使用してイラストを描く際は注意が必要です。
キーボードカバーをつけるとこんな感じ。Surface Pro 3以降、キーボードカバーは角度が2段階に調整できるようになり、タイピングがしやすくなっています。
また、これはキックスタンドで自立するタイプの2in1の宿命ともいえるのですが、キーボードカバーを使用した際のフットプリントが非常に大きくなります。飛行機・新幹線のテーブルや膝の上では本体が安定せず使いづらく感じます。キーボード部分の重量で本体の重量を支えるデタッチャブル2in1は本体が重く、キーボード非分離型2in1はノートPCのような使い方ができるものの、タブレットとして使用する際は重たい、といったように、2in1はそれぞれの形態ごとに何かしらのデメリットを持っているのが現状です。今のところは使い方に応じて自分に合う形態の2in1を選択するほかなさそうです。
キーボードは標準的なJIS配列で、配列の大きな崩れはありません。バックライトも搭載されており、暗いところでは自動的にバックライトが点灯します。キーボード配列面で唯一指摘する点があるとすれば、矢印キーの左右キーが上下キーと同じ縦幅になっておらず、逆T字型の配列になっていないため、手探りで矢印キーを触るのが難しい点でしょうか。
キーボードカバーは剛性があり、強めにタイピングしても大きくたわむことはありません。しかしどうしても打鍵音が「ペコッペコッ」といった安っぽい音になってしまいます。
タッチパッドはガラスでできているため指滑りが良好です。Windows標準ドライバで動作し、設定アプリから複数指タッチの挙動を変更することができます。やはりこちらもタッチパッドを押し込んだ際のクリック音が安っぽく感じます。
カラーはブラックを選択しました。Surface Pro 6から採用された新しいカラーですが、これもまた購入する決め手になりました。以前使用していたENVY x360はやや赤みがかったブラックでしたが、Surface Proのブラックは真に真っ黒なカラーリングで、個人的によりこちらのほうが好みです。ただし、塗装が剥げるとマグネシウム合金の地色が強く目立つため、傷をつけないように大事に扱う必要がありそうです。
本体のフットプリントは292x201mmで、Surface Pro 4から全く変わっていません。したがって、Surface Pro 4以降の本体とキーボードカバーは相互に互換性があります。Surface Pro 3のキーボードカバーの接点も規格自体は共通であるため、ぴったりフィットしない点を除けば使用自体は可能です(それ以前にキーボードカバーが古くなって買い替えたくなりますが……)。Surface Proユーザにとっては、キーボードが汚れてきたから最新のキーボードカバーに買い替えたり、本体の性能が気になってきたので、キーボードカバーはそのままに本体だけ買い替える、といったような自由な買い替えサイクルを実現することができます。
重量はタブレット本体のみで775g、キーボードカバーと組み合わせても1.1kgほどで、2in1としては気軽に持ち出せる重量だと思います。荷物をより軽くしたければ本体のみを持ち出せばよく、状況に応じて自由に持ち出し方を選択できる点が魅力です。
それでは電源を入れていきましょう!
ブート画面はMicrosoftロゴのモノクロバージョンです。Surface 2やSurface Pro 3は「Surface」と表示されるものでした。この後初期セットアップとソフトウェアのインストールを済ませました。
それでは、恒例のベンチマーク計測とまいりましょう。今回から計測に使用するソフトは、以前から使用していたCINEBENCH R15に加え、CINEBENCH R20も使用していきます。R15よりも強い負荷をかけて計測するため、私の主な使用用途であるクリエイター系作業における性能を比較できることから導入しました。このため、そもそもクリエイター作業を想定していないPCについてはR20での計測は行わず(リソースが足りない場合はそもそもベンチマークが走らないらしい)、従来通りR15のみで計測します。なお、R20にはGPU(OpenGL)のベンチマーク機能が搭載されていないことから、GPUの性能計測のため、R20を走らせるPCであってもR15でのベンチマーク計測も行います。今回のSurface Pro 7についてもクリエイター作業を見込んで購入したため、R15とR20の両方のベンチマークを計測し、スコアを紹介します。
まず、CINEBENCH R15のCPU・GPUスコア。
続いて、CINEBENCH R20のスコア。
CPUはIntelの第10世代Coreプロセッサが搭載されています。Ice LakeのコードネームのこのファミリーはGPU性能が大幅に強化されたのが特徴であり、Surface Pro 7のi5モデルに搭載されているCore i5 1035G4にはIris Plus Graphicsが搭載されています。これはベンチマークにも反映されており、以前使用していたENVY 13 x360に搭載されていたRyzen 7 3700Uの内蔵GPU「Radeon RX Vega 10」を上回るものとなっています(上記GPUスコアの一番下に表示されている結果がRadeon RX Vega 10のもの)。CPUスコアについても強化されており、こちらもやはりRyzen 7 3700Uを上回るものとなっています。第4世代デスクトップ向けCoreプロセッサであるCore i7 4770にも迫るスコアを叩き出しており、それを持ち運びが容易な2in1で実現しているというのですから、i5モデルであっても高い性能を有しているといえます。
また、より強い負荷をかけて計測するCINEBENCH R20のスコアにおいてもほかの高性能CPUに引けを取らないスコアとなっており、第6世代CoreプロセッサであるCore i7 6700HQにも迫るスコアとなっています(i7 6700HQは当時のゲーミングノートPCに多く搭載されていたモデル)。
なお、上記ベンチマークを含め、手元で計測したノートPCはすべて純正の外部電源を接続した状態で計測しています。Surface Pro 7についてもACアダプタを接続した状態で計測しました。しかしながら、バッテリーのみで動作する場合は電力供給の関係で本来の性能が発揮されない場合があります(Surface Pro 7についても手元の環境でバッテリー動作で計測したところ、外部電源動作のENVY 13 x360に劣るスコアとなりました)。また、Windows10の電源モードによっても性能が変化し、Surface Pro 7のデフォルトの電源モードである「推奨」ではバッテリー消費と性能のバランスをとるため、さらに性能が抑えられてしまいます。
とはいえ、そもそものポテンシャルが高いことに変わりはなく、高負荷な作業を除いてはバッテリー動作・電源モード「推奨」でも十分な性能を発揮しているといえます。電源モードを「最も高いパフォーマンス」に変更すればクロック周波数が最大に固定され、クリエイター作業など高負荷の作業でも本来の高い性能を発揮できるようになります(その分バッテリー消費は激しくなりますが)。
ディスプレイは言わずと知れたマルチタッチ・ペン入力対応で、純正のSurfaceペンを使用した場合、傾き検知にも対応しています。また、マグネットによりSurface Pro 7本体左側面(ヘッドセット端子の下)にくっつけることができます。しかし私は単6電池動作であることを理由にいまだに購入に踏み切れずにいます。iPad Pro(2018年モデル)のような無線充電でなくていいので、せめて充電式にしてほしいものです。
少し話がそれてしまいましたが、RAMは8GB搭載しているため、イラスト・漫画制作にも十分使えるものとなっています。
TDPは15Wとされており、i3・i5モデルはファンレスとなっています。冷却ファンの音がしないため、カフェなどの公共の場でも気兼ねなく使用できます。一方、熱の逃げがファンありモデルに比べどうしても遅くなってしまうため、長時間の高負荷作業には向いていません。Webブラウジングや動画視聴程度では背面はほとんど熱を持ちませんが、ベンチマークのような高負荷の処理がある程度続くと本体裏面(アウトカメラの下あたり)が熱を持ちます。
バッテリー持続時間はカタログスペック上では最大10.5時間となっていますが、これまで使用してきた感覚ではおおむねカタログスペック通りの持続時間に感じます。以前使用していたENVY x360はなぜかスリープ中のバッテリー消費が激しく、カタログスペック上では14時間30分とされていたものの、これにスリープ中の時間もカウントされるという有様でした。しかも電源に接続したままスリープ状態にすると、スリープ明けにフリーズすることが頻繁にあり、「不使用時は本体をシャットダウンか休止状態にして電源に接続する」といった工夫をしないと使えない、お世辞にもスマートとは程遠い使用感でした。Surface Pro 7ではもちろんそのような不安定さは(今のところ)なく、スリープ中のバッテリー消費は最小限です。しかもキーボードカバー不使用時にストアアプリ(メールやMicrosoft Todoなど)からの通知があると数秒間だけスリープが解除され、この時ディスプレイを見ればWindows Helloの顔認証によりロックが解除されそのまま通知の詳細を確認できるという、iPadやAndroidタブレットのような使用感になっています。もちろん、この時ディスプレイを見なければ再びスリープに移行するため、通知によるバッテリー消費も最小限で済みます。
近年のノートPCなどの中にはバッテリー持続時間が20時間を超えるようなものも登場しており、それに比べればSurface Pro 7のバッテリー容量は控えめです。しかし、USB type-Cによる充電に対応したことにより、USB ACアダプタやモバイルバッテリーによってバッテリー容量の少なさをカバーできるようになったため、Surface Pro 6以前のモデルに比べればバッテリー面の使い勝手は大きく向上しているといえます。
というわけで、Surface Pro 7のレビューをお送りしました。
最後までご覧いただきまして、ありがとうございました。